【マーケットニュース】円全面高、トルコリラは乱高下の展開
今週の22日に、トルコのエルドアン大統領が金融政策への影響力を強める構えを示したことで、S&Pやフィッチなど格付け会社が警戒感を示しました。これを受け、外為市場ではトルコリラへの売りが加速し、対ドルや対円で一時過去最安値を付ける展開となりました。トルコリラは、先週、エルドアン大統領が6月の大統領・議会選後に金融政策への影響力拡大を望むとの発言から急落しました。為替市場では、2桁に上昇しているインフレ率を抑制するため中銀が断固とした利上げを行う必要があるとみていましたが、エルドアン大統領の発言を受けて、中銀の対応能力を巡る懸念が一段と強まりました。 トルコリラは高金利通貨とも呼ばれていますように、インフレ率が高いことで金利も高いわけです。トルコ経済は比較的しっかりはしているものの、輸入の依存度が高く原油価格の上昇などが、インフレ懸念を更に強めています。通貨安や物価の上昇に対してトルコ中銀は利上げによって対応しようと模索していたところに、エルドアン大統領の真逆の提案が市場を揺るがしたわけです。 トルコは6月24日に大統領選と国会議員選を控えています。現状はエルドアン大統領が当選優位と伝わっていますが、この通貨暴落で不透明感は漂っています。エルドアン大統領は選挙対策から、年金支給などを利用してのバラマキ政策を行っていると伝わっています。
他の問題点は、6月の大統領・議会選後に、エルドアン大統領が金融政策への影響力拡大を望むと発言したことです。これには市場は動揺しました。トルコ中銀の独立性が失われれば、インフレ圧力は強まり、それによって通貨安に歯止めが掛けられなくなるとの見方が台頭したわけです。 23日、トルコ中央銀行は、6月7日の金融政策決定会合まえに、臨時で金融政策委員会を開き、複数ある政策金利のうち事実上の上限金利とする「後期流動性貸出金利」を3.0%引き上げ年16.5%にすることを決定しました。通貨リラが大幅に下落したため、通貨防衛のために利上げが必要と判断した結果かと思われます。23日に対ドルベースで、一時1ドル=4.92リラ台まで下落し、過去最安値を更新しましたが、利上げ発表後は1ドル=4.65リラ程度と、前日と同水準まで戻す結果となりました。トルコ中銀は「最近の物価上昇やインフレ期待の高まりが価格決定にリスクを及ぼしており、価格安定に向け強力な金融引き締めを実施すると決めた」と声明しました。今後も必要に応じて利用可能な全ての手段を講じると表明もしております。エルドアン大統領は利上げの動きに公然と反対しており、利上げ後のテレビ演説で、金融政策についてグローバルな原則に従う方針を示し、投資家の不安払拭に努めました。一部インタビューでは、6月24日の選挙で勝利すれば金融政策への関与を強める意向だと述べているだけに、今後のトルコリラの動向には引き続き注意が必要かもしれません。
【来週の注目経済指標】
来週、米国では30日に1-3月期実質GDP成長率の改定値が発表されます。また、ベージュブックも発表される予定です。31日は4月PCEコアデフレータが発表されます。6月1日は5月雇用統計が発表予定です。4月の内容は、平均時給が過去分が下方修正され、前年比の伸びも市場予想を下回りました。平均時給の前年比の伸びは2016年からほぼ横ばいで推移しており、変化に注目が集まります。また、同日は5月ISM製造業景況指数が発表される予定です。
【来週の為替市場の注目は】
本日、予想外のトランプ大統領の米朝首脳会談中止発表で円高が誘発させられました。米国が一応交渉再開の可能性を残したことで、更なるリスクオフの円高は進みにくい状況ではありますが、米朝の発言には注意が必要かもしれません。また、米国の自動車輸入関税検討を巡っては、今後の展開次第ではリスクオフムードを台頭させる可能性があります。鉄鋼などの輸入制限に続く異例の強硬な保護主義政策を米国内に浸透させ、秋の中間選挙を前に、米国の貿易赤字削減に向けた成果を示したいのかもしれません。来週も円高進行するリスクは残っているかと思われます。来週は、米朝首脳会談の行方、5月の雇用統計など米経済指標、トランプ大統領の「米国第一」主義の行方を見極めながらの相場展開が想定されそうです。
▶ 田代岳 「欧州の視点で読み解くマーケット」更新日: 5月25日 | |
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ドル円、クロス円は底打ちしたか? ドル円は111円台、日経平均は23000円台まで上昇しましたが、今週は一転してドル円、日本株の下落となりました。 ドル円は3月25日に104.54の安値、日経平均は3月26日に20347.49円の安値をつけた後はリスクオンの適温相場が続き、5月21日には111.39、日経平均は23031.67円の高値を示現しました。 | |
▶ 成田博之「需給動向と相関が語る世界」更新日:5月 24日 | |
■今週のピックアップ銘柄:シカゴ大豆類 大豆の国際的な指標価格は、アメリカのシカゴマーカンタイル取引所(CME)グループに属するシカゴ商品取引所(CBOT)で形成されています。CBOTの大豆先物の限月構成は、1月限、3月限、5月限、7月限、8月限、9月限、11月限となっており、その年に獲れたものは11月限に取引が行われます(新穀限月)。CBOT大豆先物価格自体は他の農産物先物市場と同じく、需給要因、天候要因、テクニカル要因などの影響を受けて変動します。 | |
▶ 山中康司 「テクニカル分析に強くなるオートチャーティスト」更新日: 5月 24日 | |
■先週のレビュー まず、先週のストラテジの振り返りです。前回はシグナル点灯直後に逆に動いた通貨ペアを積極的にピックアップしてみましたがどうなったでしょうか。 (1)GBPCHFの買い(シグナル点灯5月17日)TP=1.3602、SL=1.3462 先週執筆時点のレートが1.35567、その後のレンジは1.31780~1.35698と一度も上がることなくじり安の展開を辿ることとなりました。 |
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▶ 円高が進行。ドル円は111円台から109.50円割れへ。トルコリラは最安値を更新
今週の22日に、トルコのエルドアン大統領が金融政策への影響力を強める構えを示したことで、S&Pやフィッチなど格付け会社が警戒感を示しました。 これを受け、外為市場ではトルコリラへの売りが加速し、対ドルや対円で一時過去最安値を付ける展開となりました。円は全通貨で全面高となり週前半の 111円台から109.50円を割り込んで推移する展開となっています。来週の金曜日に米国雇用統計を控えて目が離せない状況となっています。
▶ 原油高は一服か。1バレル72ドル後半から70ドル手前まで下落!
中東情勢や米朝関係等の地政学リスクやベネズエラの生産減少を背景に上昇していWTI原油価格ですが、週半ばより 米国原油在庫の増加やサウジアラビアが協調減産の規模縮小を協議する見込みとの報道もあり下落しています。 当社では約1万円程の証拠金からWTI原油CFDに投資することができ、買いからも売りからも入ることができます。
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