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Chief Investment Strategist
サマリー: 世界の金融市場では中国の景気減速や地政学リスクの軽減を目的とする製造業の「脱中国依存」の動きに対する懸念が高まっており、中国の株式市場は今年に入ってメキシコ、韓国、インド、マレーシア、日本、インドネシア、ベトナムの株式市場を12%もアンダーパフォームしています。本稿では、年初からの中国株式のパフォーマンスや中国政府が経済活性化に向けて追加の景気刺激策を準備しているとの報道を受けて、当グループの第2四半期予想のテーマである「分断化ゲーム」について再考したいと思います。
中国の株式市場は政府が厳格なゼロコロナ政策を解除したことで世界の投資家が中国経済再開に大きく賭ける中、年初は好調なスタートを切りました。中国株は年初から2023年1月27日までの期間に他国の株式市場のグループ(*)を8%もアウトパフォームしましたが、こうした楽観的な見方はその後急速に後退し、2月下旬には、それまでの上昇分はすべて巻き戻されました。しかし、エコノミストや投資家が疑問を抱きながらも中国経済回復のシナリオを支持する中、中国株は3月下旬まで他の主要新興市場並みの上昇をかろうじて維持しました。
中国経済は引き続き厳しい現状に直面しており、政策当局者らは懸念を払拭すべく成長を促すための景気刺激策を導入する意向を示しています。5月の新規銀行融資のデータによって資金需要の冷え込みが確認されたことで、経済活動の減速を裏付ける新たな兆候となりました。また、中国は若年層の高い失業率や不動産セクターの低迷といった構造的な問題に直面しています。中国政府による預金準備率の引き下げに続いて、今日は中国人民銀行が7日物のリバースレポ金利を10bps引き下げ1.9%としました。これは、中国の中央銀行が追加の金融緩和に前向きであることを示しています。また中国政府は減税やその他の成長促進策を検討しています。こうした中、当グループの株式バスケットのパフォーマンス(図表)は、市場が「分断化ゲームのダイナミクス」と「中国政府の経済活性化向けた政策」をどのように推し量っているかを把握する上で、有効な先行指標となるでしょう。
(*) 中国株をベンチマークとする株式市場のグループを指し、メキシコ、韓国、インド、マレーシア、日本、インドネシア、ベトナムの株式市場によって構成されています。