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マーケット・ストラテジスト(Saxo Group)
サマリー: スナク首相は解散総選挙を実施し、辞任します。自由民主党の支持上昇に注目し、スターマー労働党党首がEU再加盟の国民投票を支持する立場で出馬します。
2022年、英国リズ・トラス元首相が記録的な短期間の在任に終わったことは、英国が抱える政策上のジレンマを浮き彫りにしました。サプライサイド政策の減税とデマンドサイド政策のエネルギー補助金は、その国が巨額の財政・貿易赤字を抱える場合、債券や為替市場にとって有害なポリシーミックスとなるのです。
2022年にトラス氏とクワーテング氏のコンビの後を引き継いだのはリシ・スナク氏とジェレミー・ハント氏のコンビで、彼らは増税と歳出削減を通じて財政緊縮を行うだけです。それによって英国の財政の持続可能性は高まるでしょうか? 一時的にはそうかもしれません。しかし、トラス氏とクワーテング氏にそれらの政策を実施する機会が与えられていたとしても、単にインフレ率の大幅な上昇を引き起こす有害なポリシーミックスに過ぎなかったでしょう。
2023年、スナク氏とハント氏の容赦ない財政政策によって英国は破滅的な不況に陥り、失業率が急上昇します。その結果、税収が枯渇し政赤字が膨らむこととなり、皮肉にもトラス政権の支持率は前代未聞の水準まで低下するでしょう。国民の支持を失ったスナク氏に解散総選挙を求めるデモが勃発します。経済が破綻する中で、イングランドやウェールズでもブレグジットの是非を再び問う世論調査が行われます。
ブレグジットについては18歳から24歳の若年層の80%が残留に投票したのに対し、65歳以上の高齢者の3分の2近くが離脱に投票しましたが、後者の多くは既に他界したか、少なくとも労働市場への参加者の割合は非常に小さくなっています。スナク氏はついに屈服し、選挙の実施を決定し、辞任して、ボロボロになった党の指揮を新たな人物にゆだねることになります。
労働党のキア・スターマー党首は、ブレグジットの2度目の国民投票を求める国民の支持と、自由民主党が世論調査での支持を急速に高めていることに注目し、ブレグジット問題では非同盟を掲げながらも、デイビッド・キャメロン元首相が当初実施した2016年の国民投票の前に交わされた取り決めに従って、EU再加盟の2度目の国民投票の実施を支持します。第3四半期に労働党政権が誕生し、2023年11月1日にブレグジットを撤回するための国民投票を行うことを約束します。「再加盟」票が勝利をおさめます。