最近の市場動向
ナスダック 100 (USNAS100.I) と S&P 500 (US500.I)
米国の7月の卸売物価指数(PPI)が予想を下回る低水準となったことを受け、米国株は取引開始直後に1%以上上昇しましたが、S&P 500は-0.07%、Nasdaq 100は-0.65%と、上昇分を帳消しにして安値引けしました。WTI原油価格が2.6%上昇したことが好感され、エネルギー株が最も大きく上昇しました。デボンエナジー(DVN:xnys)は+7.3%、マラソンオイル(MRO:xnys)は+7%、シュルンベルジェ(SLB:xnys)は+5.7%の上昇となりました。木曜日は、一般消費財株とテクノロジー株が最も大きく下落しました。中国ADRは上昇、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン指数は2.6%上昇しました。
米国債はベア・スティープ化
PPIが予想を下回ったにも関わらず、米長期債利回りは急騰し、10年物は+10bpの2.99%、30年物は+14bpの3.17%に上昇しました。長期債利回りの上昇は、30年物と超長期債の大量の売りにさらされた後、午後には30年物の入札が不調に終わったことにより加速しました。2年物国債の利回りは横ばい、2-10年物のイールドカーブは10bpスティープ化し、マイナス23bpとなりました。
香港のハンセン(HSI.I)と中国のCSI300(000300.I)
香港と中国本土の株式は急伸、ハンセン指数は52.4%、CSI300指数は+2.0%、A株への北向資金流入は19億ドルと2か月ぶりの高水準まで増加しました。
アナリストの予想通り、アップルのiPhone 14の平均販売価格が15%上昇することを見越して、iPhone部品サプライヤー株が香港と本土の両取引所で急騰、Qテクノロジー(01478:xhkg)+17.7%、サニーオプチカル(02382:xhkg)+9%、コーウェル・イー(01415:xhkg)+4%、リンイー・アイテック(002600:xsec)+10%などの銘柄が上昇しました。中国ネット銘柄も反発、アリババ(09988:xhkg)+4.3%、テンセント(00700:xhkg)+2.7%、美団(03690:xhkkg)+4.0%、百度(09888:xhkg)+5.2%となりました。
電動工具、床用機器のテクトロニック・インダストリーズ(00669:xhkg)は、2022年上半期の売上高と純利益がともに前年同期比10%増となったと発表した後、約11%上昇しました。同社は、機械学習アルゴリズムを組み込んだ新世代のドリルドライバーを発売しました。
昨日、ロンフォー(00960)の株価は16%下落しましたが、コマーシャルペーパーの返済が延滞したという市場の憶測に反論し、安定性を回復し5.7%戻しました。
ユーロ/米ドルはレジスタンスレベルを再び試す
ユーロ/米ドルは、木曜日に米ドルが軟化する中、重要なレベルである1.0300に達し、高値1.0364を記録しました。今週の米国のインフレ指標が予想を下回ったことにより、ドル高が抑えられたものの、エネルギー危機や欧州の景気後退懸念がある中で、ユーロ/米ドルが上昇を維持するのは難しい状況です。ユーロ/米ドルがトレンドを反転させるには、1.0250を割り込む必要があります。豪ドル/米ドルも同様に、リスクオンの流れの中で0.7100を上回って取引されていますが、株式相場が下落に転じるとトレンドが反転する可能性があります。英ポンド/米ドルは、本日発表予定の英第2四半期GDP統計を前に、1.2200付近のレンジ内で推移しており、ユーロ/英ポンドは、数値が予想より弱い結果となった場合、0.8470のレジスタンスを突破する可能性があります。
原油価格(CLU2 & LCOV2)
原油価格は木曜日、インフレ鈍化、ドル安、需要改善の兆候を背景に、さらに上昇しました。国際エネルギー機関(IEA)は、電力需要が旺盛な中でガス価格が高騰し、電力会社が石油への転換を進めているとして、消費量の予想を380kb/d上方修正しました。米国のドライブシーズン中の需要減退に伴うガソリン価格の下落も、この動きに寄与している可能性があります。ガソリン価格は3月以来、初めて1ガロン4米ドルを下回る水準となりました。一方、OPECは余剰生産能力の限界から、今後数カ月は増産に苦戦する可能性があります。WTI先物は94ドル/バレルに達し、ブレント先物は100ドルの大台に向かって上昇しました。
考慮すべき事項
米国のインフレ率に再び下方サプライズ
米国の7月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%低下と、6月の1.0%上昇、予想の0.2%上昇と比較しても低い水準となりました。しかし、前年同月比では9.8%上昇と衝撃的な上昇を続けています。コアPPIは前月比0.4%で、前年同月比では7.6%でした(6月の8.2%増を下回るものの、依然として過去最高水準に近い)。財(モノ)のPPIは、エネルギー価格が9.0%低下したことを主因に1.8%低下しました。一方、7月のサービスPPIは0.1%増でした。今週はPPI、CPIともに減速したものの、PPIはCPIを1.4ポイント上回っており、利益圧力と収益減少の可能性を示唆しています。米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、9月の会合での75bpの利上げも排除しないと発言しています。
米新規失業保険申請件数は増加、ミシガン大学消費者信頼感指数を控える
直近1週間の米新規失業保険申請件数は26.2万件(予想26.5万件)と、前週の24.8万件を大きく上回り、2021年11月以来の高水準となりました。新規失業保険申請件数の4週間移動平均は先週の24.75万件に対して25.2万件に増加しましたが、依然として警戒すべき35万件の水準を下回っています。申請件数の小幅な上昇は、体力の弱い企業での離職率が上昇していることを示唆しています。本日の注目データは、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)で、ガソリン価格の下落を受け、小幅な改善が予想されます。
中国人民銀行、CPIは3%前後で推移すると予想
中国人民銀行は2日に発表した第2四半期金融政策報告書で、2022年通年の消費者物価指数は3%前後で推移し、一時的に3%を超えることもあると予想しています。 パンデミック規制により抑制されていた需要の解放、経済活動停止からの好転、輸入インフレ(特にエネルギー)により、中国の消費者物価上昇率は、年内は上昇するものの、全体としては中央銀行が許容する範囲に収まると予想されます。 中国人民銀行は、PPIの最近の低下傾向が続き、CPIとPPIの上昇率の差は縮小すると予想しています。中国人民銀行は、インフレを防止しつつ、成長を促進するための過度の資金供給を避けると繰り返し述べています。
中国の習近平国家主席が来週サウジアラビアを訪問との報道
英紙
ガーディアンは、習近平国家主席が3月のリヤドからの招待を受け、サウジアラビアを訪問する見込みであると報じています。中国は石油供給の確保に積極的で、石油取引の決済手段として人民元を受け入れてもらう可能性を探っています。サウジアラビアは、不安定な地域の安全保障と武器の供給を米国に依存する中、ムハンマド皇太子が指導者となり、米国との関係修復を図ろうとしているとみられます。
英第2四半期GDPは縮小の可能性
英国の第2四半期GDPは、4月が0.2%減、5月が0.5%増であったため、縮小を示す可能性が高いと思われます。6月のGDPは、同月の労働日数が少なかったことと、インフレ率が過去最高を更新し、家計支出が抑制されたことから、より大きな縮小となる可能性が高いと考えられます。短期的には成長率が回復する可能性がありますが、イングランド銀行は2022年第4四半期から5四半期にわたって景気後退のシナリオを明確に示しています。当社のマクロストラテジストであるクリス・デムビックは、
英国経済についてかなり悲観的な見方を示しています。
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