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Chief Investment Strategist
サマリー: 今回は、米国株式市場の取引開始前に決算を発表した拼多多(Pinduoduo)のポジティブサプライズなど、中国企業の業績について取り上げます。また、21日夜に発表されるNikeの決算についても触れます。安踏体育用品(Anta Sports、22日に決算発表)などの競合企業との中国での競争激化や投入コストの上昇圧力を背景に、Nikeの利益は前年比21%減少すると予想されています。さらに、インフレ期の決算動向や、インフレ中にはどのような企業やテーマが好調に推移するかを説明します。
拼多多(Pinduoduo)のサプライズ決算とその他の中国企業の決算
米国と欧州の決算発表シーズンは残りわずかとなっていますが、3月21日からの週は中国株式市場に注目する投資家にとって興味深い1週間になります。いくつかの重要な中国のテクノロジー企業と消費財企業が決算を発表します。
中国の拼多多(Pinduoduo)は、農家と消費者を結びつける農業専門の技術プラットフォームを提供する企業です。同社は米国株式市場の取引開始前に決算を発表しました。決算では、取引が活発な購入者数が予想以上に減少し、第4四半期の売上高は272億元と予想の300億元を下回ったにもかかかわらず、第4四半期の調整後利益は5.88元と予想の2.02元を上回り、サプライズをもたらしました。プレマーケット取引で同社株は5%近く上昇しています。
21日の米国株式市場の取引時間終了後には、Nikeが2022年度第3四半期(期末は2月28日)の決算を発表する予定です。アナリスト予想によれば、投入コストの上昇が営業利益率の足かせとなっていることや、中国事業部門で中国のナショナリズムが逆風となっていることを背景に、同社の売上高成長率は前年同期比2.4%と小幅にとどまり、調整後のEPS成長率は前年同期比21%減少すると見られています。22日には、中国でのNikeの最大の競合企業である安踏体育用品(Anta Sports)が決算を発表します。
21日からの週に発表される最も重要な決算は以下の通りです。太字で示されているのは、市場のセンチメントあるいは株式市場全体の動向を左右する可能性がある銘柄です。
月曜日:香港中華ガス(HK&China Gas)、Nike、拼多多(Pinduoduo)
火曜日:小米(Xiaomi)、安踏体育用品(Anta Sports)、Foxconn、薬明生物技術(Wuxi Biologics)、Partners Group、Adobe
水曜日:Tencent、中国移動通信(China Mobile)、無錫薬明康徳新薬開発(WuXi AppTec)、IHS Markit、益海嘉里金龙鱼粮油食品(Yihai Kerry Arawana)、Cintas、General Mills
木曜日:中国人寿保険(China Life Insurance)、興業銀行(Industrial Bank)、佛山市海天調味食品(Foshan Haitian Flavoring)、中信銀行(China CITIC Bank)、上海蔚来汽車(NIO)
金曜日:中国神華能源(Shenhua Energy)、中国海洋石油集団(CNOOC)、交通銀行(Bank of Communications)、安徽海螺水泥(Anhui Conch Cement)、龍湖集団(Longfor Group)、中国人民保険(People's Insurance)、中国光大銀行(China Everbright Bank)、美団(Meituan)
FRBによるタカ派的な利上げの決定により、インフレが定着しつつあることをFRBがようやく認めたのに伴い、投資家にとっては、インフレが株価のリターンや企業利益の成長にどのような影響を及ぼすのかということが問題となっています。1970年代の状況を振り返ると、実は米国企業の利益は長期的なトレンド成長を上回る成長を遂げました。もっとも、名目経済成長率がその後の数十年と比べて高かったことを考えると、それほど驚くにはあたらないことかもしれません。利益の成長率は1973年に底を打った後、好調に推移しましたが、株式のリターンは名目ベースでは低調であり、実質ベースでは壊滅的な状況に陥りました。これは、投資家が積極的に負担していたPERがインフレにより大幅に低下したためです。
10年物インフレスワップは現在3.1%であり、インフレ見通しが悪化すれば、投資家はマルチプル・コントラクション、利益成長率、開始時のバリュエーションの間の関係について考えざるを得なくなるでしょう。次の当社の「Quarterly Outlook(四半期見通し)」では、インフレ環境下で優良な投資先を選別する上で重要となる3つの要素、すなわち「生産性」、「イノベーション」、「価格決定力」に着目します。今のところ、オーバーウエイトにすべきテーマに関する我々の姿勢に変わりはなく、サイバーセキュリティ、物流、コモディティセクター、防衛を重点テーマとしています。また、このグループに、グリーントランスフォーメーションとバッテリーも加えることを決定しました。今後、欧州での大規模なグリーントランスフォーメーションへの投資が、これらの企業にとって大きな追い風になることが見込まれるからです。