2023年第2四半期予想:「分断化ゲーム」

2023年第2四半期予想:「分断化ゲーム」

スティーン・ヤコブセン
最高投資責任者(CIO, Saxo Bank A/S)

サマリー:  分断化ゲームとは何を意味するのか。エグゼクティブサマリーをご覧ください。

3月に突如として発生した米国の銀行の混乱、そしてそのわずか1週間後にスイス国立銀行(SNB)が仲介したUBSによるクレディ・スイスの買収は、グローバル市場に衝撃を与えました。当グループは本四半期予想を作成中であったため、その影響に急いで対処しました。今回の危機は、銀行システムと経済の双方に短期的にも中長期的にも重要な影響を及ぼすものであり、本稿では危機に対処するために最善を尽くしました。例えばこの危機によって来るべき景気後退は急速に前倒しされるでしょう。スティーン・ヤコブセンは、第1四半期末に発生した銀行の突然の混乱が意味するものを読者に説明し、これは2008年から2009年にかけた債務危機ではなく、資金調達コストの高騰によって引き起こされた危機であると指摘しています。

しかしながら、本四半期予想の本来のテーマである「分断化ゲーム」という課題についても幅広く取り上げています。これは、一般に「非グローバル化」という新たな潮流を総称するものですが、私たちはこのテーマは非常に曖昧なものであると感じています。スティーン・ヤコブセンが指摘するように、世界経済は今後数十年にわたって大規模な再編プロセスに突入するものと予想され、「分断化」という言葉はこうした非グローバル化の流れをより適切に表現しています。世界中のあらゆる国が医療、エネルギー、重要資源、技術、防衛など、すべての重要なサプライチェーンを国内回帰させるか、または友好的な貿易相手国との取引に限定するか、あるいは理想的な選択肢としてその両方を用いるかを見極めるための競争が今まさに始まっているのです。

香港を拠点とするマーケット・ストラテジストのレドモンド・ウォンは、中国が国際機関においてより重要な役割を担い、戦略的な貿易関係を深め、近年では初めて輸出依存度を低下させる中で直面する様々な課題について考察しています。今後はテクノロジーや特に資源を確保することは、中国にとって最大の課題となるでしょう。また、マーケット・ストラテジストであるチャル・チャナナは、分断化する世界において東南アジア、特にインドは極めて高い成長力を秘めた市場として注目しています。例えば、インドの人口動態や製造業における高い潜在的生産能力を、同国の保護主義的な政策や経済成長の妨げとなっている官僚主義と照らし合わせて、その可能性を探ります。

株式戦略責任者を務めるピーター・ガンリューは、エネルギー危機を回避して堅調なパフォーマンスを上げた欧州をはじめ、多くの株式市場が年初に好調なスタートを切った後に世界を襲った銀行危機が市場に与える影響を考察します。また、「分断化ゲーム」が今後、世界の株式市場にどのような痛みと投資機会をもたらすかについて詳しく掘り下げています。成長が見込まれるセクターとして主に半導体、防衛、再生可能エネルギー、物流、大企業、また、特に負債比率が低く高い競争力を持つ優良企業に注目しています。

マクロ分析責任者クリストフ・ダンビは、銀行危機が米国経済をどこに導くか議論を展開します。最終的には景気後退に陥る可能性が高く、米国の中小・地方銀行に商業不動産ローンが集中していることに留意すべきであると指摘しています。また、欧州ならびに英国の不動産市場に警戒感を高めており、今後の動向に注目しています。

FX戦略責任者であるジョン・ハーディは、金利サイクルは現在急激な変化を遂げており、今後のポリシーミックスや通貨間の攻防がさらなる金融システムの混乱の影響を和らげるための刺激策となる可能性について考えます。ハーディは最終的には来るべき景気後退は過去25年間に経験してきた危機とは非常に異なる形で訪れるだろうと結論付けています。また、日本は何らかの形でイールドカーブ・コントロールを実施せざるを得ないことは確実であり、戦略上の選択肢を認識しているものとみられます。

コモディティ戦略責任者を務めるオール・ハンセンは、中国経済再開によるコモディティ市場の上昇は第1四半期に失速したと述べる一方、その可能性を否定するのは時期尚早であると指摘しています。エネルギーセクターの電動化と同様に、「分断化ゲーム」の一部は銅を中心に極めて金属集約型のプロセスです。また、伝統的なインフレヘッジである貴金属は、第1四半期にすでに復活を遂げ、金はいくつかの主要通貨に対して過去最高値を記録しています。

最後に、インベストメント・コーチを務めるハンス・オウツフルンは、投資家が株式ポジションのダウンサイドをヘッジする方法として、一般的な手法であるオプションのカラー取引(コール・オプションの売りで少なくとも一部を賄うプットの買い)を紹介し、S&P500先物指数のポジションの例を挙げています。

第2四半期以降の先行きが安全で豊かなものとなることを心より願っています。今回の市場の混乱によって、投資家が直面するリスクは高まっています。「分断化ゲーム」では、世界がどのように秩序づけられ、また、再構成のプロセスが今後数四半期、数年、数十年の投資においてどのような影響をもたらすのかを、すべての人が考える必要に迫られています。

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

コンテンツ免責事項

本ウェブサイトで提供される情報は、金融商品の売買を勧誘、推奨、または承認するものではなく、金融、投資、または取引に関するアドバイスを目的としたものではありません。当社およびサクソバンクグループの各法人は、執行専用のサービスを提供しており、すべての取引および投資はご自身の判断に基づいて行われます。分析、調査、および教育コンテンツは情報提供のみを目的としており、アドバイスや推奨として解釈されるべきではありません。

当社のコンテンツは、著者の個人的な見解を反映している場合があり、予告なく変更されることがあります。特定の金融商品の言及は、例示目的であり、金融リテラシーの向上を目的としています。投資調査として分類されるコンテンツはマーケティング資料であり、独立した調査の法的要件を満たすものではありません。

投資判断を行う際には、ご自身の財務状況、ニーズ、目標を十分に考慮し、必要に応じて独立した専門家のアドバイスを受けるかどうかの判断も含め、自己責任であることをご理解ください。当社は、提供される情報の正確性または完全性を保証するものではなく、この情報の利用により生じた誤り、脱漏、損失または損害について一切の責任を負いません。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。