不確実性が最高潮に達する最中での欧州株 不確実性が最高潮に達する最中での欧州株 不確実性が最高潮に達する最中での欧州株

不確実性が最高潮に達する最中での欧州株

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ピーター・ガンリュー

最高投資ストラテジスト(Saxo Group)

サマリー:  本日のエクイティノートでは、欧州で不確実性が最高潮に達したことを受けて株価が予防原則によって押し下げられてため、欧州株が米国株に比べて新安値圏まで下落している状況を紹介します。株式は将来のキャッシュフローを占うものであり、将来を見通すことが全くできなくなってしまうと、投資家は欧州株の評価の引き下げを余儀なくされ、株式のリスク・プレミアムの上昇に拍車をかけます。現在、欧州株は米国株に対して30%割安な水準に評価されていますが、それでも今が欧州株を購入する好機であると主張することは困難です。特に、欧州の競合企業に比べて、米国とカナダの肥料メーカーが天然ガス価格の下落に伴う強い追い風を受けている農薬業界についても取り上げます。


ウクライナでの戦争の最中に将来を具現化できるのか?

国際商品市場の高騰や欧州で大規模な戦争が進行しているにもかかわらず、世界の株式は3月4日の終値ではわずか11%の下落にとどまっています。景気後退の可能性は消えましたが、ウクライナ侵攻に伴う結末の可能性は無限です。これこそ究極の不確実性に関する真の定義であり、株価には企業の成長と将来のキャッシュフローが割り引かれているため、株価評価に対して大きな責任を負っています。基本的には、将来が極めて不確実になり、リスクに関する予防原則に基づくと、株価評価を引き下げ、株式のリスク・プレミアムを押し上げる以外に手立てがないため、ウクライナでの戦争は将来の崩壊を意味しています。

ウクライナでの戦争を受けて、ユーロ建てのトータルリターンでは、欧州株が米国株に対して1999年以来の相対的に低い水準まで下落しています。米国株とのパフォーマンス比較という点での欧州企業の苦難の歴史は実に15年に及び、投資家は反対取引を検討する時期が訪れると見ていますが、短期的には欧州株の不確実性があまりにも高くなっています。

本日の立合いでは、ウクライナが憲法を改正して中立性(NATOやEUなどのいかなるブロックにも加入しないこと)を維持すること、クリミア半島をロシア領と認めること、ならびにルハンスクとドネツクを独立国家として承認することを条件に、ロシアは停戦する用意があるというニュースが報じられるまでは、欧州株が大幅に下落しました。これらの要求は、基本的には、ロシアから以前に伝えられた内容と同じですが、ウクライナに潜在的な平和が訪れる道が開かれたと解釈され、株式市場には安堵感が流れ、株価上昇を演出しました。本日の日中のボラティリティは、「将来を織り込むことができない」ため、短期的なセンチメントがあらゆる動きを駆り立てていることを示しています。

Source: Bloomberg
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12ヵ月物フォワードEV/EBITDAに基づくと、現在、欧州株は米国株より30%割安な水準に評価されており、米国経済がウクライナでの戦争に伴う副次的な影響から比較的守られていることを反映したものであることは言うまでもありません。エネルギーや食糧の安全保障という点では米国のリスクは低くなっています。欧州株と米国株の株価の格差を見る時に注目すべき点は、米国株式市場はハイテク銘柄の比率がはるかに高く、時間とともに上昇してきたことです。最も有効な比較はセクター全体で比較することです。

欧州の製造企業と米国の同業他社を比較すると、市場はパンデミックの期間を通して欧州株を比較的高く評価しており、米国の製造企業に比べると欧州の製造企業が比較的順調に回復していたことを示しています。欧州でエネルギー危機が加速した2021年夏には形勢が逆転し、ウクライナでの戦争によって割引率が再び20%近くまで拡大し、過去最低を記録しました。果たして今は欧州株の買い場なのでしょうか?

ウクライナでの戦争やロシアに対する制裁措置の結末に関する不確実性が最大限に高まっていることを考慮すると、欧州株に対して米国株をオーバーウェイトするのが最も賢明な判断だと見ています。しかし、欧州株市場には、グリーンエネルギー、防衛、鉱業など、今後も成功が見込まれる分野があります。

農薬企業は食糧危機の最中におけるヘッジの一つです

最近のエクイティノートでも何度か指摘してきましたが、国際商品部門、ロジスティクス関連銘柄、サイバーセキュリティ銘柄や防衛銘柄が投資家の循環物色のテーマになっています。欧州の国際商品取引とエネルギー危機の最中には、農薬など、馴染みのないセクターが健闘しています。また米国企業も好調です。肥料生産の重要な材料である天然ガス価格の上昇に伴い、肥料価格はこの1年で大幅に高騰してきました。しかし、米国と欧州における天然ガス価格の格差拡大を背景に、米国やカナダの肥料メーカーは欧州の競合企業より優位に立っており、それぞれの相対パフォーマンスにも現れる可能性があります。ウクライナでの戦争が継続し、農産物が価格上昇圧力を受け続ける限り、これは投資家が今後も継続する取引です。食糧価格の高騰は食糧安全保障を巡る人道的危機を引き起こすという想定外の不幸な結果を引き起こす可能性があり、食糧安全保障はどの国にとっても重要なテーマであるため、ウクライナでの戦争終結に向けて政治勢力を結集させると見ています。下の表には、農薬業界に属し、時価総額が50億ドルを上回る企業が表示されています

Source: Bloomberg

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