株式市場に打撃を与える入り乱れるダイナミクス

株式市場に打撃を与える入り乱れるダイナミクス

株式 6 minutes to read
Peter Garnry

Chief Investment Strategist

サマリー:  株式市場は全体として市場センチメントが弱くなっていますが、暗号資産についても、リスクテイクの姿勢が最も強い投資家がリスクを控えていることが表れています。10日に発表された米国のインフレ率は、コア・インフレが定着していることを示しており、その水準は、需要を抑え、より正常なインフレ・ダイナミクスを回復させるために、FRBが強くブレーキをかけざるを得ない状況となる可能性を高める水準です。ウクライナでのロシアの戦術は食糧危機を深刻化させるとみられ、週末には、中国での経済再開は厳しく、サプライチェーンは引き続き脆弱に推移する可能性が示されました。


定着するコア・インフレへの適応が求められる株式市場

世界株式は、5月25日に始まった回復の後、先週9日のセッションで調整局面に入りました。売り払いの動きは10日にも続き、本日13日は激しさを増しました。ナスダック100先物は取引サイクル最安値付近の11,530前後、ビットコインはセルシウス(暗号資産貸付会社)による引出し停止の決定を受けて23,600前後で取引されました。米10年物国債利回りは現在3.24%と金利は上昇基調で、FF金利先物は、今後一年で米翌日物金利が大幅に上昇することを示唆しています。最後に、米国のイールドカーブの反転は、景気後退の可能性の高まりを匂わせており、ミシガン大学が10日に発表した調査では、長期の期待インフレが高まっていることが示されました。

現在の売りの元凶は、世界の危機的状況への突入を指し示す、極めて複雑なダイナミクスが入り混じっていることです。10日に発表されたコアCPIは、前月比0.6%の上昇となりました。そのうち、エネルギー価格と何らかの関連を有する要素をすべて除外しても、コアCPIは前月比0.4%で、年率ベースでほぼ5%です。インフレ抑制には、FRBが強い姿勢で対応する必要があることを市場もようやく認識し始めています。当社は、過去の株価下落に関する最近のエクイティノートの多くで、現在の下落は30~35%程度にまで拡大し、ピークから底を抜け出すまでには一年以上かかると述べてきました。現在の株価下落は、ドットコムバブルと1970年代のエネルギー危機のダイナミクスが組み合わさったものだという見方が当社の主な仮説です。

米国でのインフレに加え、12日の演説で自身をピョートル1世になぞらえ、「ロシアの領土を収奪する」ために戦っていることを明言したプーチン大統領の計略も世界中が目にすることになりました。ロシアが、ウクライナでの戦争を利用して食糧危機を引き起こしていることが、より明確になりつつあります。歴史学者であるイェール大学のティモシー・スナイダー教授は、ロシアの計画的な戦略は、アフリカに大打撃を与える飢餓危機を発生させ、混乱につながる移民の波により欧州地域を不安定化させる可能性があると述べています。エネルギーおよび食糧危機は、2023年に入ってからも長期にわたって発生し、インフレに上向きの圧力をかけ、多くの新興市場国で景気後退を引き起こす要因になるとして、投資家たちは準備を進めています。

週末には、中国の経済再開がより厳しくなるだろうことも明確になりました。一部地域の学校再開予定は見送られ、上海では新たな感染者が確認された後に、大規模なPCR検査が実施されました。残念ながら、中国では、2022年中はロックダウンの実施や解除が繰り返され、世界的なサプライチェーンの混乱が継続する要因となるでしょう。

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