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最高投資責任者(CIO, Saxo Bank A/S)
サマリー: 黒字国と赤字国の間で経常収支の乖離が継続・悪化しているのは、通貨管理の結果であり、長期的に持続する性質のものではありません。米国の債務状況が制御不能になったため、新たな世界貿易の取引条件について黒字国と集団で交渉することで赤字削減のために協力すべく、赤字国6か国が「ローマクラブ」を結成しました。世界の準備通貨が先行き不透明となっている環境や、赤字国で経常収支が持続不能となっている状況では、金、銀、暗号資産が非常に好調になる見込みです。
「ローマクラブ」とは、経常赤字を削減するために赤字幅の大きい国々が創設した集まりです。理論上、開放的な自由貿易経済は通貨調整によって管理・自主規制されており、赤字国は競争力をリセットするために自国通貨を切り下げます。実際には、(ほとんどすべてとは言わないまでも)多くの国が自国通貨を管理し、結果として恒常的な赤字/黒字の状態を生み出しています。世界の通貨体制は半ば固定化されており、これは自由貿易の概念全体を損なうものです。また、一部の国で加速が続く赤字負担を軽減する奇跡的な道筋を、WTOが見つけられる見込みはありません。このため、世界の貿易・金融システムにおいて悪化する一方の乖離を、協力して是正することを目指す「ローマクラブ」が結成されます。
2024年、世界的な景気後退が深刻になり、持続的な高インフレのため金利引き下げの手段が制限される中、世界最大クラスの赤字国がローマに集まり、黒字国が黒字拡大を続ける能力を構造的に縮小させるための好条件を提示します。その主張は、黒字国の段階的な平価切り上げで赤字をリセットすれば、世界的なリセットが可能になり、より平等で安定した経済モデルを構築できるというものです。「ローマクラブ」の創設国は、米国、英国、インド、ブラジル、カナダ、フランスの6か国です。主要国間の経常収支の乖離の調整は、中国、ドイツ、ノルウェー、日本、オランダ、シンガポールといった最上位の黒字国にとって痛みを伴うものとなるでしょう。
その主なきっかけとなったのは、米国の債務が2022年に制御不能になったことです。主要債権国が参加するパリクラブが1956年に設立された当時、米国の負債総額は2,730億ドルでしたが、現在においては負債残高が33兆米ドルと、実に14,000%も増加しています。
市場へのインパクト: 世界の準備通貨が制御不能に陥っているという事実は、不換紙幣による管理通貨制度への信頼を低下させる一方、金、銀、暗号資産にとって強い追い風となります。