口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。
最短3分で入力完了!
Chief Investment Strategist
サマリー: 今回の記事では、4月18日からの週の最も重要な決算発表と、それが重要である理由を説明します。第1四半期決算の最大の注目点は、原材料価格と物流コストの高騰、そして最近の賃金上昇の中で圧迫されてきた利益率の動向です。また、コモディティと比べた株価の動きにも注目します。コモディティに対する株価は既に高値から28%下落しており、2008年7月以来最も大幅な株価調整の動きとなっています。さらに、キャシー・ウッド氏が最近、ARK Innovation ETFの過大なリターン予想を打ち上げたことから、このファンドについても取り上げ、Nasdaq 100と比べたパフォーマンスを見ていきます。
重要な決算発表ウィーク
4月11日からの週に決算発表シーズンがスタートし、米国の金融機関の決算が発表されましたが、業績は強弱まちまちでした。JPMorgan Chaseの決算では、予想外にクレジット供与が急増し、クレジットサイクルが転換した可能性が高いことが示されました。18日からの一週間には、以下のような最も重要な決算発表が目白押しです。
第1四半期の決算発表シーズンに注目すべき主要なテーマは、繰り越されてきた純利益率の動向です。MSCI WorldとS&P 500の速報値では、投入コストが上昇する中で、利益率が低下し続けていることが示されています。もしNasdaq 100が高い純利益率を長期的に維持することができ、現在のコモディティと賃金のインフレサイクル中の利益率の圧縮も少なければ、この株式グループでは、PERが上昇する可能性があります。
最も重要な決算発表とその理由:
コモディティに対する株価は14年ぶりの大幅下落
株価は常に上昇するものだ、と言われてきました。実際、株式は長期的にはプラスとなる傾向が最も大きい資産クラスです。しかし、世界経済にインフレが広がる中、当社のリサーチ記事で説明してきた多くの理由から、株式市場の状況は変わりつつあります。株式は、成長性、生産性、確信性を価格に織り込む名目資産クラスです。一般に名目上の株価の軌道は上向きであり、これが破られるのは時々起こる景気後退期だけです。しかし、インフレ率が高いならば、投資家として現実的に考えるべきなのは実質ベースの株価だということです。コモディティとインフレ率が通常通り動いている時は、名目ベースと実質ベースについて議論するべき理由はありませんが、今はその議論が非常に重要な時です。コモディティに対する株価の調整がこれほど大幅になったのは、2008年7月以来のことです。過去12ヶ月間で世界株式はコモディティに対して26%下落し、2020年11月に付けた相対トータルリターン指数の高値からは28%下落しています。コモディティと株式には一般に正の相関がありますが、最近はこの相関がゼロに近づいており、株式にとってコモディティが優れた分散資産になっていることを示しています。投資家は、ポートフォリオを構築する際、この点を考慮すべきだと思われます。
ARK InnovationのパフォーマンスはNasdaq 100以下
Ark Investの創業者兼CEOのキャシー・ウッド氏は最近、ARK Innovation ETFファンドを強化し、今後5年間で年率50%のリターンを見込んでいると話しました。別のインタビューでは、ARK Innovationファンドは5年間にわたりアウトパフォームしたと同氏は述べています。これは事実ですが、期間に関してはいいとこ取りの発言です。我々は通常、ファンドマネージャーについてコメントすることはありませんが、Saxoにはキャシー・ウッド氏のファンドに投資したお客様が多いので、我々にはそのような高い期待に応える義務があると感じています。
年換算で50%ものリターンは過去に例を見ない数値であり、それが実現すれば、最高の幸運か真の天才かというほどの大変な異常値であることに注意すべきです。2014年の設定以来、ARK Innovation ETFの年換算リターンは16.8%となっています。破壊的な革新が加速することに言及したことを除けば、リターンが突然、これまでの3倍になる理由については、現実的な根拠は一切ないのです。革新の加速がどのように測定されるのかを議論しようとする人もいません。また、ARK Innovation ETFの設定来のパフォーマンスは、Nasdaq 100に連動する低コストのETFを年率で1.8ポイント下回っていることにも注意が必要です。言い換えると、アルファもアウトパフォーマンスもなく、リスク調整後では尚更だということです。