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Chief Investment Strategist
サマリー: 米国の株式市場は先週も好調なパフォーマンスを遂げ、引き続き強気なセンチメントを維持しています。背景には、コモディティ全般の力強い上昇や、バブル株を中心に米テック銘柄を後押しするアニマルスピリットの回復が継続していることがあります。明日の米5月CPIコア指数が予想以上に減速すれば、「FRBが利上げを一時停止」するとのシナリオが一段と強まり、引き続きテック株の上昇を下支えするものとみられます。しかし少なくとも現時点では、予想外のシナリオも視野に入れておくべきでしょう。
※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。
先週は、コモディティ市場の上昇と加速する株式市場のバブル的なダイナミクスが相場を支配する週となりました。中国政府による景気刺激策の実施や悪天候による農作物生産量の減少、およびOPEC+の減産によるエネルギー価格の上昇(ただし、減産による上昇は短期間で後退しつつある)などの見通しが強まったことでコモディティ価格は軒並み上昇し、当グループの商品バスケットは先週3%の上昇を遂げ、最も好調なテーマとなりました。
当グループのテーマバスケットで2番目に好調なパフォーマンスを上げたのはバブル株(投機的なグロース株)のバスケットで、投資家が収益性の低いテクノロジー企業に対して楽観的な見方を強めていることを示しています。こうしたモメンタムの復活は主にAIブームに後押しされたものですが、EV(電気自動車)関連銘柄もテクノロジー株主導のリスク選好の流れに寄与しています。なお、米国の名目GDP成長率が足元7%であることを踏まえると原油価格が極めて低い水準にとどまっていることは、EVのテーマにおいて興味深いポイントとなります。実際、原油価格は1984年以来最も低い水準で推移しており、足元の名目GDP成長率に照らすと、2つのシナリオが浮かび上がります。まず一つ目は電気自動車の普及によって、石油需要がこれまで予想されていたよりも速いスピードで限界に達しているということです。二つ目は、石油市場はGDP成長率が今後一段と鈍化することを示す有効なシグナルとなっていることが早晩明らかになることです。
明日(12:30 GMT)公表される米5月CPIは、市場を試す最初のイベントとなります。コンセンサス予想では総合指数の前月比の伸びは4月の0.4%から0.2%へと減速する一方、コア指数は前月比0.4%の上昇と横ばいの伸びにとどまる見通しです。米国の10年物インフレスワップ(CPI指数を原資産とするデリバティブ取引)のレートは、引き続き2004年以降の平均値である2.5%をわずかに上回る水準にとどまっています。つまり、市場が織り込む長期インフレ期待は何ら変わらないことを意味しています。しかし、これまで繰り返し述べてきたように「分断化ゲーム」や「グリーントランスフォーメーション」は、この10年間に及ぶ転換期においてインフレを大きく加速させる要因となるでしょう。また、こうした見通しに基づいて当グループのポジションは、2021年の年初から明らかに大きく変化しています。
株式市場にとって最も好ましいニュースは、CPIのコア指数がポジティブサプライズとなり、FRBによる利上げ一時停止の可能性が高まることです。その場合、株式市場のアニマルスピリットやバブル株のモメンタムは一気に強まるでしょう。当グループが最近発行した株式レポート「過熱するAIブームはバブルの再来か」や「米国株式:市場は混乱前の静けさか」は、現在の株式市場のバブル的なダイナミクスを取り上げています。主要株価指数では特定のセクターや超大型株への資金集中が加速し、バブル株が総じて堅調なパフォーマンスを上げる中、オプション市場のボラティリティは急激に低下しています。
市場のコンセンサスはFRBが利上げを見送るとの見方が優勢で、FF金利先物市場が織り込む7月会合での利上げ確率は60%となっており、今週水曜日の夜はFOMCの決定が市場を左右することになります。FRBは経済予測で2023年の経済成長率の予想を上方修正し、失業率見通しを引き下げる公算が大きいと考えられます。さらに、FF金利の誘導目標レンジを5.25-5.50%とし、ドット・プロットの中央値はターミナルレートに達する前にあと1回の利上げが行われる可能性を示唆するものと予想されます。ここで市場が直面する重要な問題は、はたして経済が金利の上昇を吸収し、リセッションを回避するだけでなく健全な成長を遂げることができるのか、という点です。FRBは1995年から1999年の約4年間にわたってFF金利を現在とほぼ同じ水準に維持しましたが。その間、米国経済は着実に成長を遂げ、企業業績は好調に推移し、少なくともテクノロジー・バブルに歯止めが掛かることはありませんでした。もう一つの例は、2006年から2007年にかけてのシナリオです。FRBは2006年半ばに利上げを一旦停止しましたが、その後米国の株式市場と経済は2007年の年末まで堅調さを維持しました。
株式市場が長年の間に得た教訓は、金融政策の決定が株式に大きな意味を持つこともある一方、大抵の場合、ほとんど意味をなさないということです。本来、金融政策は株価の動向に影響を与えるものですが、今回のFOMCの決定が株式市場の大きな転換点となることはないでしょう。今、株式市場にとって最も重要なことは、リセッションを回避できるか否かということでしょう。しかし米国の名目GDP成長率が引き続き6%程度で推移する中、市場は景気後退入りする可能性はそれほど高くない、あるいは景気後退入りしたとしても比較的浅いものにとどまるとの見通しを織り込んでいるようです。