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サマリー: 13日からの週に世界各国の中央銀行がタカ派的な発言を強めたことに伴い(ハト派姿勢の日銀を除く)、週明け(20日~)はスタグフレーションの懸念が焦点となっています。これは、工業用金属を筆頭にコモディティがさらに下落する可能性があることを意味しますが、供給不足を考慮するべきであることを忘れてはなりません。ビットコインが重要な節目を割り込んだことから、暗号通貨ではさらに混乱が広がりました。流動性の供給が完了するのに伴い、金融市場全般でパニックが今なお拡大していることが示されています。
世界経済は迷走しています。経済成長率は鈍化する見込みであり、最大のコモディティ消費国である中国は来年までロックダウンから抜け出すことはなさそうです。今は米国、英国、豪ドルが利上げ期間に入り、次に欧州中央銀行(ECB)が続く見通しです。年初来では、コモディティはSaxoの株式テーマバスケットの中で最も好調に推移していますが、今は資産価値が目減りしつつあります。
S&Pは既に23%下落していますが、3,500を次の支持線として、さらに下落する余地があるように思われます。次の問題は底打ちの時期ですが、まだ底は見えていません。第2四半期の決算発表シーズンを待ち、各社の今後一年間の業績見通しを確認しなければなりません。相場が上昇に転じる前には、企業の利益の伸びや業績の上方修正と、消費者信頼感の回復が見られる必要があります。このような総合的な指標が出揃ってから相場が上昇に転じるのは、当分先のことだと我々は考えています。
ここ一週間の米国株式市場の下落による全般的な暗いムード、そして中央銀行の金融引き締めと景気後退懸念というダブルパンチに直面する中で、アジア太平洋地域の株式市場は20日、低調な週明けとなりました。前の週(13日~)に日本銀行が世界的な金融引き締めに逆行する姿勢を維持したことを受けて、円安が進み、20日の日経平均は1.5%下落しています。オーストラリアのASX 200は下落トレンドにあり、既に高値から14%下落していますが、6,000の節目が支えとなっています。一方、シンガポールのSTI(ES3)は0.3%下落しています。近く発表される5月のCPIでは、インフレ圧力が一層強まっていることが示される見通しです。そうなれば、シンガポール金融管理局はさらなる金融引き締め策を講じる必要があるということです。
中国の不動産銘柄が急騰し、COLI(00688)とCR Land(01109)が7%以上の上昇となりました。 新型コロナの流行により、マカオのゲーム関連株が下落しました。中国のローンプライムレートの1年物と5年物は据え置かれました。
17日に日銀が世界的な金融引き締め圧力に屈しない姿勢を示したことを受けて、米ドル/円は20日朝、24年ぶりの高値となる135.44円を付けました。
これは、世界の利回りと日本の上限金利付きの低利回りとの乖離により、今後も円売り圧力が続くことを意味します。特に7月のFOMCが近づき、FRBによる75ベーシスポイントの利上げへの期待が再び高まり始めれば、日銀の決意が市場で改めて試されることになると思われます。つまり、日銀による実際の政策が実施されなければ、円安圧力が続く可能性が高いということです。
原油価格(OILUKAUG22、OILUSJUL22)は急落しました。最近の金融引き締め圧力に伴い、世界的な景気後退懸念が高まり、13日からの週にWTI原油は9%以上下落しました。それに加えて、上値の突破に何度か失敗したことから、テクニカルの短期的な見通しが悪化しました。しかし、13日からの週に国際エネルギー機関(IEA)も指摘した通り、供給が不足するとの見通しは考慮すべき大きな要因です。これに伴い、製油会社では、世界および経済を動かす燃料とされるディーゼルをはじめとして、燃料生産による利益率は引き続き急拡大しています。
13日の週に各国の中央銀行が金融引き締めに同調した中、インフレとの戦いは厳しさを増しています。インフレ率は、英国では9%を上回る見通しであり、米国では8%前後にとどまっています。FRBによる先日の75ベーシスポイントの利上げの後、現在の歴史的な金融引き締めペースにより、景気減速懸念が高まってきました。13日からの週に相次いで発表された米国の低調な経済指標も、こうした懸念に拍車をかけました。投資家がインフレ懸念や景気後退懸念を重視する中、不安定な相場が続く見通しですが、長期的な弱気トレンドが広まっています。突然の政策の転換は、政策ミスの範囲が広がることにもなります。
最大かつ安定的な暗号資産の一つであるビットコインは、18日に15%下落した後、週末の間に20,000ドルの大きな節目を割り込みました。このことは、暗号資産市場でストレスが高まるだけでなく、流動性の逼迫に伴い、金融市場全般にストレスが広がることを示します。
Saxo Spotlightで述べられている通り、卸売電力が送電網から除外されることで、20日にASX200 に追加されたNew Hope Coal(NHC)など、石炭株が打撃を受けています。家庭への電力が制限されたままであることを考えると、石炭・ガス会社は利益が圧迫されたままになるということです。
相場は一筋縄ではいかない不安定な動きとなっており、様々な資産クラスをまたいで協調的に売られたことから、セーフヘブンの選択肢はほとんど残されていません。ディフェンシブな姿勢を維持することは重要ですが、最大の利益は、弱気相場でとるポジションから得られるものだということを忘れてはなりません。長期投資家にとっては、現在のような期間にはドルコスト平均法が必須ですが、短期的な損失の限度を念頭に置いておく必要があります。
一週間の見通しについては、Saxo Spotlightをご覧ください。
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