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Chief Investment Strategist
サマリー: 世界株式は過去15か月間、コモディティ対比で大きく調整しましたが、コモディティは今後10年間にわたり新たな「スーパーサイクル」に入るとの弊社の予想が正しければ、投資家は資産配分を理解し、コモディティをオーバーウェイトとする必要があります。戦争、業績発表および株価変動による短期的な雑音にとらわれがちですが、全体像は、株式は今後何年にもわたり、インフレとコモディティ対比で劇的なリプライシングを経験すると示唆しています。
振り子は再び揺れる
ウクライナとロシアの間の和平交渉に進展が見られたとのイスタンブール発のニュースに、3月30日の欧州株は上昇しました。キーウでの軍事作戦を縮小する、またゼレンスキー大統領とプーチン大統領の会合の機会があるとのロシア側の発言で、センチメントが高揚しました。株式は長い冬の後に牧草を見つけて喜ぶ牛のような反応を見せた一方で、コモディティ相場は当初売られましたが、原油・天然ガス相場はその後、突破口などなかったとの明確なシグナルを送っています。3月29日夜のデータは既に、ロシアはキーウ北方の軍隊の編隊をほとんど変えなかったことを示していましたが、3月30日にはクレムリンが、和平交渉には進展がなく、なすべきことが多く残されていると発言しました。これは言い換えれば、プーチン大統領が戦勝を紡ぎだす、または自国民に対し勝利をアピールするのに十分なディールをまだ得られていないということです。
その結果、3月30日の欧州株は0.9%値下がりし、コモディティが反発しました。欧州のリスクを浮き彫りにすることに、ドイツは3/30朝、天然ガスの供給について危機モードに入ると発表しました。ロシアがルーブルでの支払いを要求したのを受けてのことですが、ルーブルでの支払いはEUが望むところではありません。ロシアが欧州へのガス供給削減を一段とエスカレートさせる場合、ドイツで暖房および産業プロセスが一時中断する日々が続くことになります。ドイツは依存度を下げる解決策の一部として、最近カタールと締結したような新たな提携を設定し、さらにタンザニアでの非常に大規模なLNG投資、また3月30日発表の、ドイツの現在の天然ガス消費量の3分の1を賄うグリーン水素の供給を受けるFortescueとE.ONの間のディールを実施しています。グリーン水素は高価ですが、国家安全保障のため、そして欧州の非常に高水準の天然ガス価格により実用性が出てきています。最近のエクイティノートで述べたとおり、水素は将来の重要な柱であり、水素を扱えるように既存の天然ガスのインフラを簡単に変更することができます。
コモディティを含まない株式は投資家にとって危険なゲーム
投資家はしばしば、短期の騒音にとらわれ、全体像を見失うことがあります。ウクライナでの戦争の前でも、物理的な世界は小さすぎてコロナ禍中に創り出された巨大な需要を支えきれないという意味で、世界はカーレース場の壁に激突していました。エネルギー及び金属セクターにおける長年の投資不足がついに追いつくことになったのです。ウクライナでの戦争はコモディティの値動きを増幅しましたが、この数週間の株式相場の上昇と3/30の和平の可能性への反応は現実と相容れません。
世界株式は2022年2月時点で、コモディティに対し15か月間にわたり値下がりしており、世界株式はコモディティを24%アンダーパフォームしました。これは、2008年以降において株式の最大の相対的リバランシングです。しかしながらもっと重要なことに、1969年以降の株式対コモディティを全体像で見ると、1970年代と2000年代という、現物世界対比で株式が劇的にリプライシングされたふたつの期間があり、どちらもコモディティの過去のスーパーサイクルを含んでいます。2009~2020年の株式の、コモディティ対比での素晴らしいアウトパフォーマンスは、世界の最大の収益エンジンがコモディティのインプットをほとんど必要としなかった歴史的な期間です。この超過の富の創出により、現物世界における投資が世界で不足し、経済に大規模な供給面の制約というショックを発生させました。今後の10年間は、コモディティの次のスーパーサイクル、そして現物世界対比での株式のアンダーパフォーマンスがすべての中心となるでしょう。株式は1970年代同様、同水準か若干値上がりするかもしれませんが、インフレまたはコモディティ対比で見た場合株式はアンダーパフォームするでしょう。
したがって、過去12年間にわたり100%株式のポートフォリオを維持してきた投資家が、コモディティおよび資産配分を理解するようになるのは非常に重要なことです。そうでなければ、こうした投資家は「失われた10年間」を過ごすことになるでしょう。
現在の体制でオーバーウェイトにするべきテーマは引き続き、物流、サイバーセキュリティ、コモディティセクター、防衛、そしてグリーントランスフォーメーションです。マクロレベルでは、物価連動債券やコモディティ等のインフレ資産が名目債や株式をアウトパフォームするでしょう。