市場の現況
ナスダック100(USNAS100.I)、S&P500(US500.I)、薄商いの中下落
木曜日(10月6日)の米国株は下落し、週明けの上昇分をさらに吐き出す形となりました。S&P500は1%下落し、WTI原油が1.4%上昇し89.1ドルとなったことで恩恵を受けたエネルギーセクターを除く、11セクター中10セクターが下落となりました。ハイテク銘柄が中心のナスダック100は0.8%下落しました。 FRB幹部のタカ派的な発言が相次いだため、投資家は本日(10月7日)の雇用統計と来週の消費者物価指数の発表を前にリスクを取ることに慎重な様子です。市場は薄商いとなっています。ツイッター(TWTR:xnys)は、投資家がマスク氏による買収完了の進捗をにらみ、3.7%下落しました。SNSのピンタレスト(PINS:xnys)は4.8%高、ゲームソフト開発のテイクツー・インタラクティブ(TTWO:xnas)はアナリストによる格上げで3.5%高と上昇しました。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD:xnas)は、第3四半期の売上高速報値を発表しましたが、予想を下回り、時間外取引で4%近く下落しました。
米国債利回り (TLT:xnas, IEF:xnas, SHY:xnas) はFRB高官のタカ派的発言で上昇
木曜日(10月7日)の米国債イールドカーブはベアフラット化しました。FRBのクック理事、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ウォラー理事による、FRBの政策転換に否定的な発言により、イールドカーブの短期側が上昇しました。トレーダーはFF金利のターミナルレート予想を4.57%に戻し、11月のFOMCで75bpの利上げが実施される確率を77%としています。2年債利回りは11bp上昇し4.26%、10年債利回りは7bp上昇し3.82%となりました。
香港ハンセン(HSIU2)、前日の大幅上昇後に一服
ハンセン指数は昨日(10月6日)5.9%上昇した後、一服し、終日横ばいでの取引となり、午後早い時間にプラス圏に浮上しようとするも失敗し、0.4%安で終了しました。香港入境時のパンデミック対策規制が最終的に撤廃されることを見越して、ショッピングモールや小売店、航空会社などが上昇しました。また、香港政府は旅行者の香港訪問を誘致するため、50万枚の無料航空券の配布を計画しています。商業施設を所有する九龍倉置業地産投資(ワーフ・リアルエステート・インベストメント)(01997:xhkg)は4.7%上昇し、ベンチマーク指数で最も良好なパフォーマンスを示しました。宝飾品小売の周大福珠宝集団(チョウ・タイ・フック・ジュエリー・グループ)は1.4%上昇しました。キャセイパシフィック航空(0293:xhg)は3.5%上昇し、中国東方航空(00670:xhkg)、中国南方航空(01055:xhkg)、中華航空(00753:xhkg)は5.7%から6.9%上昇しました。自動車メーカーは出遅れ、有力銘柄は2.5%から7%下落しました。米大手投資銀行の最新分析レポートで、金利上昇で香港の住宅価格が30%下落するとの見通しが示されたものの、地元開発事業者の株価は小幅上昇でこの日の取引を終えました。 一方、中国本土の不動産開発事業者が利払いの計上について銀行と協議しているとして、旭輝控股(集団)(CIFIホールディング)(00884:xhkg)が15.3%急落しました。 アリババ(09988:xhkg)は、上海市が、アリペイが研究開発費の要件を満たせなかったため、税制優遇を受けられるハイテク企業のリストからアリペイを削除したというニュースを受けて1.2%下落しました。
債券利回りの上昇でドル上昇
DXY(ドルインデックス指数)は、米国債利回りの上昇により0.9%上昇し、112.2となり、G10通貨に対して上昇しました。 豪ドルは0.6410まで売られ、9月28日の安値である0.6363に接近しました。ドル円は、財務省の円安抑制の決意を試すような形で、145円台まで値を戻しました。
原油 (CLX2 & LCOX2)
エネルギー市場の逼迫懸念が引き続き原油市場のさらなる上昇を支え、OPECプラスが発表した200万バレル/日の削減を受けて、WTI原油先物は現在89ドル/バレルに向けて上昇、ブレント原油先物は94ドルを超えています。また、欧州のロシア産原油に対する制裁措置が今四半期に発動されるなど、その他の供給問題もありますが、米国はこの供給減少の一部を相殺するために戦略的備蓄からの放出増を選択する可能性があります。
LMEがロシアの銅、亜鉛、アルミニウムに規制をかけ、金属は上昇
ロンドン金属取引所(LME)は、一部のロシア製金属の納入を制限 すると発表しました。ロシアのウラル採鉱冶金会社(UMMC)やそのチェリャビンスク亜鉛部門からの金属は、同社の共同創設者であるイスカンダル・マクムドフに対する最近の制裁の違反とならないことを所有者が証明できる場合にのみ、直ちにLMEの倉庫に納入することができるようになります。同業界は、2月のウクライナ侵攻以来、アルミニウム、ニッケル、銅の主要生産国であるロシアからの供給をどう扱うかという問題に直面しており、この1か月で議論が激化しています。HGカッパー(HGZ2)は、1か月ぶりの高値となる3.59ドルまで上昇しましたが、その後、ドル高が投資家の投資意欲を削ぎ、上げ幅が縮小しました。
注目すべき材料
FRB高官はタカ派的発言を強調
市場はFRBが早晩、政策を転換すると予想しており、FRBメンバーは長期間にわたり高金利を維持するとの明確な発言で、より強いタカ派的シグナルを送り続けています。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁(2023年投票権者)は、FRBが「政策金利を据え置く段階には程遠い」状況であり、「基調的なインフレがピークに達した証拠はない」と述べました。クック理事は「物価の安定を取り戻すには、利上げを継続し、しばらくの間は制限的な政策を続ける必要がある」と述べました。ウォーラーFRB理事も「2023年初めまで利上げを続ける必要がある」と、同調した見解を示しました。シカゴ連銀総裁のチャールズ・エバンスも、FRBの金利引き上げは春までに4.5-4.75%に向かうと繰り返し、今後2回の会合でさらに125bpの利上げがあると述べました。
ECB理事会議事要旨はインフレ懸念を示唆
9月7-8日に開催されたECB理事会の議事要旨が公表され、先月の75bpに次ぐ大幅な利上げが示唆されています。主要政策金利が依然として中立金利を下回っていることについては、幅広いコンセンサスが得られています。景気に対する評価は暗いにもかかわらず、インフレの抑制は依然として最優先課題であり、したがってさらなる引き締めが予想されます。市場は現在、10月の利上げ幅を50bpと見ており、75bpとする可能性も高いと見ています。
香港のPMIは9月に縮小域に低下
S&Pグローバルは、香港の9月の購買担当者指数(PMI)が8月の51.2から48.0に低下したと発表しました。香港が新型コロナウイルスの流行で大きな打撃を受けた今年3月以来、初めて収縮領域に戻りました。 S&Pグローバルによる香港のPMIは、製造業、卸売業、小売業、サービス業、建設業の活動を調査しています。 サブインデックスのうち、新規受注は8月の51.3から9月は46.1へと最も大幅な低下を示しました。 輸出受注は前月の47.4から45.9にさらに悪化しました。 生産指数は52.2から47.3へ、雇用指数は48.6から48.3へ低下しました。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD:xnas)、予想を下回る第3四半期売上高を速報で発表
AMDは第3四半期の売上高を約56億ドルと事前発表し、従来予想の約67億ドルを大幅に下回る見込みとなりました。同社は業績不振の理由として、パソコン需要の低迷とパソコンのサプライチェーンにおける在庫の増加を挙げています。その後、アジア取引時間中にサムスンは第3四半期も減益となると事前発表し、第3四半期の決算シーズンに向けて利益の圧迫がより広範わたって見られる可能性を示唆する形となりました。サムスンは、需要の低迷により、第3四半期の利益は32%減少する可能性が高いとしました。
世界銀行、インドの成長率予測を1%ポイント引き下げ6.5%に
世界銀行は、世界経済の減速と金利上昇を理由に、2023年3月期のインドのGDP成長率見通しを1%引き下げ、6.5%としました。これは、4-6月期が2桁成長であり、インド準備銀行(RBI)が2023年3月期の成長率予想を7%としているにもかかわらず、全般に厳しい世界マクロ環境と、RBIの利上げによる消費減退を反映したものです。
米国非農業部門雇用者数統計が市場のカギを握る
米国では本日(10月7日)、雇用統計の発表が予定されており、ヘッドラインの数字が若干落ち込んだとしても、労働市場の逼迫感についてさらなるシグナルを発する可能性があります。ブルームバーグのコンセンサス予想では、9月の雇用者数は8月の前月比+31万5000人から+25万5000人となり、失業率と平均時給はそれぞれ3.7%と0.3%と安定した水準となるとされています。賃金上昇率の年率は一段と冷え込むと予想されています。新規失業保険申請件数は、先週20万件を下回った後、21万9000件に増加しましたが、NFPには直接反映されません。市場はFRBの追加引き締めを織り込むか否かの瀬戸際にあり、NFP統計がわずかでも外れると、FRBが政策を転換するとの声が強まり、2023年の市場価格から緩和期待を押し戻すには、FRBのさらなる後押しが必要となります。
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