非再生可能エネルギーセクターの概況
本稿では、非再生可能エネルギーに焦点を当てます。エネルギーセクターの中で市場価格と期待値に対して最も変化が大きく、バリュエーションが変化する余地が大きい分野だからです。石油・ガス価格の高騰にもかかわらず、エネルギーセクターは相対的に割安であることは、5月に発表した”
Global energy stocks are the cheapest in 27 years”(英語版のみ、仮題「世界のエネルギー関連株は過去27年間で最も割安」)(フリーキャッシュフロー利回りで評価したもの)で既に述べたものです。石油・ガス価格の高騰により、
石油精製企業の利益も記録を更新し、最近では世界のエネルギーセクターの四半期利益も過去最高を記録しました。そのことは最近のレポート「
インフレによる全般的な底上げで企業利益は過去最高」でも述べました。
世界のエネルギーセクター(世界産業分類基準(GICS)では非再生可能エネルギーセクターと定義)は、世界の株式市場に対して依然として割安であり、12か月EV/EBITDAは2005年以降の平均バリュエーションスプレッドを2標準偏差下回る水準となっています。トータルリターンの観点からは、1995年以降、世界のエネルギーセクターは世界の株式市場よりも高いリターンを達成しています(下のグラフ参照)。また、12か月フォワードEV/EBITDAで測定した場合、再生可能エネルギーセクターは非再生可能エネルギーセクターと比較して2倍のバリュエーション水準となっており、市場に織り込まれた将来期待値との違いを反映していることは注目に値します。
第1四半期の見通しで述べたように、現在の配当利回りと予想配当成長率から、世界のエネルギーセクターでは年率10%の長期リターンが期待できると考えられます。もちろん、業界の株式バリュエーションの低下や将来の配当成長率が現在の予想より低下することに関する大きな不確実性は存在します。