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チーフ・インベストメント・ストラテジスト
サマリー: 中国は、日本、韓国、米国、英国などへの団体旅行の制限を解除しました。パンデミック以前、訪日観光客の3分の1を中国が占めていたため、中国の団体旅行復活は日本への観光需要を押し上げるでしょう。また、中国人観光客は旅行中に多額の買い物をする傾向にあり、現在の円安環境は観光客の需要を後押しすることになるでしょう。
先週、中国観光省は78カ国への団体旅行制限の即時解除を発表しました。そのリストには、オーストラリア、ドイツ、イギリス、アメリカとともに、中国人旅行者に長く愛されてきた日本と韓国が含まれていました。中国からの個人旅行は、フライトの便数や料金の高さなどの制限を受けながらも可能になっていますが、団体旅行はパンデミック規制の一環として2020年1月から禁止されたままでした。
日本はパンデミック以前、月間約300万人のインバウンド観光客を受け入れていました。これらの観光客の大部分は、中国からの観光客でした。ほとんどの国がパンデミックの規制を緩和したため、日本への観光客は2022年に回復し始めましたが、中国人観光客は依然としてパンデミック前の水準を下回っています。下のグラフのとおり、2019年の中国人観光客のうち、2023年に日本に戻ってきたのはわずか3%です。
航空会社は現在、需要の増加に対応するため、中国-日本間の路線を着実に増やしています。また、現在の円安は中国の団体旅行客の日本旅行への関心をさらに高めることになるでしょう。航空会社、旅行会社、レジャー施設は、中国人観光客の増加、特に10月1日から6日までの大型連休(国慶節)中に恩恵を受ける可能性があります。中国人観光客の1人当たりの買い物消費額は2019年に10万円を突破しており、日本の小売・消費関連株も中国人観光客の回帰で話題となるでしょう。
日本における観光および小売の大型銘柄を以下にリストアップしております。このリストには、ユニクロを所有するファーストリテイリングや、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドが含まれています。ANAやJAL等の航空会社、JR東海やJR東日本のような鉄道会社もリストアップされています。
しかし、ここ最近の中国の不動産セクターに端を発する景気減速は、中国全体での消費マインド低下を誘引する可能性があることに注意が必要です。これは、中国人観光客の数がパンデミック前の水準に満たない可能性があることを意味します。また、人手不足により日本と中国を結ぶ航空便数は引き続き制限されているため、航空運賃は高止まりするでしょう。日銀の金融政策がタカ派に傾むけば円高が進み、観光客の消費を圧迫する可能性もリスクといえます。