欧州の不動産市場は再び金融危機をもたらすか?

欧州の不動産市場は再び金融危機をもたらすか?

株式
Peter Garnry

Chief Investment Strategist

サマリー:  欧州の不動産会社の株価は、金利上昇によって資産価値が低下する中で長期的な支払利息が増加し、営業キャッシュフローを圧迫しているため、2021年12月以降43%下落しています。セクターのPBRは0.7倍と低い水準で評価されており、市場が資産とキャッシュフローが深刻に悪化するとの予想を反映していることがうかがえます。EUの平均的な住宅ローン金利は1月時点で3.1%であり、もし2007年のように住宅ローン金利が5%になれば、不動産会社はますますキャッシュフローの大半を債務の返済に費やし、株主にはほとんど価値を与えなくなるでしょう。


不動産セクターのリターンは期待を下回る

本日のポッドキャストでは、不動産株が3.3%減と最も弱いグループであることを説明した上で欧州の不動産に焦点を当てます。ユーロスタットの統計によると、欧州では長年にわたる低金利により、2014年第1四半期以降、住宅価格が平均で50%以上上昇しました。スウェーデンなどでは65%近い上昇となりました。低金利環境は投資家にリターンを求めさせ、不動産のような流動性の低い選択肢に投資家の資金が大量に流入しました。

ECBが今月の最新の金利決定で0%から3.5%に利上げしたことによって住宅向けの新規借り入れが激減し、多くの住宅メーカーの新規受注が75~80%も減少しました。ECBの統計によると、EUの平均住宅ローン金利は1月に3.1%に上昇しました(下図参照)。金利上昇により、欧州の不動産会社は2021年12月以降43%下落し、STOXX Europe 600 Real Estate Indexは過去5年間で31%下落したのに対し、より広い欧州株式市場では31%上昇しました。不動産セクターは平均して、多くの投資家が期待していたリターンを押し上げる投資先ではないことが判明しました。

不動産は銀行にとって次のリスクとなるか?


STOXX Europe 600 Real Estate Indexに含まれる33社の不動産会社の時価総額は1380億ユーロ、総資産は5260億ユーロに上ります。このような資産価値は、もはや真の価値を反映していません。これは、業界の株価純資産倍率が0.7倍まで低下していることからもわかるように、資産価値の下落が予想されることを意味します。このような動きは、銀行の担保価値に影響を与えるため、新規融資の条件が厳しくなることが予想されます。

過去のエクイティ・ノートで度々お伝えしたように、銀行システムでは預金ゲームが行われており、SVB Financialの場合、逃げ出した預金に対応するために資産の強制売却が行われ、最終的には破綻に至りました。銀行が不動産会社の負債を減らすことを望むならば、不動産会社も同じ状況に追い込まれる可能性があります。過去12ヶ月間、これら33社の不動産会社は、営業キャッシュフローの約25%を負債の利払いに費やしており、この時点でこれらの企業が容易に負債を返済できることを表しています。


しかし、最近スウェーデンの複数の銀行が主張しているように、スウェーデンの不動産会社の債務返済能力は悪化しており、今後も悪化し続けると予想されます。最近、スウェーデンで不動産事業を展開するBalderの格付けがジャンク級に引き下げられました。指数最大の不動産会社であるドイツに本拠を置くVonoviaを例に取ると、その債務加償還年数(加重平均)は約6.5年です。つまり、住宅ローン金利がこのまま3.1%、あるいは2008年の金融危機前の5%の水準まで上昇すると、経営キャッシュフローのかなりの部分が債務返済に費やされ、株主価値を下げることになります。

※本レポートは機械翻訳を一部修正したものです。
EU average mortgage rate in percent | Source: ECB

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