最新の市場動向
ナスダック100 (USNAS100.I)およびS&P 500(US500.I)
7月最後の重要週、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)の会合を控えており、それが、ウォール街の今年後半の見通しを左右するものとなるでしょう。一方、アップル、アルファベット、マイクロソフトといったハイテク企業の決算発表も予定されており、S&P500の安値から8.3%の上昇が裏付けられるか、決算が予想より悪ければ再び売り圧力がかかるか、明暗が分かれる週となりそうです。消費者が物価上昇に喘いでいることを反映し、ウォルマートが今年2度目の業績予想下方修正を行った後、個人消費関連株のセンチメントは火曜日にはさらに弱まるでしょう。一方、金大手ニューモントの決算が予想を下回り、株価が13%下落したことにより、金関連株もインフレ懸念の影響を免れられないことが浮き彫りになりました。ドル安が続く中、原油価格が2.1%上昇し96.70ドルとなったことで、オーバーナイトでエネルギー関連に明るい兆しが見られました。これらの重要なテーマは、アジア太平洋地域時間の取引に引き継がれるとみられます。
香港のハンセン指数(HIS.I)および中国のCSI300指数
香港のハンセン指数(HIS.I)および中国のCSI300指数は昨日、それぞれ0.2%、0.6%安となった。中国国務院が不動産セクターを支援する3000億元の基金設立を決定し、李克強首相が住宅購入者の需要に対応する都市レベルの裁量的な政策を求めたことを受け、中国の不動産株が香港市場の下落を跳ね返して上昇しました。 龍湖集団(
00960:xhkg)が6.8%上昇し、中国の不動産株相場をけん引しました。華潤置地(
01109:xhkg)が3.3%、中国海外発展(
00688:xhkg)が2.3%、それぞれ上昇しました。信義光能(
00968:xhkg)は、中国がポリシリコン価格上昇の抑制を検討しているとの報道で2%超の上昇となりました。 中国が、米国に上場する中国企業を、保有するデータの機密性の高さに応じて3つに分類する可能性があるとの報道を受け、中国のインターネット企業の株価は1-2%下落しました。 6月のEV販売台数は好調だったものの、香港に上場しているEV関連銘柄はほとんどが下落しました。
ドル円は、日銀金融政策決定会合議事要旨の発表を受け136.50円に下落
ドル円は月曜日、ほぼレンジ内で推移しましたが、今朝は日銀の議事要旨が発表されたため、若干の下押し圧力が見られました。理事会のメンバーは、緩和的な政策の必要性を引き続き強調していますが、金融、外為市場の動きが経済や物価に与える影響を注意深く見守ることに同意しました。多くの理事が物価目標達成のための賃上げの重要性について述べたことから、日銀が政策を微調整する可能性も出てきました。
原油価格は引き続き変動的
原油価格は月曜日、供給懸念と米ドル高の後退を背景にわずかに上昇しました。しかし、FRBの積極的な金融引き締めへの期待から需要破壊懸念が支えられ、それによって原油価格の上昇が抑制されたことで、今朝は小幅な下落となりました。WTI先物は1バレル96ドル前後、ブレント先物は104ドル以上まで上昇しました。リビア国営石油会社は日量約86万バレルから2週間で120万バレルへの生産回復を目指すと発表しましたが、政治的緊張から、引き続き楽観視が出来ない状況です。
考慮すべき点
ロシアから欧州へのガス供給が再び制約
ロシアはガス供給を戦争の武器にすることを諦めておらず、先週、定期点検が終わった後、ヨーロッパへのガス供給を輸送能力の40%まで回復させましたが、今度はドイツへのパイプライン「ノルドストリーム1」のガス供給を輸送能力の20%まで低下させると発表した。ガスプロムは、業界監視団の指示によりシーメンスのガスタービンの運転を停止させる必要があったため、水曜日の4:00GMTから流量が日量3,300万立方メートルまで低下すると発表しました。このニュースを受けてオランダの欧州天然ガス先物は12%上昇し、欧州のガス供給への懸念は冬に向けて高まる一方であるため、景気後退のリスクが否定できないことを裏付ける要因となっています。
ドイツIFO経済研究所が発表する景況感指数は2年ぶりの低水準に
ドイツの7月のIFO景況感指数は、予想の90.1、6月の92.2に対し、88.6に低下しました。ドイツ経済の健全性を示す重要な指標のひとつが予想を上回る落ち込みとなったのは、エネルギー価格の上昇と、目前に迫るガス不足により、欧州最大の経済大国であるドイツが景気後退に追い込まれ続けていることを示しています。
深圳市、有力企業100社に「クローズトループ」モードでの操業を要請
パンデミック対策を強化すべく、深圳市は、南部のテクノロジーハブの有力企業100社に対し、7日間、外部からの感染リスク防止を図る「クローズドループ」モードでの操業を要請しました。フォックスコン・テクノロジー(
2354.TW)、ファーウェイ、ZTE (
00763:xhkg)、CNOOC (
00883:xhkg)、BYD (
01211:xhkg)、DJIテクノロジーといった企業がその対象となっています。
アリババが香港で新規上場を目指すと発表
アリババ(
09988:xhkg)は、香港でのプライマリー上場を目指すと発表しました。 プラス面では、米国から香港に新規上場することで、アリババは中国本土と香港間の株式相互取引(ストックコネクト)にも申請が可能となり、本土の投資家が同社株を購入しやすくなります。一方、アリババは中国政府が機密とみなす可能性のある膨大な量のデータを保有しているため、米国からの上場廃止という重大なリスクに備える可能性があります。
IMFは世界経済の成長予測をさらに引き下げへ
IMFは、本日予定されている次のアップデートで、世界のGDP成長率見通しを「大幅に」引き下げるようです。世界経済の見通しはここ数か月で「著しく暗く」なり、世界は今後12か月の間に景気後退のリスクが高まっていると、IMFのトップは警告を発しました。IMFの戦略・政策・審査担当ディレクターであるセイラ・パザルバシオグル氏は、バリで開催されたG20会議で講演し、食糧やエネルギー価格の高騰、新興市場への資本フローの減速、進行中のパンデミック、中国の減速など世界経済が直面する一連のリスクについて言及しました。IMFの世界GDP成長率予測は、4月のレビューで、以前の4.4%から3.6%に引き下げられています。
シンガポールのインフレ率は予想以上に上昇
シンガポールの6月のインフレ率は前年同月比で5.6%から6.7%に上昇し、コアインフレ率は前回の前年同月比3.6%から4.4%に上昇しました。交通費、住宅費、食費が主な要因ですが、より幅広い品目で価格上昇が見られます。マレーシアでは6月に鶏肉の輸入が禁止され、食品価格への圧力が高まり、家賃は需要の高まりと供給の抑制により高騰しています。地域経済の再開と観光業の回復による需要喚起圧力も下支えとなりました。シンガポール通貨監督庁(MAS)は7月14日、為替レート政策バンド中心値を、市場実勢を反映する水準に変更するというサプライズな引き締めを実施しました。また、インフレ率の上昇は、10月に開催される次回会合までに、MASが一層の金融引き締めを行う可能性があることを示唆しています。
ウォルマート、利益見通しを下方修正 小売業にさらなる打撃の兆し
ウォルマート(
WMT)は、コカ・コーラ、マクドナルド、プロクター・アンド・ギャンブルなど、消費財大手の決算発表が集中する週の初めに決算を発表しました。世界最大の小売企業である同社は、利益見通しを再び下方修正し、今年度の調整後一株利益が13%減少すると予想したため、時間外で株価が10%下落しました。このため、同社は在庫一掃のために衣料品の価格を引き下げています。インフレ率が40年来の高水準にあることを考えると、米国の消費者が消費習慣を維持できるかどうか、新たな疑問が生じます。このため、ターゲット、アマゾン、コストコの株価も時間外取引で下落しました。
代表的金生産会社ニューモントは13年以上ぶりの急落、貴金属もインフレの影響を免れないことが浮き彫りに
世界最大の金生産会社であるニューモント(
NEM)は、利益目標未達と四半期損失の計上を発表、過去13年間で最大の減益を記録し、インフレ圧力による商品セクターの苦境が浮き彫りになりました。同社の株価は13%下落し、アジア太平洋地域の他の金銘柄に予想以上の大きな影響を及ぼしました。ニューモントでは、コスト増により収益が圧迫され、プロジェクト費用も増加しました。ASXではニューモントに続き、ニュークレスト(
NCM)とレゾリュート・マイニング(
RSG)がそれぞれ3%以上下落し、他の金生産者の下げを先導しました。ペルセウス(
PRU)は第4四半期の金生産量が予想を下回ったと発表し、株価は4%近く下落しました。
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