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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: 金は厳しかった2022年を経て足場を固めます。2023年は、インフレが当面続くことを市場が認識する年となります。
インフレが40年ぶりの高水準に達したにも関わらず、金価格の上昇が見られず多くの投資家が苦戦した2022年を経て、金は2023年にようやく足元を固めます。
インフレは一過性のものであるという市場の誤ったコンセンサスが、金の上昇を抑制していた要因であったことが明らかになります。各国の中央銀行は、総じてインフレはわずか2、3年のうちに目標値に戻ると予想しており、市場のブレーク・イーブン・インフレ率でも同様に予測されていたのです。もし、5年先の期待インフレ率が2.5%を下回ると予想されているときに米国債5年物が4.0%を大きく上回っていたら、とりわけドル高の環境下で、一体どのようにして金は2022年に上昇できたでしょうか?2023年は、インフレが当分続くことを市場がようやく認識する年になるでしょう。
FRBによる政策金利引き上げおよび量的引き締めは、米国債市場に新たな課題をもたらし、国債市場のボラティリティを抑制するための新たな「対策」が必要となり、それが事実上の新たな量的緩和となります。一方、春の訪れとともに、中国は有効な治療法や、おそらく新たなワクチンを宣伝し、ゼロコロナ政策からさらに本格的に脱却することを決定します。中国の需要が再び拡大すると、商品価格が大幅に上昇し、インフレ率が急上昇します。特に、FRBが金融引き締め政策を緩和することによって米ドル安が進むため、ドル安の下でのインフレ率上昇です。こうした新たな環境で先物の実質金利が大きく変化するため、所有が過少となっている金は高騰します。
2023年、最も強い通貨である金は、3つの方向からさらに支えられます。第一に、地政学的な背景として、戦時経済下で自立が促され、外貨準備の保有を最小限に抑え、金を選好する心理が強まることです。第二に、エネルギー源、エネルギー転換、サプライチェーンなど、新たな国家安全保障の優先事項への大規模な投資です。第三に、緩やかな実質成長率の低下(ただし名目価格には影響はない)が定着する中、政策当局が債券市場の混乱を回避するために動き、世界での流動性が高まることです。金は2,075ドル付近のダブルトップが、まるでなかったかのように上抜け、2023年には少なくとも3,000ドルに到達するとみられます。
市場へのインパクト: 金のスポット価格が1オンス3,000ドルを上回る水準に上昇し、VanEck Junior Gold Miners ETFの時価総額は4倍に膨れ上がります。