0DTEオプションの魅力

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※本レポートは、サクソグループのアナリストによるレポート原文(英語)を、オプショントレード普及協会(株式会社M&F Asset Architect)代表 守屋史章氏が翻訳されたものです。

0DTEとは?

満期まで残り0日になったオプション、これがすなわち0DTEオプションなのですが、何か複雑で特別なものではなく、基本的には広く取引されているオプションと何ら異なるものではありません。ただ、この0DTEオプションを特徴づけるのは、そのオプションを取引するのが満期日(最終取引日)だということです。最終取引日の取引ということで、勝ち負けを短期で決着させることができるため、短期の結果を求めるトレーダーの注目の的になっています。

「0DTE」という少々独特な表現には少し注意したほうが良いかもしれません。というのも、満期までの残存日数の長い他のオプションと同様に取引できることに変わりはないからです。要するに、最終取引日においては、そのオプションは日計りオプションだということです。とすれば、「デイリーオプション」とよんだ方がわかりやすいかもしれませんが、それでもなお「0DTE」という言葉にはトレーダーの想像力をかきたてる魅力があるように思います。

0DTEオプションは、満期までの残存日数が異なるだけで、普通に取引されているオプションと性質が異なるものではありませんので、一般的なオプション戦略に関する基本なオプションの知識に基づいて0DTEオプションを取引することが可能です。

0DTEオプションの利点

0DTEオプションは特定のトレーダーにとって注目の的となっておりますが、それには理由があります。その魅力的な利点についていくつか説明しましょう。

  • 時間効率:取引日に満期が到来することから、0DTEオプションにおいては、短期的投資判断による短期的リターンを実現できる可能性があります。これは特に時間的価値の急速な減衰(タイムディケイ)を狙うオプションの売り手にとって好ましい特徴といえましょう。たとえば当日アウトオブザマネー(OTM)のオプションを売り、そのままOTMで終わった場合、受け取ったオプション料はすべて確定的にあなたのものになります。

  • 安いオプション料:満期までの残存日数が少ないため、満期までまだ時間が残っているオプションに比べてオプション価格は安くなる傾向があります。

  • 使い勝手の良さ:オプション取引において一般に必要とされる比較的長期の見通しによらず、短期的な市場の動きを捉えて利益を上げることができます。

  • ヘッジ機能:当日限りのリスクに対してピンポイントでリスクヘッジを可能にします。例えば、本日火曜日、FOMCがインフレに関する数値を発表します。あなたのポートフォリオはSPX(S&P500指数)に正の相関があるとしましょう(すなわち、SPXが上昇すればあなたのポートフォリオ資産価値が上昇する関係にあるとしましょう)。ところがあなたは、本日のFOMCの発表はネガティブな内容でありSPXは下落する可能性が高いと予想しています。さて、このようなとき、あなたは当日満期のプットオプションを買うことで、このFOMCの発表による当日のSPXの下落の影響をヘッジすることができるのです。

0DTEオプションを利用することが自身の投資目的に合致するかどうかは、0DTEオプションを用いることで狙っている効果がどのようなものかによります。上記のように、0DTEオプションには多くの利点があります。多くの投資家にとって、0DTEオプションは大変魅力的なツールとなり得るでしょう。

0DTEオプションのリスク

0DTEオプションは大変魅力的ではありますが、取引する場合には十分に注意しなければなりません。0DTEオプションは両刃の剣です。急速な利益が得られる一方で、大きなリスクも伴います。注意すべきリスクをいくつか挙げます。

  • 複雑さ
    オプション取引はそもそも複雑で難しいものですが、0DTEオプションの場合は、急速に時間的価値を失うという性質(急速なタイムディケイ)によって、更に難しいものになります。0DTEに飛びつく前に、オプション取引とそのリスクについて深く理解しておく必要があります。

  • 財務リスク(資産減少リスク)
    オプションは投資資金以上の規模での取引が可能ですが、このレバレッジ性により、投下資金以上の損失を被る可能性があります。特に損失が限定されていない戦略(ヘッジなしのプット売り、ヘッジなしのコール売り、ストラングル売り、ストラドル売りなど)では、損失が大きくなる可能性があります。

  • 心理的負担(精神的疲弊)
    0DTEオプションの決着の速さと高いリスクよって、投資家は精神的に疲労してしまう可能性があります。迅速な投資判断と投資行為の求められる投資環境下では、心理的負担のある状態での投資判断こそが最大の敵になり得ます。

  • 市場イベントの影響
    0DTE オプションは市場イベントやそれによる株価変動(ボラティリティ)の影響を受けます。些細なニュースでも価格が急激に変動する可能性があります。

  • 0DTEオプションは誰のためのもの?

    0DTE オプションは、幅広い投資家のための多目的な商品ですが、すべての投資家に普遍的に適しているわけではありません。以下に、0DTE オプションの取引が適している可能性が高い投資家をいくつかあげてみましょう。

  • アクティブトレーダー
    急速に動く市場を主戦場にしているトレーダーにとっては、迅速な投資判断が要求され、勝ち負けの決着も速い0DTEオプションはピッタリのプラットフォームとなるでしょう。ハイリスク・ハイリターンの取引を選好するアクティブトレーダーにとっては、この0DTEオプションは特に魅力的に映るかもしれません。

  • オプション売り専門トレーダー
    オプションを売ることでその時間的価値を取りに行くことを専門にしているトレーダーにとっては、0DTEオプションの急速なタイムディケイ(時間的価値の減衰)が味方になります。この急速なタイムディケイを味方につけることで、より短い時間枠での勝負が可能となることから、オプション売り戦略を選好するトレーダーにとっては、その戦略は大変効率的なもの、ということになるでしょう。

  • 経験豊富なオプショントレーダー
    0DTEオプションはおよそあらゆる投資家にとって取り組む意味のあるものといえますが、グリークス※を含むオプション取引の仕組みと、それに伴うリスクをしっかりと理解している人にこそ最適です。※ギリシャ文字で表現されるオプションのリスク指標

  • 機関投資家
    機関投資家にとって、0DTEオプションは短期ヘッジや特定のマーケット・イベントを利用して戦う際に有用です。この0DTEオプションを利用することで、機関投資家は、その広範な取引戦略を補完することができ、また、ポジション調整やリスク管理が容易になり得ます。

  • リスク回避型投資家(ただし注意を要する)
    逆説的ではありますが、興味深いことに、リスクを回避したい投資家にとっても0DTEオプションは役に立つ可能性があります。ただし、短い時間枠での利用を考えると、取引には正確なタイミングが必要であり、注意深く行わなければなりません。0DTEオプションは、複雑な性質を持つことに加えて、急激にオプション価格が変化する特徴があるため、初心者には推奨されないことに注意することが重要です。

  • 0DTEオプションの世界で戦うならば、しっかりと損失の限定された戦略を用い、リスク管理を徹底しなければなりません。0DTEオプションは、基本的には、経験の浅い投資家やリスク回避型の投資家向けのものではありません。また、各自、投資目標に最適な投資判断を下せるよう、必ず、最新の市場イベントやニュースについて十分な情報を得るように努めるようにしなければなりません。

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    金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
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