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相場を動かす3つの要因:米国CPI、米企業決算、中国の新型コロナウイルス感染状況。さらに、豪ドル/円、米ドル/円から目が離せない理由。

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APAC Research

サマリー:  今週は、株式相場の上昇が復活するか、あるいは停滞し再びリスク回避の動きとなるかの分岐点となる可能性があります。インフレ圧力が再び高まり、ガス供給が10日間制限され、農業需要が再び供給を上回っていることが主な懸念材料です。今週は、水曜日(7月13日)の米消費者物価指数(CPI)、期待外れとなる可能性が高い米企業第2四半期決算、中国での新型コロナウイルス感染の再拡大の3つが、相場動向を左右する要因となると当社はみています。アジア太平洋地域の株式市場の動き、イーロン・マスク氏とツイッターの次の展開、そしてオーストラリアの雇用統計を控えて豪ドル円が注目される理由も取り上げます。また、米国のインフレ指標を控えて米ドル円がカギとなるのかについても考察します。


最新の市場動向


食品・エネルギーのインフレシグナルが再び高まりつつある

ブルームバーグ商品指数は2022年の安値から5%上昇しました。需要増が再認識され供給不足に対する市場参加者の関心が再び高まったことから、トウモロコシの価格はアジア取引時間に約6%上昇し、小麦の価格は米国取引時間に6.6%上昇しました。一方、ガス価格は、欧州へのガス供給が今後10日間減少することから、5.3%上昇しました。この問題により、今週のガス価格にはリスクプレミアムが加わる可能性が高いと思われます。

イーロン・マスク氏による買収撤回でツイッター株が暴落。大規模な法廷闘争に注目。

イーロン・マスク氏は現在、ツイッター(TWTR)の440億ドルでの買収契約を正式に終了させたいと考えており、これにより同社の株価は時間外に5%下落しました。これは、当社が先週予想し、記事にした通りの結果です。マスク氏が買収資金の支出を行わない可能性から、テスラ(TSLA)の株価は時間外で2.3%程度まで上昇しました。しかし今度は、ツイッター会長のブレット・テイラー氏が今週、この問題を法廷に持ち込むと報じられており、法廷闘争が開始される可能性があります。もし裁判官がマスク氏に不利な判決を下した場合、同氏は1株当たり54.20米ドルの支払いを命じられる可能性があります。一方、有利な判決が出た場合には、同氏が10億ドルの違約金を支払って解決することになるかもしれません。
 

アジア太平洋地域の取引は閑散、ほとんどの市場が下落。シンガポールとマレーシアは祝日のため休場。

週明け、オーストラリアのASX200は0.9%下落、日経平均(NIKKEI)は1%上昇となりました。金曜日の米雇用統計が予想を上回り、FRBが次回7月の会合で0.75%の利上げに踏み切る余地を与えるものとなったことも、全般的にセンチメントへの重石となっています。一方、中国から米国への輸入品に対する米国の関税が一部引き下げられるという楽観的な見方も薄れつつありますが、その決定は依然として不透明です。しかし、ASX市場では、ニューカッスル石炭先物が最高値まで上昇したのち、ニュー・ホープ(NHC)が3%、ホワイトヘブン(WHC)が2%上昇し、炭鉱企業が相場のけん引役となっています。一方、ASXに上場しているハイテク企業は、CEOが辞任したEMLペイメント(EML)を筆頭に、21%もの大幅な株価下落に見舞われ、下落基調となりました。
 

新型コロナウイルスの感染拡大と操業停止を懸念し、中国本土と香港の株価が下落

中国本土では7月10日、上海の69例を含む352例の新たな局地的感染例が報告されました。上海では、より感染力の強いBA.5亜種の陽性者が初めて報告された後、再び集団検査の実施が発表されました。また、マカオでは土曜日の時点で93名の陽性者が報告され、カジノを含むほとんどのビジネスを7日間停止すると発表されました。マカオのゲーム関連株は軒並み5%から6%、急落しました。中国の国家市場監督管理総局がアリババ(0988.xhkg)とテンセント(00700.xhkg)に対し、過去の独占的行為で罰金を科したことを受けて、インターネット銘柄が下落しました。罰金の額は極めて小さいものですが、中国のインターネット企業をめぐる規制リスクを投資家に再認識させることになりました。アリババは6%、テンセントは3%の下落となりました。ハンセン指数(HIS.I)は2.7%、ハンセンTECH指数(HSTECH.I)は3.9%、CSI300(000300.I)は2%、それぞれ下落しました。

考慮すべき点

FRBとECBの動きは、ロシアのガスに関する今後の動きが重石に

欧州の世界経済の命運は、ロシアからの今後のガス供給にかかっています。本日発表したサクソ・スポットライトで述べた通り、今週注目されるのは(水曜日に発表される米国のCPI)、来週はECBとFRBの政策決定です。しかし、これらは世界市場にとってそれほど重要ではなく、問題はむしろ、ロシアが突然、欧州のエネルギー不足を引き起こした場合です。そのため、状況が明確になり、進展があるまで、欧州地域の資産はリスクプレミアムが加わった価格で取引されることになると予想されます。ガスパイプラインは10日間のメンテナンスのために停止される予定です。しかし、予定通りパイプラインが再開されるまでは緊張が続くでしょう。週末にカナダが、ロシア経済制裁を一時棚上げして、必要な主要部品の輸出を認めると発表したことは、救済材料となりました。しかし最大の懸念は、ロシアが1か月、石油の輸出を停止することです。

土曜日に発表された中国のPPIとCPIはほぼ横ばい

6月の工業品卸売物価指数(PPI)は前年同月比6.1%上昇と、5月の6.4%から低下しました(ブルームバーグのコンセンサスは6.0%)。消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇と、5月の2.1%から上昇しました(ブルームバーグのコンセンサスは2.4%)。中国のCPIの上昇幅と、諸外国の中央銀行の積極的な利上げを勘案すると、中国人民銀行が利上げに転じる余地は限定的と当社は考えています。今後の金融政策の主な手段は、銀行貸出の促進を通じた緩和策となるとみられます。

豪ドル/円は、豪州における今週の重要統計を控え7年ぶりの高値まで急伸

オーストラリアと日本の金融政策の乖離が広がる中、当社では、オーストラリアと日本の関係者が注視している、豪ドル/円に引き続き注目しています。日本では7月11日、日銀が記録的な低金利を維持する根拠となりうる材料となるような指標が発表されました。日本の機械受注が3か月ぶりに減少したことです。これは、日本企業がエネルギーその他のコスト上昇により、支出を先延ばしにしている可能性を示唆しています。オーストラリアでは今週、オーストラリア準備銀行(RBA)が今後数か月にわたって実施する、積極的な利上げに踏み切る弾みをつけると思われます。先週は、オーストラリアの輸出が過去最高を記録する急激な増加となったことが確認されました。石炭先物は本日のアジア取引時間で再び上昇しました。オーストラリアで最も収益性の高い輸出品(現在は石炭)の輸出が減速する兆候は見られず、そのことが豪ドル相場を下支えしています。今週は、7月12日発表の企業景況感指数、13日発表の消費者信頼感が注目されます。一方、14日発表の雇用統計は重要な材料として注視されるでしょう。6月の失業率は3.8%と前月に続き過去最低水準を更新し、RBAに、8月の会合で0.5%以上の金利引き上げの余地を与えるものとなる可能性があります。これは再び、豪ドルの円に対する上昇を支える要因となりえます。

 

検討すべき取引・投資アイデア

米ドル/円は2年ぶりの高値を目指す

米ドル/円は数週間の保ち合い(レンジ)相場の後、再びドル高を狙える最も簡単なクロス通貨となるかもしれません。6月中旬までは米ドル/円のロングが2022年のドル取引の主流でした。しかしその後、景気後退のリスクが再び高まり基調の転換が促されました。第3四半期の見通しで述べましたように、インフレは現在、FRBにとって最大の脅威であり、これは米国の利回りが上昇することを意味します。このような環境では、円は通常、下押しされます。これは米ドル/円が再び選好されるように見えるかもしれません。

 



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