米国のインフレ率低下と中国のゼロコロナ政策緩和を受け、Eコマース関連銘柄は顕著な上昇を見せた1週間に
先週は、米国のインフレ率が予想を下回り、また中国がゼロコロナ政策の緩和を打ち出したことを受けて、さまざまな資産クラスで相場が大きく動いた歴史的な週となりました。米国のインフレ率の低下は長期金利を押し下げ、FRBのターミナルレート予想も引き下げられ、「金利ピーク」説に拍車がかかりました。
「今日はインフレを祝い、明日再考しよう」と題する株式レポートで述べましたように、米国のサービスセクターのインフレ圧力は依然として非常に高く、5カ月連続で、非常に高水準で推移しています。いずれにせよ、市場は足元の状況を無視し、「金利ピーク」説と、中国がゼロコロナ政策緩和に成功するというシナリオに全てを賭けています。
これらの事象を背景に、先週、最も大きく上昇したのがEコマースバスケットで、週次で19.4%の上昇となり、次に高いパフォーマンスを上げたサイバーセキュリティバスケットの13.6%の上昇を大きく上回ったのです。もっとも、先週のパフォーマンスは目を見張るものがありましたが、Eコマースバスケットは依然として過去1年間のパフォーマンスが最も低く、そのパフォーマンスをMSCIワールド・インデックス(最後のチャート参照)と比較すると、業界全体がバブル状態となった後、パンデミック前の状態まで縮小してしまいました。中国のEコマース株にとっても好調な週となりましたが、先週が特別な週となったわけではありませんでした。真のシグナルは、バスケットの上位半分の株式パフォーマンスの中央値が11.5%であったのに対し、下位半分の株式パフォーマンスの中央値は25.4%であり、相対的に低品質の企業がアウトパフォームしたことを示唆したことでした。この行動は、個人投資家のフローが前週の限界価格設定において支配的であったことを示しています。