オプション戦略:決算発表を控えたJPMorgan オプション戦略:決算発表を控えたJPMorgan オプション戦略:決算発表を控えたJPMorgan

オプション戦略:決算発表を控えたJPMorgan

株式
コーエン・ホーレルベケ

オプション戦略責任者

サマリー:  本稿では、JPMorganが間もなく発表する決算をケーススタディに、オプション取引戦略の中でも、決算シーズン中の潜在的な「ボラティリティ・クラッシュ」を活用するアイアンコンドル戦略をご紹介します。


先週の株式レポートにおいて、ピーター・ガンリューが間もなく始まる決算シーズンについて見解を述べています。 米国の決算シーズンは通常、JPMorgan, Citigroup、Wells Fargoなど、大手銀行の決算発表から始まります。

決算シーズン中に可能なオプション戦略の例を以下にご紹介します。これは決算シーズンに一般的な市場現象「ボラティリティ・クラッシュ」を利用しようとするものです。通常、決算発表日が近づくにつれて、市場の不透明感は高まります。それを受けて、インプライド・ボラティリティが上昇し、その結果オプション価格も上昇します。いったん決算が発表され、不透明感がなくなると、インプライド・ボラティリティは低下し、オプション価格も下落する傾向があります。

この「ボラティリティ・クラッシュ」から利益を得るための一般的な手法の1つは、オプション価格がまだ上昇している決算発表直前にアイアン・コンドルを売ることです。アイアン・コンドルとは、同じ原資産について同じ満期日のコール・スプレッドとプット・スプレッドを売り、リスクを限定する戦略です。最大リスクは、スプレッドの幅(売られたオプションと買われたオプションの権利行使価格の差)から、ポジションを組んだ時に受け取る正味プレミアムを差し引いた金額に限定されます。

この記事での戦略や事例の提示は、理解を助けることのみを目的とする点にご留意ください。それらは思考プロセスを促すためのものであり、その内容を十分に検討せずに模倣したり実行したりすべきものではありません。すべての投資家またはトレーダーは、意思決定を行う前に、自分自身でデューデリジェンスを行い、各自の財務状況、リスク許容度、および投資目的を考慮する必要があります。株式市場への投資にはリスクが伴い、十分な情報を得た上で決断を下すことが肝要です。

JPM ($145.15) 2023年7月21日満期アイアン・コンドル

取引根拠

7月14日の取引終了前に決算が発表されるためインプライド・ボラティリティ(IV)が高い 

予想

決算発表後のJPMの株価は小動きに、IVは急低下 

満期時の損益分岐点

株価が$139.75と$153.75の間にあれば利益

最大リスク

受け取り正味プレミアムが$1.45であれば、最大リスク(損失)は1株あたり $5 - $1.45 = $3.55。取引単位は100株。最大リスク(損失)総額は $3.55×100株 = $355 

想定される投資家のタイプ 

決算数値がJPMorganの株価を大きく動かすことはないだろうという見方を堅持する投資家 

取引設定

7月13日木曜日の取引終了1~4時間前に約$ 1,45 - $1,50の権利行使価格(取引規模がより大きい場合はより大きい幅に調整)でアイアン・コンドル戦略の売り

取引解消

$0,30 (取引規模がより大きい場合は調整)でポジションを解消するGTC(顧客が注文を取り消すまでは有効な注文)

注意すべき状況

原資産の値動きがロング・ポジションの権利行使価格の幅を超えた場合、注意深く監視し、遅くとも7月21日の満期2~4時間前にポジションを解消すること

利益の確率

62.85%
(満期時、ショート・ポジションのデルタに基づく)

予想される動き

2023年7月14日に、アットザマネー・ストラドルに基づくと +/- $4.37

IVランク

12.88%

以下に、留意点を幾つか記します。

注目すべきは、現在のインプライド・ボラティリティ(IV)ランクが12.88%と相対的に低いことです。価格の変化を注視することが不可欠です。決算発表前の駆け込み需要がインプライド・ボラティリティの劇的な変動を引き起こすこともあります。しかし、その確証はありません。市場が大きな値動きを予想せず、IVが低水準にとどまることもあります。JPMの株価が安定していれば、ボラティリティの大幅な下落がなくても、この戦略のリターンはプラスになる可能性があります。

取引開始前に、株価が上昇に転じ、好決算に対する市場の期待感を示す可能性があります。しかし、これは単なる兆候であり、確定的な予測ではありません。

上記の取引設定では、満期を決算発表の1週間後としています。これによって、アイアン・コンドルのレンジを超える価格変動に対するバッファー、すなわち「猶予期間」が生まれ、価格がレンジ内に再調整される可能性がある時間が確保されることになります。

価格がアイアンコンドル戦略で設定したレンジ内に戻らないことが明らかになった場合、速やかにポジションを手仕舞うことをお勧めします。ポジションにはまだ外在的(時間的)価値が残っているため、最大損失額以下のコストで決済できる可能性があります。

上記の取引設定は、ボラティリティがオプション価格に与える影響の理解を助けるためにご紹介したものです。この取引を実行しない場合でも、そのパフォーマンスが決算発表の前後でどう変化するのかをモニターすることができます。これによって、将来の取引戦略の参考にすることができるはずです。

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