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Chief Investment Strategist
サマリー: 26日夜のFOMCでの金利決定を控え、株式相場は2%上昇しています。この上昇の背景には、投資家が債券市場の動向から安心感を得ていること、個人投資家が再び買い越しに転じていること、FRBがややハト派寄りに転じることを意味する「FRBプット」に関する憶測が広がっていることがあります。我々は、FRBがインフレ圧力の緩和と金融引き締めを目指し、タカ派姿勢を維持する可能性のほうが高いと考えています。また、Microsoftの好調な決算と業績見通しについても取り上げ、インフレの中で比較的うまく資産を守るのに超大型株が適しているという見方が高まっていることを説明します。最後に、2022年の業績見通しを引き下げたVestasについて、投入コストの上昇が打撃となったことを見ていきます。
FOMCに向けて株価は上昇
26日の世界の株式相場は回復の態勢に入っており、約2%上昇しています。26日夜のFOMCでの金利決定を前に、Nasdaq 100先物は14,400超に上昇しています。26日には、センチメントを好転させている可能性がある要因が4つあります。すなわち、1)悪循環となっていた個人投資家の売りが鈍化していること、2)米国10年債利回りの上昇が一服し、世界のハイイールド信用スプレッドが低水準にとどまっていることから、債券市場はインフレに関して依然として落ち着いていると見られること、3)過去24時間に好決算が続いており、Microsoftが好調な業績見通しを発表したこと、4)株価の急落を受け、FRBが26日夜、ややハト派寄りに転じるという「FRBプット」に一部の市場参加者が期待していることです。
FRBはインフレ抑制を命じられており、FRBにとってはこれが最優先事項だと考えられます。しかし、FRBの計量経済学モデルではパンデミック中の体制移行を把握できていなかったため、FRBにとってインフレは予想外でした。FRBは、2020年前半からの株価上昇を踏まえ、投資家には十分な緩衝材があり、世界株式が20%調整するまでは金融引き締めが可能だと見ていると思われます。唯一注意すべき点は、現在のインフレ圧力の中で、米国の財政状況が緩和から引き締めに移行しており、民主党は米国議会で法案を可決させるのに苦心しているようだということです。
Microsoftの決算で、投資家が超大型株を好む理由が明らかに
Microsoftは25日夜、2022年度第2四半期(期末は12月31日)の決算発表を行い、第2四半期の売上高が517億ドル(予想は509億ドル)、EPSが2.48ドル(予想は2.32ドル)になったことを明らかにしました。売上高は前年同期比で20%増加、営業利益率は前年同期の49.1%から50.7%に上昇しました。この決算から、投資家が超大型株を好む理由が浮き彫りになりました。超大型株は今まさに平均を上回る成長を遂げており、インフレの中でも営業利益率を維持することができています。今年に入ってから現在までに、当社の超大型株バスケットのパフォーマンスはMSCI Worldを0.6ポイント上回っています。これは、S&P 500(-8.6%)やNasdaq 100(-13.3%)のパフォーマンスと比べると良好だと言えます。
また、金利上昇と投資家の売りにより大きな打撃を受けてきた投機的な成長株と比べると、超大型株はそれほど過剰には過大評価されていません。Microsoftの場合、フリーキャッシュフローの利回りは約3%ですが、米国10年債の利回りが2%を下回っていること、Microsoftがインフレ率を上回るペースで成長できることを考え合わせると、おそらく多くの投資家がそれを良いと判断するはずです。
Vestasは鉄鋼価格と物流が足かせに
世界最大の風力発電機メーカーであるVestasは、インフレに関してMicrosoftとは正反対の状況に直面しています。同社は26日、2022年の業績見通しを発表し、売上高が150億ユーロ~165億ユーロ(予想は166億ユーロ)、EBIT利益率はわずか0~4%になるとの見通しを示しました。同社では、世界的な供給の制約と物流の混乱の影響で、プロジェクトの遅延やそれに伴う収益計上の遅れが生じています。一方で、ヘッジしていない鉄鋼価格の上昇も利益率に影響を及ぼしています。これは、受注が鈍化しかねないとしてVestasがコストの転嫁に消極的だったためですが、CEOによれば、今ではスタンスは変わっているということです。
1月24日の週には第4四半期の決算発表が本格化しており、前四半期に関してさらにしっかりした結論を出すためのデータが続々と出てきています。大半の企業はコストを顧客に転嫁することができている模様です。今のところ第4四半期の利益率は第3四半期と同程度であり、利益率はほとんど圧迫されていないことが示されています。