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チーフ・インベストメント・ストラテジスト
サマリー: 少なくとも、最も積極的な気候変動対応政策を先駆けて実施しようとしている国のひとつが、2025年から食肉生産への課税に動きます。
世界で栽培される穀物の3分の1以上が飼料として使用され、世界の耕地の約80%が家畜の放牧に利用されており、その一部はかつて森林や熱帯雨林であった地域から取得されています。そのため、生物多様性が著しく失われるとともに、土壌侵食や、動物の排泄物と飼料用作物への過剰な肥料使用による水資源の汚染など、地域環境にも影響を与えています。地球規模で見ると、食料生産は地球温暖化防止のための全排出量の3分の1を占め、食肉用の動物の使用は植物性食品を生産する場合の2倍の汚染をもたらすと言われています。
2022年のエネルギーショックでは、各国が気候変動への取り組みを保留し、優先順位が突然、停電を避け、来るべき冬を暖かく過ごすことへと変わるだろうと多くの人が考えていました。しかし、特にヨーロッパでは、今回のエネルギーショックに直面しても、気候変動問題への優先順位が高まっており、過小評価することはできません。そして、気候変動とその関連政策は、エネルギーだけでなく、食料についても同様です。2050年までに排出量をネットゼロにするという目標を達成するためには、現在のOECD諸国の肉の消費平均が1人当たり年間約70kgであるのに対し、24kgまで減らさなければならないと、ある報告書では推定しています。
食品という切り口で気候変動を考える可能性が最も高いのは、法的拘束力のあるネット・ゼロ・エミッションの目標を掲げている国でしょう。スウェーデンは2045年までにカーボンニュートラルを達成することを約束しており、英国、フランス、デンマークなどの国々は2050年の達成を目指しています。しかし、アメとムチによるアプローチはめったに成功しません。2023年、少なくともある国は、最も積極的な気候政策を掲げて、2025年から段階的に食肉に重税を課すことを決定し、他国にリードすることを目指しています。さらに、2030年までに生きた動物の肉の国内生産を全面的に禁止する計画です。環境と気候を守るために、改良された植物由来の人工肉や、さらに人間味がありかつ排出量の少ない実験室での肉生産技術によって、食欲を満たさなければならないと考えているのです。
市場へのインパクト: 米国のタイソン・フーズのように従来からESGの取り組みにやや消極的な企業は、人工肉の生産も視野に入れたサスティナブルな事業への投資を始めるまで、大幅な損失に見舞われることでしょう。