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Chief Investment Strategist
サマリー: 10日、Nasdaq 100先物は引き続き下落し、米国のテクノロジー株と成長株はさらに大きな痛手を受けています。金利見通しは変わりつつあり、多くの投資家がエネルギー価格の上昇によるインフレ率の上昇を織り込み始めています。世界のエネルギーセクターへの投資が過去7年以上にわたり低水準にとどまっていることや、グリーントランスフォーメーションが進むことを背景に、エネルギー価格は今後も高止まりする見込みです。Nasdaq 100は現在、200日移動平均に比べて2020年4月以来最低の水準にあり、テクノロジーセクターは重要な転換点を迎えています。
「グリーンフレーション」は痛みを伴う新しい言葉
今年のエクイティノートでたびたび指摘してきた通り、金利感応度のテーマが本格的に始動し、米国のテクノロジー株の株価が押し下げられています。中でも、最も投機的な銘柄が大きな打撃を受けています。当社のバブル株バスケットは7日の終値で年初来11.4%の下落となりました。また、この分野の最も流動性の高い売買手段であり、このバスケットとの相関が高いArk Innovation ETFは、年初来10.8%の下落となり、10日のプレマーケットでも下落しています。
2021年中の大半にわたりインフレは一過性だとの見方が優勢でしたが、FRBがこの表現の撤回を決定したこと、さらに最近のFOMC議事録でインフレに対する神経質な見方が示されたことは、市場にとって驚きでした。金利見通しは変わりつつあります。インフレは一過性ではないという昨年初めからの当社の主張に、多くの市場参加者が賛同し始めています。あるいは、ベース効果によるものですが、インフレ水準は過去25年間の実績よりも高水準で安定すると見られます。その根底にある最大の原動力は、現在のエネルギー危機の一因となっているグリーントランスフォーメーションです。BloombergのJavier Blas氏が最近「Greenflation Is Very Real and, Sorry, It's Not Transitory(グリーンフレーションは極めて現実的であり、残念ながら一過性ではない)」という素晴らしい記事で書いているように、ECBのIsabel Schnabel氏さえも、グリーントランスフォーメーションがエネルギーの混乱と値上がりの原因になると認識しています。こうしたことは、これまで長らく経験してこなかったような方法で、今後、家庭と企業に波及していくでしょう。
グリーントランスフォーメーションに加えて、a)現時点で再生可能エネルギーの拡大余地がエネルギー需要を満たすのに十分でないこと、b)過去7年間にわたり世界のエネルギーセクターへの投資が極めて低水準にあることを考え合わせると、エネルギー価格は持続的に上昇する見通しです。株式市場で最終的にこの現実が認識されれば、物価上昇だけでなく、エネルギーや金属、更なる労働力悪化などの投入コストの上昇による営業利益率の低下にも、株価が反応せざるを得なくなる可能性があります。
Nasdaq 100は2020年4月以来の低水準
世界の主要テクノロジー指数はNasdaq 100です。10日、同指数の先物は1.1%下落し、200日間移動平均のわずか3.1%超の水準まで落ち込んでいます。Nasdaq 100先物は、パンデミック懸念をきっかけとした急落の後、2020年4月初めに反発して以来、この平均を下回ったことはありません。現在は200日間移動平均まで3.1%の水準ですが、これは2020年4月以来最低であり、重要な転換点を迎えています。現在の水準が決算期前の買いのチャンスと投資家に受け止められるか、あるいは自己誘導的な負のスパイラルに陥り同指数がさらに下落するかのどちらかです。
先週述べた通り、決算シーズン前には、他の株式市場分野が供給の制約により伸び悩む中で、成長企業の多くは引き続き急速な高成長率を示すとの期待から、それらの成長株が買われる可能性があると我々は考えています。物質的かつ資本集約的な業種と比べて遥かに高いデジタル企業の成長率と金利上昇(将来のキャッシュフローに対する割引率の上昇)とを照らし合わせて、投資家がバランスをとっていけば、金利上昇の中でも、世界的な供給の制約を背景に成長株への逆風が短期的には多少和らぐ可能性があります。