驚くほどの株価の乖離は短期的な投資機会だ

驚くほどの株価の乖離は短期的な投資機会だ

株式 4 minutes to read
Peter Garnry

Chief Investment Strategist

サマリー:  オミクロンに関する楽観論が広がったことや正常化への道が早まったことを受けて、旅行関連株が急上昇しています。また、投資家がポートフォリオにインフレ対策を取り入れていることから、さらに幅広いコモディティ・セクターが引き続き選好されています。対照的に、「次世代医薬品」、「Eコマース」等のテーマや投機的なバブル株は急落に見舞われています。わずか2日間の取引日で、旅行関連株バスケットとバブル株バスケットとの乖離は驚くべきことに9.1ポイントにも達しています。バブル株がさらに下落する可能性があるかについては様々な議論がありますが、急落局面は間もなく「底値買い」局面に変わると我々は考えています。というのも、この市場分野には成長のサプライズがあるという考えから、決算発表シーズンに入れば株式市場でバブル株への期待が高まるためです。


投機的な成長株は2021年の下降トレンドを継続

今年に入ってからわずか丸2日間の取引で、オミクロンの好材料を追い風とする旅行関連株と、最近の米国10年債利回りの上昇が足かせとなっているバブル株とのパフォーマンスの乖離は、既に9.1ポイントに達しています。投資家は、投機的な成長株から、超大型株、金融株、エネルギー株、鉱業株などのインフレヘッジ銘柄へのローテーションを進めています。

グリーントランスフォーメンションが進む間に、様々なエネルギーや金属の物質的な制約によりインフレ率が長期的に上昇していくため、ポートフォリオ内の物質関連株とオンライン関連株とのバランスが見直されることは当然だと思われます。しかし短期的には、多くのバブル株が、営業利益率を達成できるかどうかは別として、引き続き大幅な増収となれば、戦術的な売買機会が生じ、投資家の買い戻しが入ると考えられます。投機的なバブル株にとって今後数週間は厳しい状況になるかもしれませんが、決算発表シーズン前には、収益悪化の予想に反するサプライズ決算により株価が上昇するとの期待から、これらの株が買われるはずだというのが我々の考えです。

バブル株バスケット

NameMkt Cap (USD mn.)12M Fwd EPS12M Fwd EV/SalesDiff to PT (%)5yr return (%)YTD return (%)
Kuaishou Technology213,499-0.8516.295.5NA-6.2
Sea Ltd140,384-1.2617.3101.5NA-11.6
Airbnb Inc130,635-1.3128.114.0NA2.6
NIO Inc94,795-1.5918.089.8NA-0.3
Snowflake Inc84,570-0.8771.525.7NA-6.9
DoorDash Inc67,743-0.1917.671.9NA-8.7
Roku Inc59,111-0.2623.160.9NA-2.4
Bilibili Inc51,601-4.7618.2159.8NA-12.9
Teladoc Health Inc41,124-0.3020.372.3452.7-0.4
XPeng Inc37,228-2.4115.032.2NA-5.4
Affirm Holdings Inc34,499-0.8939.782.5NA-15.1
BeiGene Ltd34,490-9.7835.871.1699.2-9.1
Unity Software Inc34,299-0.3532.734.5NA-9.3
Plug Power Inc32,156-0.1868.175.52,152.0-0.3
Seagen Inc31,016-0.1115.923.3165.3-1.2
Cloudflare Inc28,050-0.0846.187.0NA-12.6
Splunk Inc27,486-0.2110.844.5106.20.1
MongoDB Inc25,201-0.9834.120.5NA-12.1
Exact Sciences Corp24,752-1.1413.360.7429.92.8
Gaotu Techedu Inc24,455-3.3411.8NANANA
Farfetch Ltd23,465-0.6610.349.1NA-1.1
DraftKings Inc23,186-1.1626.5118.3NA-3.1
GDS Holdings Ltd20,998-0.1518.695.9389.5-13.0
10X Genomics Inc20,458-0.3238.941.5NA-5.1
Argenx SE19,397-10.72105.27.71,718.1-3.9
Alnylam Pharmaceuticals Inc19,214-4.7721.025.3291.3-2.6
Ping An Healthcare and Technology Co Ltd18,942-0.9111.6115.1NA-10.2
Innovent Biologics Inc18,305-0.6124.0140.5NA-17.2
Guardant Health Inc16,826-1.5040.563.9NA-2.0
Zai Lab Ltd15,781-2.5287.5163.3NA-12.1
Kingsoft Cloud Holdings Ltd15,710-2.569.6145.9NA-12.4
Yatsen Holding Ltd15,665-1.1710.766.0NA-7.9
Oak Street Health Inc15,461-0.4611.167.9NA-3.2
C3.ai Inc15,370-0.7969.668.4NA-1.4
Bill.com Holdings Inc15,319-0.1957.465.3NA-12.3
Canopy Growth Corp15,279-0.9024.234.116.73.7
Appian Corp15,229-0.4043.357.5NA1.1
Avalara Inc14,770-0.1621.370.7NA-5.9
Elastic NV14,429-0.4420.650.1NA-5.5
Wolfspeed Inc14,240-0.5921.3NANANA
Aggregate / median1,565,14121.367.0409.7-5.5
出所: Bloomberg and Saxo Group

市場は大きく変化する自動車業界に期待

昨日のエクイティノートの続きとして、本日のポッドキャストで電気自動車の戦いについてコメントを追加しました。時間の都合上、我々の考えを全て取り上げることはできなかったため、こちらのTwitterスレッドで我々の見解をさらに詳しく説明しています。いずれにしても、今年の電気自動車の戦いは最も注目すべき動向の1つであり、自動車業界の今後を決定づける瞬間だと言えます。今年は多大な市場価値がリスクにさらされています。Twitterのスレッドでは、プラットフォームとしての自動車について少し詳しく説明し損ねてしまいました。Teslaに対する強気派が想定しているのは、1)同社が世界市場で25%のシェアを獲得すること、2)自動車が車載ソフトウェアサービスを販売できる主要なデジタルプラットフォームになることです。このようなシナリオでは、Teslaは極めて高い利益をあげる可能性がありますが、その終着点までの道筋にリスクがないわけではありません。VolkswagenTeslaに対抗しようと生産量を増やすことに苦戦している様子ですが、電気自動車の戦いに全力で参入するその他の大手自動車メーカー(FordGM、トヨタなど)の動向はまだ分かっていません。


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