口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。
最短3分で入力完了!
マーケット・ストラテジスト(Saxo Group)
サマリー: 原油相場は高騰を続けてきましたが、最近、弱気相場に転じて6月から20%下落し、現在、1バレル100ドル近辺で取引されています。しかし、これだけの急落にも関わらず、世界中の石油関連株は、収益拡大の期待から今年最も高いパフォーマンスを示しています。ちょうど2年前、新型コロナウイルスや価格競争の激化から、原油価格は1バレル20ドル台まで下落しました。本稿では、原油投資家がいま知っておくべき2つのこと、そして原油と石油関連株は買い時なのかという疑問について考察します。
原油(OILUKSEP22 & OILUSAUG22)は、世界最大の原油輸入国であり消費国である中国が、新型コロナウイルスに関する行動制限と大規模検査を強化したことから、3月の140ドルから現在の水準まで下落しました。最近では、鉄鋼業が盛んな地域のひとつで、わずか1件の陽性者が確認されたために3日間のロックダウン、ギャンブルの中心地マカオでは1週間もロックダウンが実施されました。基本的に、新型コロナウイルス陽性者が存在する限りゼロコロナ政策は維持され、原油価格には引き続き下方圧力が加わります。一方、景気後退懸念も原油の高値からの下落要因となりました。しかしいま当社は、原油への売り圧力が低下している兆しがみられると考えています。サクソのコモディティ戦略責任者、オール・ハンセンの最新レポートをご覧ください。
何年も前から、世界は「石油産出量の頂点」を迎えようとしており、グリーンエネルギーが優先されて石油の需要はまもなく低下すると言われてきました。
それはある意味正しいが、世界でのエネルギー転換は着実に進んでいるとは言えず、化石燃料に対する需要は当分の間、より急速に増加すると思われます。また、石油は私たちの日常生活のほぼ全てに組み込まれており、少なくとも今後10年間はその状態が続くということも念頭に置く必要があるでしょう。
石油は、エネルギーとしての需要以外にも多くの用途があります。石油を原料とする石油化学製品は、社会で使用される重要な素材です。石油化学製品は、医療、プラスチック、食品保存料、化粧品、ガラス、カーペット、肥料などさまざまな用途で使用されています。ゴルフバッグ、便座、シャンプー、クレヨン、サッカーボール、ろうそく、カメラ、テントなど、石油化学製品が用いられている製品は多岐にわたります。また、自転車や電気自動車など、環境負荷に配慮した輸送手段にも、石油化学製品のプラスチック製部品が使用されています。
そう、再生可能エネルギーへのシフトが進む一方で、石油株は依然として確実な長期投資対象なのです。問題はいつ投資するのが適切かということです。
2020年、そして供給過剰に陥った2014-15年に見られたように、原油市場は非常に変動性が高く、予期せぬ上昇と急激な下落を繰り返します。ロシアのウクライナ侵攻も原油価格高騰のきっかけとなりましたが、取引制裁が突然緩和されたり、世界的な景気後退が起こったりすれば、原油価格はさらに下落し、株価は急落する可能性があります。