主なポイント:
- 市場の不確実性はリスクと機会の両方をもたらす:投資家は、成長の鈍化、政策リスク、地政学的な緊張が市場のボラティリティを高めるなど、不確実性の最悪の嵐に直面しています。このような逆風にも関わらず、歴史が示すように、優れた企業は回復する傾向があり、長期投資家にとっては質の高い株を割引価格で購入するチャンスとなっています。
- 不確実性の中では、選択性と分散化が重要:強気のケースは、減税、規制緩和、および利益成長を支える可能性のあるFRBの利下げの可能性への期待にかかっています。しかし、政策リスク、バリュエーションの上昇、世界経済の不確実性により、選択的かつ分散されたポートフォリオを保つことが不可欠となっています。
- 市場での時間は市場でタイミングを計ることに勝る:市場が直線的に底を打つことはめったになく、正確なターニングポイントが訪れるタイミングを計ろうとすると、しばしば機会を逃すことになります。堅固な財務基盤を持ち、機関投資家による財務的支援のある基本的に堅実的な企業に投資するという規律あるアプローチは、歴史的に見ても、不安定な市場を乗り切るための最良の方法でした。
市場は不確実性の最悪の嵐の中を乗り切ろうとしています。投資家は、経済成長の鈍化、関税の引き上げ、地政学的な緊張に対する懸念と格闘しています。中央銀行はインフレリスクと成長についての懸念を両立させている一方で、企業はサプライチェーンの混乱と賃金インフレによる利益率の圧迫に直面しています。
これらの要因がボラティリティを煽り、株式の売りにつながっています。今、金融市場を支配しているのは、以下のCNNの「Fear and Greed Index」からも恐怖であることが明らかです。2月末に22に落ち込んだ後、3月4日には20に低下し、トレーダーや機関投資家の間で深刻な不安が生じています。
出所: CNN 市場センチメント指標は将来の価格変動を左右するものではありませんが、市場の感情面での状態に関する洞察を提供し、多くの場合、経験豊富な投資家にとっては逆張りのシグナルとなります。恐怖が極端に高まると、歴史的に見ても、潜在的なチャンスや市場のさらなる混乱の瞬間が訪れます。
そして、歴史が示すように、優れた企業は回復する傾向があり、多くの場合、より強くなります。長期投資家にとって、このような時期は、質の高い株を割引価格で購入するチャンスです。
強気のケース:なぜ潮目が良くなるのか
短期的な懸念はあるものの、いくつかの追い風が市場の回復を支える可能性があります。
- 「トランプ・プット」:市場は、減税や規制緩和など、企業に優しい政策の可能性を織り込み始めており、それが企業収益を押し上げる可能性があります。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)の柔軟性:金利水準は依然として抑制的である一方でインフレ率は下がってきており、FRBは金融政策を調整する余地があります。経済状況が悪化すれば、遅かれ早かれ利下げが実施され、株価のバリュエーションを下支えする可能性がある。
- 広範な利益の強さ:第4四半期の利益は、主要な成長企業の間だけで好調だっただけでなく、複数のセクターでより広範な改善を示し、企業の収益性の回復力を示しました。
弱気のケース:長引く不確実性と選択的であることの必要性
強気のケースにはメリットがありますが、リスクは残っています。
- 政策に関するリスクは十分には理解されていない:減税や規制緩和が導入されたとしても、その範囲やタイミングは不透明です。一方、特に政府支出と債務をめぐる財政上の懸念は、長期的な成長見通しに影響を与える可能性があります。
- 高いバリュエーションは依然として懸念事項:市場の調整にもかかわらず、一部のグロース株は依然として高い株価倍率(PERやPBR)で取引されています。さらなる収益の減速や利下げの遅れは、バリュエーションのさらなる下落につながる可能性があります。
- 地政学的リスクとマクロ経済上のリスク:世界的な貿易摩擦の高まり、長引くインフレリスク、不均一な経済成長が投資家心理を圧迫し、短期的な上振れ幅を制限する可能性があります。
このような環境では、多様なアプローチが重要です。投資家は、市場の底値に積極的に賭けるのではなく、堅実な財務体質と割高でないバリュエーションを持つ質の高い企業に焦点を当てるべきです。
投資原則:市場のタイミングを計ることが負けゲームである理由
市場が一直線に底を打つことはめったになく、正確なターニングポイントのタイミングを計ることは困難です。完璧な条件を待つのではなく、市場での時間に焦点を当てること、つまりファンダメンタルズが良好な企業に着実に投資することが、歴史的により効果的な戦略でした。
正確な市場の底を予測しようとすることは、ほぼ不可能です。多くの投資家は、より市況が明確になることを期待して傍観者として待っていますが、結局のところ、彼(女)らが投資に参加する前に株価が先に反発してしまうだけです。そのため、長期投資家は市場のタイミングを計るのではなく、市場における時間に焦点を当てます。「完璧な」エントリーポイントを待つ投資家は、最高の購入機会を逃しがちです。
次の点を考慮してください。
- 20年間で最高の取引日を10日だけ逃すと、長期的なリターンが大幅に減少する可能性があります。
- 弱気相場の後には力強い回復が続くことが多く、最大の利益はリバウンドの早い段階で起こる傾向があります。
このアプローチを念頭に置き、体系的に整理されたスクリーニング・プロセスを用いて、良好なファンダメンタルズ、割高でないバリュエーション、機関投資家からの財務的支援のバランスが取れた成長株を特定しました。
スクリーナーの基準:回復力のあるグロース株の特定
現在の市場状況を踏まえ、以下の点に着目しました。
- 売上と利益の成長
- 収益成長率(5年間の年平均成長率(CAGR)>10%)で絞り込み、一貫した成長拡大の実績のある企業を選択します。
- EPS成長率(5年間の年平均成長率(CAGR)>15%)は、損益計算書の一番上に記載のある売上だけを見るのではなく、利益を伸ばす企業に焦点を当てます。
- 財務の安定性とキャッシュフロー
- フリーキャッシュフローの利回り>2%で、実際の現金で利益を生み出している企業を特定します。現金を生み出す企業は、将来の成長に再投資し、不況を乗り切ることができます。
- 純負債/EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)<3は、過度にレバレッジをかけた企業を除外するためのもので、これは景気後退を乗り切るための鍵となります。
- バリュエーションと機関投資家の信頼感
- PEGレシオ(株価予想収益成長率)<2.5で、成長期待が過度に価格に織り込まれていない割高でない銘柄を込みます。
- 機関投資家による保有比率>50%で、機関投資家からの強力な財務的支援を受けている株式を選好します。多額の資金を投資しているということは、しばしば投資家のその銘柄に対する自信を表します。
- 潜在的なリバウンドが考えられる銘柄
- 52週の高値 <-15%で、価格調整が入ったものの依然として良好なファンダメンタルズを持つ銘柄を捉えています。
これらのフィルターを使用して、以下の銘柄を特定しました。