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Chief Investment Strategist
サマリー: 13日の株式相場は、乖離が非常に大きい一風変わった展開となり、売り買いが交錯しました。機関投資家は、成長株やテクノロジー株を売る一方で、エネルギー、金融、コモディティなどのバリュー株を買い越していることが明らかです。他方、個人投資家は米国株や投機的な成長株を買い越している模様です。どちらが戦いに勝つのでしょうか。両者が同時に勝つことはありません。また、2021年2月の高値から現在51%下落したバブル株にも注目します。さらに来週(1/17日の週)の決算発表について、ASML、Netflix、Schlumbergerに焦点を当てて見ていきます。
株式市場における水面下の妙な動き
13日の相場は一風変わった展開となり、米国10年債利回りが低下する中、当社のEコマース株バスケットとバブル株バスケットの間のパフォーマンス差が9ポイントと非常に大きくなりました。これは最近見てきた展開とは逆の動きでしたが、コモディティセクターはさらに買われました。機関投資家は成長株を売る一方、半導体、物流、コモディティ、金融などのセクターを通じてインフレに対応したポジションをとる傾向があるのに対し、個人投資家はインフレにもかかわらず相変わらず投機的な成長株に重点を置き、これを買い越しているといったように、水面下では売り買いが交錯しているようです。
Ark Investはバブル株崩壊の真っ只中
このところ度々指摘してきた通り、Ark Innovation ETFは、当社のバブル株バスケットと個人投資家が好む投機的な成長株セクターの指標となる最も流動性の高い資産です。過去5年間にわたる当社のバブル株バスケットとArk Innovation ETFとの週次の相関は0.85、日次データでは過去1年間の相関は0.90となっており、これら2つのバスケットは基本的に重複が大きいと言えます。当社のバブル株バスケットは2021年2月の高値から51%の下落、Ark Innovation ETFは49%の下落となっています。これは、パンデミックの影響による急落中の下落幅35%を上回り、ファンド設定以来最大の下げ幅です。
Ark Innovation ETFは13日、終値で80ドルを割り込み、テクニカル的に重要な水準になっています。今起こっていることを推測するならば、以下の2つのことが考えられます。1つ目は、大口投資家の間で、成長株やデュレーションの高い資産からバリュー株・景気循環株やデュレーションの低い資産へのローテーションが加速し、これによりエクスポージャーとフローが大きく変化していることです。これがArk Innovation ETFに大きな打撃を与えています。2つ目は、多くのヘッジファンドがおそらく水面下の争いを察知し、そのようなデュレーションの高い資産を積極的にショートしていることです。年初から株式アップデートで述べてきた通り、急落は集中的に起こっており、今年の米国10年債利回りの上昇がわずか23ベーシスポイントだとすると、バブル株のデュレーションは60ということになります。つまり、全ての条件が同じであるとして(実際には違いますが)、市場が効率的だと想定した場合、これらの投機的な成長企業の収益の伸びと営業利益率が悪化することを織り込んでいると言えそうです。そのため、これらの企業のいずれかが引き続き好調な収益の伸びを示し、営業利益率の改善の兆候が見られることがあれば(マイナスからの改善であっても)、決算発表シーズンはショートスクイズの危険にさらされる可能性があります。
決算発表プレビューテクノロジー株ではASMLとNetflixが先陣を切る
ここ1週間は決算発表シーズンに入っていますが、決算内容は強弱まちまちです。Fast Retailingが期待外れの業績となったほか、Philipsは業績を下方修正しました。他方、Delta Air LinesやChr Hansenなどの企業は、CEOの楽観的な見通しや予想を上回る業績を示し、好調でした。14日には、Wells Fargo、BlackRock、JPMorgan Chase、Citigroupの決算発表が行われます。コンセンサス予想では、12日に発表されたJefferiesの決算と同様、低調な相場環境を背景に第4四半期のEPSは前期比で減少すると見られています(BlackRockを除く)。しかしこれらの企業は、今後に関しては、金利上昇により非常に楽観的な見通しを示すと当社は予想しています。
来週(1/17日の週)は主に米国でさらに多くの決算発表が予定されていますが、決算を受けた実際の反応が見られるのは翌々週(1/24日の週)になってからでしょう。
来週(1/17日の週)の決算発表
来週(1/17日の週)の決算発表企業の中で、 ここではASML、Netflix、Schlumbergerの3社を取り上げます。
ASMLは世界最大の半導体装置メーカーです。世界最大の半導体ファウンドリであるTSMCが13日に示した見通しを踏まえ、投資家は半導体業界に対する強気の見方を維持しています。アナリストは、第4四半期の収益は前年同期比20%増、EPSは前年同期比15%増になると予想しており、ASMLが力強い成長を続けることを示唆しています。今後数年間に計画されている設備投資により、成長率は高水準にとどまる見通しです。最近の株価の下落で、コンセンサスの目標株価と現在の株価との差は20%に拡大しています。
Netflixは、多くの新規株式公開(IPO)が続くテクノロジー株の中で大幅に失速してきています。ビデオストリーミング事業には多数の企業(Apple、Amazon、Disney)が参入していることから、同事業はもはや特別なものとはみなされず、Netflixの独自性はありません。パンデミックによる生産停滞の後、設備投資が再び増加していることから、アナリスト予想では、収益は前年同期比16%増、EPSは前年同期比49%減になると見られています。
Schlumbergerは世界最大の石油サービス企業の1社です。最近は市場に積極的に伝えられていませんが、石油・ガス価格の高騰を背景に、近いうちに総合石油・ガス会社が設備投資の拡大を開始する見通しであることから、同社は恩恵を受ける立場にあります。アナリストは、同社の収益の伸び率を前年同期比10%、EPS成長率を79%と予想しています。