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Chief Investment Strategist
サマリー: 4月25日からの一週間の注目点は、世界の株式が3月の安値を試す展開になるのか、それとも新たな反発のきっかけになるほど好調な決算が発表されるのかということです。この週には、S&P 500の時価総額の約半分に相当する企業の決算発表があり、米国の大手テクノロジー企業が決算スケジュールの中心を占めています。米国のテクノロジー企業の決算でインフレの影響が最小限であることが示されれば、株価は反発する可能性がありますが、そうではなく、中国の状況が悪化すれば、株価は低迷が続きそうです。
中国発のエネルギーショックと神経質な動き
22日のS&P 500先物の急落に伴い、米国株は2.8%下落し、米国株式市場は3月16日以来の水準まで戻しました。今の時期としては珍しく、コモディティが主導する形の下落となりました。これは、中国でゼロコロナ政策によりロックダウンが強化され、経済活動が打撃を受ける恐れがあることから、中国の需要に対する懸念が高まったことに伴う動きでした。25日の中国市場では、このような懸念が一段と強まり、CSI 300 Cash Indexは5%下落しました。一年以上前に中国のテクノロジーの崩壊が始まって以来、当社が中国株に対して取ってきたディフェンシブな姿勢が裏付けられました。3月下旬のリサーチノートでは、ウクライナでの戦争を踏まえて今後、ポートフォリオ内の中国株の配分をどの程度にすべきかを既に検討中の外国人投資家にとって、中国株は急落後でも割安ではなく、ロックダウンは大きなテールリスクであると結論付けていました。一つ確かなことは、4月の状況が株式にとってますます悪化しているということです。月間でプラスとなったのは防衛テーマバスケットだけでした。
中国の低迷は政策声明だけでなく、政策的措置にも表れています。最近では、中国の銀行が経営難の不動産開発業者向けの融資条件を緩和することが認められました。中国で何が起こっているのか、そしてそれが為替市場やその他の市場とどう関係しているのかについて、同僚のRedmond WongとJohn Hardyが最近、こちらの記事やこちらの記事で、重要なポイントを明らかにしています。中国の問題によりコモディティの需要が抑制されるため、短期的にはインフレ率が低下するというのが現在の市場の見方です。一方で、ロックダウンに伴い、ボトルネックや世界的な供給の制約も生じ、これが短期的なインフレ要因となりますが、当然ながらコモディティ価格そのものほど大きな要因ではないということです。しかし、中国で「ゼロコロナ」政策の廃止が遅れるほど、景気回復には大規模な刺激策が必要になるでしょう。欧米の経済が鈍化し、景気刺激策が撤回される中で、今後、中国における輸出頼みの追い風は弱まるため、景気回復のためには、需要をてこ入れする内需刺激策が必要になります。
株式市場のセンチメントが弱い中で、25日からの週の決算発表は、株式市場が3月の安値を試す展開になるか、それとも反発に転じるのかのカギを握っています。この週には、S&P 500の時価総額の約半分に相当する企業の決算発表があり、Alphabet、Microsoft、Meta、Apple、Amazonなどの米国の大手テクノロジー企業が決算スケジュールの中心を占めています。22日の記事で書いた通り、米国の大手テクノロジー企業(Nasdaq 100)の利益率はインフレにもかかわらず持ちこたえているようですが、その他の企業セクターは投入コストの上昇による打撃を受けています。25日からの週の決算で、米国のテクノロジー企業が全体的にインフレの影響から守られていることが示されれば、投資家は途端に大型テクノロジー株をインフレヘッジとして扱い始め、株式市場は幅広く回復する可能性があります。一方で、幅広い非テクノロジー企業は引き続きインフレに苦しむことになります。
25日のCoca-ColaとActivision Blizzardの決算は、今のところP&GやCoca-Colaなどの消費財企業にはコスト上昇を転嫁できる力があることを示しています。また、Netflixの決算から分かったように、パンデミック下で恩恵を受けた娯楽関連銘柄は、消費者の時間の使い方が変わったことで、こうした利益の一部を手放しつつあります。Activision Blizzardの第1四半期の売上は14億8,000万ドル(予想は18億1,000万ドル)、調整後のEPSは0.38ドル(予想は0.72ドル)でした。この結果は、これから発表されるテクノロジー企業の業績もさらに期待外れになる可能性を示唆していますが、ともかく今後の決算発表を待つしかありません。
シカゴ連銀による金融環境指数の最新データの発表も待たれます。一段と平均的な金融環境に向かうならば、株価は下落することになります。ウクライナのドンバスを巡る戦いはまだ投資家が懸念していたようなリスク要因にはなっていませんが、5月9日までに戦果をあげるようロシア軍への圧力は強まっており、ウクライナでの戦争は、いつでも険悪な事態になり得る大きな潜在的なテールリスクであることに変わりはありません。