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サマリー: 米12月コアCPIは前月比0.3%上昇と市場予想と一致、3カ月の年率換算で3.1%と低水準となったことでFRBが次回会合で利上げ幅を0.25%に縮小するとの見方が強まりました。これを受け、米10年債利回りは3.44%と10bps低下し、S&P500は200日移動平均線の直下で取引を終えました。為替市場では、日銀の金融政策決定会合を来週に控え追加の政策修正観測が強まる中、主要通貨の中で円買いが優勢となりました。来週は米銀の決算シーズンが本格化し、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、シティグループが第4四半期決算を公表する予定です。
12日、CPIの継続的な鈍化を受けてFRB利上げペース減速期待感が高まる中、米国の株式市場は上昇しました。ナスダック100指数は前日比0.5%高、S&P500指数は同0.3%高と、いずれも上昇しました。S&P500の終値は3983.17と、200日移動平均の3984.39近辺で取引を終えました。WTI原油が前日比1%超上昇し78.29ドルで取引を終えたことで、前日比1.9%高エネルギーセクターはS&P 500指数のパフォーマンス首位に浮上しました。また、金利感応度の高い不動産セクターもパフォーマンス上位に加わりました。個別銘柄では、増収増益の見通しと債務削減計画を発表したAmerican Airlines (AAL:xnys)の株価は前日比9.7%と急騰しました。
米CPI公表直後のトレーダーの反応はまちまちでしたが、その後米国債買いが強まり利回りは低下しました。12月のCPIは、総合指数とコア指数のいずれも市場予想と一致する内容となりました。市場はコア指数が年率換算で3.1%と低水準となったことや、サービスのコア指数(シェルター価格を除く)が弱い内容となったことに注目し、FRBが2月の会合で予想通り利上げ幅を0.25%に縮小する可能性が高まったと受け取りました。また、FRBで投票権を持つフィラデルフィア連銀のハーカー総裁の「この先は25bpsの利上げが適切になる」とのコメントが市場の見方を裏付けることとなりました。180億ドル規模の30年債入札は順調に消化され、ロングエンドの利回りは一段と上昇しました。米10年債利回りは10bps下げて3.44%、米2年債は4bps低下の4.12%で取引を終えました。
オーストラリア200 先物指数(ASX SPI200)は0.8%高で取引を開始し、その他大半のアジア市場も反発して始まる見通しです。来月は豪州企業の決算発表が始まりますが、当社は多くのコモディティ企業が2023年の業績見通しを上方修正すると予想しています。その主な理由は、中国がコロナ規制の緩和を前倒しで行ったことから、資源価格が総じて強気相場入りしているためです。また、原油価格が6日連続で上昇し78.30ドル(前日比1.1%高)を付けたほか、ニューヨーク商品取引所(COMEX)では銅価格が4.17ドル(同0.1%高)、鉄鉱石(SCOA)は6カ月ぶりの高値となる123ドル(同0.6%高)と軒並み上昇する中、商品市場に再び注目が集まっています。
香港ハンセン指数は6カ月ぶりの高値を付けた後に失速し、12日は0.4%高と上げ幅を縮小して取引を終えました。中国本土の不動産開発会社、内需関連銘柄、超大型のインターネット株、マカオのカジノ運営会社など、ここ最近で中国当局の政策転換による恩恵を享受してきた銘柄に利益確定売りに押される展開となりました。香港ハンセン指数では、Country Garden (2007.HK)が前日比6.3%安となり、構成銘柄のうち最大の下落幅を記録しました。一方、パフォーマンス首位となった電気自動車メーカーのBYD(01211:xhkg)は前日比5.3%高と、リトレースメントが示す上昇トレンドに弾みを付けました。その他、国営のCCTVと提携して同社のメタバース・プラットフォーム上で中国中央テレビ春節連歓ガーラを放送したNetEase (09999:xhkg)は前日比3.7%上昇し、中国のその他のインターネット銘柄のパフォーマンスを上回りました。Foxconn (2354.TW) の子会社FIT Hong Teng (06088:xhkg)は、フォックスコン傘下のFIT鴻呈(06088:xhkg)は、現在GoerTek(002241:xsec)が請け負っているApple向けAirPodsの製造を受託するとの観測を受けて前日比17.2%高と急騰しました。A株市場では、内需関連の銘柄が失速する一方、通信、電気機器、EV、ノンバンク、新エネルギー関連の銘柄がアウトパフォームしました。中国CSI300指数は0.2%上昇して取引を終えました。
米12月CPIで米国のインフレが持続的に鈍化していることを示した後、米ドルは豪ドルに対して引き続き下落し、下げ幅は直近ピークから10%に達しています。一方、昨日の豪11月財・サービスの貿易収支、11日の公表の豪11月小売売上高およびCPIに加えて、何よりも中国のコロナ規制の緩和が予想より前倒しで行われたことが下支え要因となり、豪ドルにさらなる上昇余地を与えており、足元で豪ドル/米ドルは4カ月ぶりの高値となる69.67米ドルまで上昇しています。次なる抵抗線となる70.00ドルは心理的節目となっています。また、本日公表のオーストラリア投資住宅ローンのデータも材料視されるでしょう。予想以上に堅調な内容となれば豪ドル/米ドルは一段の上昇に向かう可能性があります。
為替動向:日銀の政策修正観測を受けて対円でドル安が進行
12日、米国債の利回り低下と日銀による追加政策修正を巡る観測が広がる中、円は主要通貨うち対ドルで最も上昇し、米ドル/円は132.50円から129円付近まで急落しました。日本の10年国債は引き続き許容変動幅の上限で取引され、取引開始直後に一時0.53%まで上昇するなど金融緩和政策を巡る日銀の決定を試す展開となりました。ユーロ/ドルはFRBとタカ派姿勢のECBとの間で金融政策の方向性に乖離が生じることへの期待感から1.0867と直近高値の1.08を更新して取引を終えました。
原油(CLG3 & LCOH3)は、インフレ圧力のさらなる後退を受けてリスクオンの流れに転じる中、12日は一段の上昇をとげました。今週も中国の経済再開と財政刺激策への強いコミットメントがセンチメントを下支えしたほか、輸入数量制限の拡大を受けて現物市場で中国の買い手による取引が活発になったこともプラス要因となりました。WTI先物は79ドル/バレルまで上昇し、ブレントも84ドル/バレルを超える水準で推移しました。
米CPIの鈍化を受けてFRBが利上げペースをさらに減速するとの見方が強まる中、金(XAUUSDは一段高となりました。また、FRB当局者が総じてハト派的なコメントを発したことで米国債の利回りが大きく低下し、米ドルが下押し圧力を受ける一方、金の上昇を支える格好となりました。銀は金をアウトパフォームし、プラチナとパラジウムも同様に上昇しました。
今後のポイント
昨夜公表された米12月消費者物価指数(CPI)は、市場予想と一致した内容となり総合指数が11月の前年同月比7.1%から6.5%に低下しました。また、前月比も前回のプラス0.1%から0.1%のマイナスに転じ、ディスインフレの兆候を示しました。一方、コア指数は前年同月比5.7%と、前回の同6.0%から予想通り鈍化したものの、前月比では11月の0.2%の上昇に対して0.3%の上昇と、依然として高い水準にとどまりました。また、サービスのコア指数は依然高止まりしており、根強いインフレの要素となっています。ただ、過去6ヶ月にわたりインフレが持続的に鈍化していることから、FRBは金融引締め政策が機能していることに一定の安心感を得るものとみられます。市場は、FRBが次の会合(2月1日)でさらなる利上げ幅縮小に踏み切ることを織り込んでいるようですが、FOMCメンバーが全会一致で5%を上回る利上げを支持する一方で、政策金利の最終的な水準(ターミナルレート)は依然として5%を下回る水準にとどまっています。こうした中、CPIと同日に公表された米新規失業保険申請件数は前週比1000件減の20万5000件と、労働市場が依然タイト化する傾向にあることを示唆しました。一方、継続受給者数は予想以上に改善し、170万件から163万件に減少しました。
CPIでインフレ鈍化の兆候を確認した後、FOMCで投票権を持つフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「この先は25bpsの利上げが適切になる」とコメントしました。また、リッチモンド連銀のバーキン総裁(投票権なし)は、FRBにはまだ多くの仕事が残されているとした上で、「FRBは利上げを決定する際にやや「ニュアンス」を変えた判断を下すことができる」と利下げ幅の縮小の可能性を示唆しました。一方、セントルイス連銀のブラード総裁は「利上げを減速する前にFF金利を可能な限り早期に5%台に乗せることが好ましい」とややタカ派寄りのコメントを発しましたが、今年は投票メンバーには加わっていません。
13日から米銀の第4四半期決算シーズンが始まります。その中でも特にバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、シティグループの決算が最も注目されます。アナリストは全四半期に続いて再び減益を見込んでおり、引き続き米銀に対して厳しい見方を維持しています。当社の株式戦略責任者ピーター・ガンリューは最近のレポートで利上げショックは銀行の収益と投資銀行部門の事業活動に総じてネガティブな影響を与えたと述べています。クレジットポートフォリオの平均残存期間は約7年であるため、銀行は徐々に利回りの高い商品に移行し、長期的な収益好転と利益率の向上を図るとみられます。米国のリセッションが浅いものにとどまり、名目GDPの成長が堅調に推移した場合には、米国の銀行は向こう数年間にわたってタクティカルな投資機会として検討されるべきでしょう。
本日公表予定の英11月の国内総生産(GDP)のコンセンサス予想は前回の前月比0.5%増から同0.3%減となっています。ただ、10月に伸び率が改善した背景には、女王の国葬に伴う銀行休日の影響を受けた9月からの反動が背景にあります。英国経済は明らかに減速しており、第4四半期もマイナス成長となれば、同国は名実ともにリセッション入りすることになります。
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