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2023年第2四半期予想を発表 〜日本円が今後数年間で大きく上昇する可能性があると予想〜
サクソバンク(Saxo Bank A/S)は、当グループ会社のアナリストチームによる2023年第2四半期の予想を発表しました。今回のテーマは、非グローバル化が加速する中で経済や地政学的リスクを巡り激化する国際競争を意味する「分断化ゲーム」です。当予想では、各国がエネルギー等の重要資源やサプライチェーン、ならびに半導体を中心とするIT技術の国際競争力の確保だけでなく、いかに欧米諸国の支配からシフトし、新たな同盟関係を築く必要に迫られているかを考察し、今後の展望を探ります。
2023年第2四半期の予想:「分断化ゲーム」はこちら
注目は日本円についてです。実質長期金利の低下やマイナス金利の見通しが市場全体に定着すれば、日本円の圧力をある程度緩和することができる可能性があると予想されます。日本の投資家は、他国の実質金利利回りが満足できない場合、膨大な貯蓄の一部を本国へ送還する可能性があります。その場合、日本円は今後数年間で大きく上昇する可能性があります。
また、コモディティは引き続き主要な資産クラスとなっています。
ブレント原油は、第1四半期の大半において80ドル台で取引されましたが、銀行危機と景気後退懸念の高まりを受けて投資家がエクスポージャーの削減に急いだため、70ドルまで大きく下落しました。この結果、第2四半期は予想を下回る水準で取引を開始しました。今後は欧米の景気後退懸念の高まりが、中国の需要が持続的かつ堅調に回復しているプラスの影響を打ち消すものと予想されるため、ブレント原油が第2四半期中に90ドルを上回る可能性は限定的であると予想します。
2023年第2四半期予想のトピック
「分断化ゲーム」と金融不安を巡る市場リスクの高まり
戦略的かつ機動的な投資を行うことは、かつてないほど重要になっています。世界が分断化され、一部で非グローバル化が進むことによって、サプライチェーンを確保するために新たな生産拠点が整備され、その結果としてグリーントランスフォーメーションのように巨額の投資をもたらす可能性もあるでしょう。一方、分断化によって一部で過剰生産による損失が生じる場合もあるかもしれません。担当:スティーン・ヤコブセン
分断化ゲームにおける中国の戦略
本稿では、市場や資源へのアクセスを確保するためにグローバル化を取り入れながら、同盟関係やブロック経済の構築を追求する中国の戦略に注目します。中国は、二国間協定や地域経済エコシステムの確立することによってその勢力を拡大し、自らの地位を守ることを積極的に追い求めています。担当:レドモンド・ウォン
金利上昇後の新たな世界
高まる米景気後退リスクについて、私たちは米国の景気後退を基本シナリオとするには時期尚早だと考えています。しかし、こうした新たな動きは、来るべきリセッションの時期を急速に前倒しさせるリスクを孕んでいます。当グループの見解としては、銀行の破綻が広がるリスクは低いと考えています。しかし、市場参加者は、拡大する市場ストレスが貸出状況全体に与える影響、特に商業用不動産に関する中小銀行の根深く広がる構造的な脆弱性に留意する必要があります。これは、米国で見過ごされてきた大きな問題であると言えます。担当:クリストフ・ダンビ
株式市場:未知なる世界へ
「分断化ゲーム」とは、エネルギー、技術、防衛へのアクセス強化を競う諸国家間の地政学的ダイナミクスです。電動化とグリーン・トランスフォーメーションは、エネルギー供給の自立に向けた直接的な戦略であり、特にウクライナ侵攻後は、あらゆる国家にとって明らかに重要な競争要因となっています。 グリーン・トランスフォーメーションは、リチウムや銅などの金属、電気事業や太陽光発電に関連するあらゆる製品やサービスのほか、エネルギー貯蔵システムの成長にもポジティブな影響をもたらすでしょう。担当:ピーター・ガンリュー
混乱の中で投資機会を提供するインド・東南アジア市場
韓国と台湾の北アジア株式および日本の銀行株は、米国の銀行セクターのストレスからの波及リスクに直面する可能性があります。また、輸出主導型である韓国や台湾の株式は、世界的な需要鈍化からより大きな逆風にさらされる可能性があります。一方、安全資産である日本円の上昇は、世界的な成長見通しの鈍化とともに日本株全体の見通しを悪化させる可能性があります。しかし、植田日銀新総裁による金融政策の微調整は今後も注目を集めるでしょう。担当:チャル・チャナナ
株式市場の混乱からロングポジションを守るには
ここ数週間で起こったシリコン・バレー銀行の破綻やクレディ・スイスをめぐる緊張の高まりを背景に、株式市場の混乱は激しさを増しています。こうした状況において、期待と恐怖の間を行き来している投資家は、自らのポートフォリオを守る方法を探すことになります。市場が予想以上に早く回復する可能性もあるため、アップサイドを狙いつつリスクを低減する方法として、オプションのカラー取引を活用する方法を紹介します。担当:ハンス・オウツフルン
コモディティ市場:先進国を凌駕する新興国市場
コモディティは2022年に最も注目を集めた市場のひとつでしたが、引き続き主要な資産クラスとなっています。今後も投資不足(銀行危機によって回復は見込めない)、中国経済の回復シナリオ、各国政府のエネルギー転換への政策支援、インフラ投資のリバウンド、および気候変動リスクが複数の主要商品の需給逼迫をもたらし、商品相場の上昇をけん引するものと予想されます。担当:オール・ハンセン
為替:インフレ終息前の利上げサイクル終了が意味するものとは
第2四半期は、日本円にとって新たな時代の幕開けとなるでしょう。黒田東彦日本銀行総裁が4月に10年間の任期を終えて退任するだけでなく、他の中央銀行が、たとえ名目利回り水準は異なるにしても、日銀の政策に倣う方向に必然的にシフトする可能性があるためです。当グループの予想通りに実質長期金利(名目ではなく)の低下やマイナス金利の見通しが市場全体に定着すれば、日本円の圧力をある程度緩和することができるかもしれません。日本の投資家は、他国の実質金利利回りが満足できない場合、膨大な貯蓄の一部を本国へ送還する可能性があります。その場合、日本円は今後数年間で大きく上昇する可能性があり、CPI調整後の日本円実質実効為替レート指数では、おそらく10~15%程度上昇するものと予想されます。担当:ジョン・ハーディ
2023年第2四半期の予想:「分断化ゲーム」はこちら
注目は日本円についてです。実質長期金利の低下やマイナス金利の見通しが市場全体に定着すれば、日本円の圧力をある程度緩和することができる可能性があると予想されます。日本の投資家は、他国の実質金利利回りが満足できない場合、膨大な貯蓄の一部を本国へ送還する可能性があります。その場合、日本円は今後数年間で大きく上昇する可能性があります。
また、コモディティは引き続き主要な資産クラスとなっています。
ブレント原油は、第1四半期の大半において80ドル台で取引されましたが、銀行危機と景気後退懸念の高まりを受けて投資家がエクスポージャーの削減に急いだため、70ドルまで大きく下落しました。この結果、第2四半期は予想を下回る水準で取引を開始しました。今後は欧米の景気後退懸念の高まりが、中国の需要が持続的かつ堅調に回復しているプラスの影響を打ち消すものと予想されるため、ブレント原油が第2四半期中に90ドルを上回る可能性は限定的であると予想します。
2023年第2四半期予想のトピック
「分断化ゲーム」と金融不安を巡る市場リスクの高まり
戦略的かつ機動的な投資を行うことは、かつてないほど重要になっています。世界が分断化され、一部で非グローバル化が進むことによって、サプライチェーンを確保するために新たな生産拠点が整備され、その結果としてグリーントランスフォーメーションのように巨額の投資をもたらす可能性もあるでしょう。一方、分断化によって一部で過剰生産による損失が生じる場合もあるかもしれません。担当:スティーン・ヤコブセン
分断化ゲームにおける中国の戦略
本稿では、市場や資源へのアクセスを確保するためにグローバル化を取り入れながら、同盟関係やブロック経済の構築を追求する中国の戦略に注目します。中国は、二国間協定や地域経済エコシステムの確立することによってその勢力を拡大し、自らの地位を守ることを積極的に追い求めています。担当:レドモンド・ウォン
金利上昇後の新たな世界
高まる米景気後退リスクについて、私たちは米国の景気後退を基本シナリオとするには時期尚早だと考えています。しかし、こうした新たな動きは、来るべきリセッションの時期を急速に前倒しさせるリスクを孕んでいます。当グループの見解としては、銀行の破綻が広がるリスクは低いと考えています。しかし、市場参加者は、拡大する市場ストレスが貸出状況全体に与える影響、特に商業用不動産に関する中小銀行の根深く広がる構造的な脆弱性に留意する必要があります。これは、米国で見過ごされてきた大きな問題であると言えます。担当:クリストフ・ダンビ
株式市場:未知なる世界へ
「分断化ゲーム」とは、エネルギー、技術、防衛へのアクセス強化を競う諸国家間の地政学的ダイナミクスです。電動化とグリーン・トランスフォーメーションは、エネルギー供給の自立に向けた直接的な戦略であり、特にウクライナ侵攻後は、あらゆる国家にとって明らかに重要な競争要因となっています。 グリーン・トランスフォーメーションは、リチウムや銅などの金属、電気事業や太陽光発電に関連するあらゆる製品やサービスのほか、エネルギー貯蔵システムの成長にもポジティブな影響をもたらすでしょう。担当:ピーター・ガンリュー
混乱の中で投資機会を提供するインド・東南アジア市場
韓国と台湾の北アジア株式および日本の銀行株は、米国の銀行セクターのストレスからの波及リスクに直面する可能性があります。また、輸出主導型である韓国や台湾の株式は、世界的な需要鈍化からより大きな逆風にさらされる可能性があります。一方、安全資産である日本円の上昇は、世界的な成長見通しの鈍化とともに日本株全体の見通しを悪化させる可能性があります。しかし、植田日銀新総裁による金融政策の微調整は今後も注目を集めるでしょう。担当:チャル・チャナナ
株式市場の混乱からロングポジションを守るには
ここ数週間で起こったシリコン・バレー銀行の破綻やクレディ・スイスをめぐる緊張の高まりを背景に、株式市場の混乱は激しさを増しています。こうした状況において、期待と恐怖の間を行き来している投資家は、自らのポートフォリオを守る方法を探すことになります。市場が予想以上に早く回復する可能性もあるため、アップサイドを狙いつつリスクを低減する方法として、オプションのカラー取引を活用する方法を紹介します。担当:ハンス・オウツフルン
コモディティ市場:先進国を凌駕する新興国市場
コモディティは2022年に最も注目を集めた市場のひとつでしたが、引き続き主要な資産クラスとなっています。今後も投資不足(銀行危機によって回復は見込めない)、中国経済の回復シナリオ、各国政府のエネルギー転換への政策支援、インフラ投資のリバウンド、および気候変動リスクが複数の主要商品の需給逼迫をもたらし、商品相場の上昇をけん引するものと予想されます。担当:オール・ハンセン
為替:インフレ終息前の利上げサイクル終了が意味するものとは
第2四半期は、日本円にとって新たな時代の幕開けとなるでしょう。黒田東彦日本銀行総裁が4月に10年間の任期を終えて退任するだけでなく、他の中央銀行が、たとえ名目利回り水準は異なるにしても、日銀の政策に倣う方向に必然的にシフトする可能性があるためです。当グループの予想通りに実質長期金利(名目ではなく)の低下やマイナス金利の見通しが市場全体に定着すれば、日本円の圧力をある程度緩和することができるかもしれません。日本の投資家は、他国の実質金利利回りが満足できない場合、膨大な貯蓄の一部を本国へ送還する可能性があります。その場合、日本円は今後数年間で大きく上昇する可能性があり、CPI調整後の日本円実質実効為替レート指数では、おそらく10~15%程度上昇するものと予想されます。担当:ジョン・ハーディ