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Chief Investment Strategist
サマリー: 日本株は、日本経済と同様の評価を受けています。投資家にとって日本は高齢化が進み、成長機会に乏しい国との印象を与えているようです。加えて、ソニーやトヨタ以外に特に有名な企業がないことも事実です。しかし、バークシャー・ハサウェイは逆張り投資で成功してきた実績があり、日本株は今でもその典型的な例となっています。本稿では、日本株市場の特徴をいくつか取り上げ、バークシャーがなぜ日本株に注目し、そのエクスポージャーを増やすことにそれほど熱心なのか、その理由を探りたいと思います。
※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。
日本企業の利益成長率と成長ドライバー
本日のQuickTakeやPodcastでお伝えしたように、バークシャー・ハサウェイは、日本株の保有比率を増やすために円建て社債の発行を検討しています。バークシャーは、パンデミック初期に総合商社の株を取得し、日本株への参入を果たしましたが、これは結果的に非常に優れた投資先となりました。バークシャーは明らかに、物価上昇と現物商品にとって構造的にポジティブな環境で上手くリターンを上げるエクスポージャーを探していたようです。バークシャーが円建て債を発行して日本株の保有比率を拡大する理由のひとつは、同社が米国以外の株式市場でアルファを獲得し、S&P500に連動する、あるいはそれ以上のリターンを上げることだと考えられます。
日本株は2005年1月以降、年率4.9%のリターンをもたらしています。同じ期間のインフレ率が年率0.5%のペースで上昇していることを踏まえると、年率4.4%という健全な実質リターンを生み出していることになります。この数字は、AQRが過去の成長率とGDP成長率の予想に基づいて試算した日本企業の長期的な実質収益率の伸び(期間10年)を上回っています。一般に、日本は高齢化社会を背景に企業成長率が低いと考えられていますが、日本企業はこうした経営環境に上手く対応しています。利益率も年々改善しており、米国を拠点とするアクティビスト(物言う株主)は長年にわたって日本企業に効率化を図るよう促してきました。
高齢化社会では、労働投入の経済成長への寄与度は長期的にはマイナスに転じるため、日本は生産性および資本生産性に大きく依存しています。日本は常に生産性が低いと考えられてきましたが、生産年齢人口の一人当たりGDPを見ると、OECD諸国の中で最も生産性の高い国にそれほど見劣りしません。マッキンゼーが2015年3月に発行したレポートは、日本が今後数十年間で直面する課題や新たな成長機会を非常によくまとめています。日本は先進国の中で最初に人口減少による圧力を経験するため、最も自動化を加速する必要に迫られると予想されます。人口減少はいずれ欧米諸国を悩ませる問題となることから、日本の自動化やロボット業界は、将来的に同国の輸出拡大を牽引する役割を果たす可能性が期待できます。キーエンス(6861)は、日本の自動化/ロボット業界をリードする企業の一つです。
バリュエーションは極めて割安;自社株買い加速と低い金利感応度に注目
日本株市場の最も興味深い特徴の一つは、そのバリュエーション水準です。日本株の12ヶ月先EV/EBITDAは6.7倍と、米国株に比べて48%割安な水準にあり、日本企業のに対する極めて悲観的な見方を反映しています。過去10年余りに及ぶ米国のハイテク株主導の強気相場は、両国の株式市場のバリュエーションにかつてないほどのギャップを生みだしました。これは、1995年以降、日本株と米株の配当利回りの差が-2%ポイントから+0.8%ポイントに拡大していることからも明らかです。日本株にとってもう一つポジティブな要因は、日本企業による資本生産性の向上が、自社株買いによる株主還元の拡充を可能にしていることです。過去5年間の自社株買い利回りの平均は0.9%に達しています。
配当利回り2.4%、自社株買い利回り0.9%、実質収益率2.1%に基づいて算出される日本株の長期的な実質リターンの予想は、足元で年率5.4%になります。ただ、投資家が日本企業による生産性向上や、海外進出を加速して低い名目GDP成長率という課題をクリアする能力を過小評価しているとすれば、この水準はいずれ低すぎると判断されるようになるかもしれません。
最後にもう一つ興味深い点として、日本企業の現預金残高が純有利子負債を上回っていることがあげられます。これは、米国をはじめとする大半の国の株式市場に上場する企業とは異なり、日本企業の金利感応度は金利上昇に対してポジティブに作用することを意味します。黒田氏の後任として植田氏が日銀総裁に就任したことで、日銀は長い目で見るとこれまでと異なる金融政策を導入する可能性があり、これは、円高を促すと同時に、日本企業が保有する現預金残高の価値を高めることになります。
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