【マーケットニュース】貿易摩擦からの悪循環相場の強まり
トランプ米政権による直接・間接的な圧力が中国経済に打撃を与え、世界の金融・資本市場にリスクオフムードを高め、米株式相場に跳ね返る悪循環相場の様相が強まっている。市場は米中対立の行方に身構え、株式などのリスク資産を手放し始めた。
10日のNYダウ工業株30種平均は前日比831ドル安と大幅下落となった。米長期金利の上昇でもともと割高感が意識されやすかったハイテク株への売りが膨らんだ上、米中貿易摩擦の長期化懸念が改めて売りを誘発させた。チャート分析上のテクニカル要因も重なり、売りが売りを呼ぶ展開となった。
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世界の株式市場の動揺が続き、リスク回避の買いが増えてもおかしくない円が12日は小幅安に転じている。前日まで短期間で急上昇していた円相場だが、12日は1ドル=112円41銭近辺まで下落する場面があった。投機的な円売り持ち高の巻き戻しが一巡してきたとみられる。外国為替市場では今後、米金利の高止まりで日米金利差の拡大を材料とした円売り・ドル買いが再び増えてくるとの見方も出ている。
11日の米国市場では株式相場が大幅に続落し、円相場は1ドル=111円83銭まで上昇した。だが、その後は次第に円売り・ドル買いが出て円は前日17時時点と比べると下落に転じている。
米商品先物取引委員会(CFTC)によるデータでは、2日時点での海外投機筋などの円の売り越し幅が7カ月ぶりの大きさになっていた。その後急速に進んだ円高・ドル安の間に「1ドル=112円台に上昇した段階でポジションの巻き戻し(円の買い戻し)は一巡してきた」。
今週に入り世界的に急速に広がった運用リスク回避的なムードは、短期間で収束するとの楽観的な見方は少なくない。「新興国通貨はパニック的な下げになっておらず」、グローバルな投資家が全面的にリスク回避姿勢に傾いているとの見方に疑問だ。
世界的な株安のきっかけになった米長期金利の上昇は、日米金利差の拡大を材料にした円売り・ドル買いを促す側面もある。今週の株価の急落はこうした見方をかき消すほどのリスク回避の円買いを呼び込んだ。だが、「米長期金利の上昇は米経済の堅調さが背景」とされ、円売り・ドル買いの材料になるのも自然だ。
投機筋の潜在的な円買い圧力が低下したとしても、世界の株式相場の動揺が続けば円安への反転は見込みづらい。とはいえ12日の日経平均株価や中国・上海株は11日の米国株が大幅に続落した割には底堅い。日米金利差を材料にした円売り・ドル買いが再び優勢になる可能性が出てきた。
※注目点
* もともと10月はFRBによる500億ドルの資産圧縮から米長期金利は上昇しやすかった面もあったが、今回で最後、17日公開のFOMC議事録にサプライズがないと確認されれば、落ち着きを取り戻すとみている
* 米国で中間選挙前最後の議会で新たな減税策やインフラ投資など財政出動が出てくる可能性があり、国内でも災害対応など補正予算第1弾が閣議決定される予定で、株式市場にはプラス
* 7-9月期は企業想定レートよりドル・円が円安で推移し、これから本格化する決算発表では業績の上方修正が期待できる
【マクロウォッチリスト】
田代岳 【FXオプションを使ったトレード戦略】 | |
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相場感とデルタヘッジについて 先週のポジションは、イタリアの財政問題などの関係もあって、雇用統計後にある程度動くと考えられたEURについてデルタヘッジ付きのオプションポジションをとってみたものでした。経過を報告すると、EURは1.15割れとなり、一時かなり下落しそうな雰囲気を漂わせていましたが、売り圧力もさほど強くなく、昨日は米国株が大きく下落する中で、債券、為替は非常に静かな動きとなって、EURも1.15前半に戻ってしまいました。 | |
成田博之【需給動向と相関が語る世界】 | |
時事通信は、「インフレ高進への警戒感から米長期金利が上昇して、景気の足かせになりかねないとの見方が強まったことから米株相場は急落し、同じくリスク資産である原油にも売りが波及」と報道しています。また、「国際通貨基金が公表した最新の経済見通しで、貿易摩擦などの影響を考慮して2018年と19年の世界成長見通しを下方修正していたことも、株式および原油相場には圧迫要因」と伝えています。 | |
山中康司 【テクニカル分析に強くなるオートチャーティスト】 | |
まず、先週のストラテジの振り返りです。先週は私自身の相場観から円安は終わりが近いとの判断で、円高期待から3つとも円買いのストラテジをピックアップしました。順に結果を見ていきましょう。
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