FX
サマリー: 金曜日(10月21日)のドル円は、150.00円を超える上昇の後、明らかな介入により数円下落し、大きな変動が見られました。米国債の利回りも金曜日に反転し、明るいセンチメントの中、ドルは対円で数円下落しました。しかし、前回の円買い介入と同様、その効果は非常に短期的で、米ドルはオーバーナイトでさらに若干下落した後、今朝再びすでに急速に反発しています。
FXトレーディングの焦点:円買い介入の効果は短期的
金曜日(10月21日)には、米国債利回りがさらに上昇すると同時に、最初にドルが対円で150.00円を突破した段階では予想されていた介入が実施されませんでしたが、その後、ドルが対円で152.00円近くまで一段と上昇した後、明らかな介入が実施されました。米国債利回りが低下し、リスクセンチメントが急激に改善したため、ドル円の動きにつられて、ドルは円以外の通貨に対しても数段下落しました。オーバーナイトでは、二度目の介入と見られる動きがあり、ドル円が一時、146.00円以下まで下落しましたが、その後は149.00円を上回る水準(先週水曜日とほぼ同水準)まで反発しました。ドル円が145.00円を超えて上昇した際に実施された前回の介入と同様、介入の効果は非常に短期間しか持続しないようです。
他の通貨では、本日(10月24日)午後にはすでにリシ・スナク氏が次期英国首相に就任することが早々に決まりそうなことから、ポンドは上値を試しています。ここから、イングランド銀行と(おそらく)スナク政権は、クワーテング前財務相の「ミニ予算」後に見られたような相場暴落を回避するため、台本通り緊縮財政を進めると思われますが、だからといって、ポンドの大幅上昇を期待することはできないでしょう。厳しい財政政策は通常、為替にとってマイナスであり、英国経済の見通しを悪化させ、イングランド銀行は現在市場が予想しているほどには利回りを上げたがらないでしょう(その結果、中期的に為替の上値が重くなる可能性が高い)。市場は、イングランド銀行が来年5月の会合までに政策金利を5.00%まで引き上げると予想しています。英国の10月PMI(購買担当者景気指数)速報値は、製造業が9月の48.9に対して45.8、非製造業が9月の50.0に対して47.5と、いずれもマイナスサイドのサプライズとなりました。
チャート:ドル円
ドル円は一時的に146.00円を下回ったものの、既に先週半ばに取引されていた水準まで反発しています。ここから再び152.00円近辺に近づいた場合、市場は介入が再び実施されることを知っているため、レンジ内での動きとなることが予想されます。ただし、過去の経験から「学習した行動」として、介入の効果が得られるのはより高い水準、160.00円近辺である可能性も考えられます。日銀および財務省は、日本円の水準自体よりも、為替の「過度な変動」は容認出来ないと主張してきました。米国債利回り、例えばベンチマークである米国10年国債利回りが、重要な水準である4.00%を下回って低下した場合のみが、日本円を幾分サポートする要因となりうると考えられます。日銀は、前回の市場介入とは異なり、今回は介入を実施したかどうかについては明らかにせず、また日本の取引時間外に介入することもいとわない姿勢で臨んでおり、明らかに、円安を狙った海外の投機筋をターゲットとしていることが指摘されています。日銀は今週金曜日に金融政策決定会合を開催します。11月の会合でFRBがシフトダウン? WSJのFRB担当記者は、FRB筋の情報に精通し、最近のFRBからの情報収集に優れているとされていますが、今週土曜日発表の記事で、FRBは75ベーシスポイントの引き上げペースからシフトし始めるかもしれず、おそらく来週水曜日に開かれる11月2日の会合後にはすでにシフトしているだろう、と論じています。WSJのTimiraos氏は、ブレイナード副議長のように、12月に50bpの利上げを行い、最終的には来年初めのどこかで引き締めを一時停止して、急速な利上げの影響を評価するタイミングを設けることを示唆する慎重派もいるとしています。FF金利は今年3月末の0-0.25%から、11月2日の会合時には3.75-4.00%に達すると予想されています。しかし、FRBメンバーのなかには様々な意見があり、中には現在の引き締めペースを継続し、インフレが現在の水準付近で推移する限り政策変更のシグナルを出さないという意見もあることを同氏は指摘しています。彼が指摘するように、インフレ率が許容水準をはるかに超えているにも関わらず、引き締めの減速を示唆することは難しいと思われます。実際、FRBが任務完了を宣言できるほど、12月の会合までにデータが大きく変化することはないでしょう。私は、QTを継続すれば、米国債市場に、流動性供給を必要とするような許容不可能な機能不全が生じうるため、FRBの「政策修正」があるのではないかと依然として考えています。先週は、もう少しでその状況になりそうに思われましたが、実現しませんでした。
米ドル/オフショア人民元の動きも注目されます。週末に行われた党大会で、新指導部を習近平派で固め、同氏と近くない人物が外れるといった新体制に対し、市場は複雑な反応を示しています。ハンセン指数はオーバーナイトで6%以上下落し、最近の下落幅をさらに拡大させました。人民元も大幅に下落し、対ドルで1%下落、米ドル/オフショア人民元はオフショア人民元の誕生以来、米ドル/オンショア人民元は2008年初頭以来の最高値を付けました。
表:G10諸国通貨とオフショア人民元(CNH) - トレンドの推移と強弱
9月後半に見られたような異常なドラマがないとしても、ポンドのパフォーマンスは広範にわたって低下していくと見ています。その他の通貨では、オフショア人民元安ですが、中国が、人民元を守るためにどの程度強い動きを見せるか。一方、オフショア人民元の影響から豪ドルが引き続き軟調に推移することには特に驚きはない印象です。表:FXボード - 通貨ペアのトレンドスコアボード
金曜日(10月21月)の豪ドル/米ドルの攻防では、下降トレンドを確認した後、大幅な反転が見られました。その他、ユーロ/米ドルが上値を試そうとする動きはまだ結論が出ておらず、トライアングルコンソリデーションを形成しようとしています。英ポンド/米ドルにも同様の動きが見られます。今後の予定
• 12:30 – 米国9月シカゴ連銀全米活動指数
• 13:45 – 米国10月製造業・非製造業景況指数(速報値)