例えば保有している株式のひとつが、市場が終了したのちに今期の収益を発表する予定であるとしましょう。この株式の会社の長期的な見通しには自信があり、あなたの投資ポートフォリオの一部として保有し続けたいと思っています。しかしながら、予期しないニュースで短期的に株価が下がるのではないかと心配している場合、どうすべきでしょうか?
- 必要な時にリスクヘッジし、賭けはしない
決算発表、中央銀行の政策決定、経済指標の発表など、投資家は様々なニュースに備える必要があります。上述のシナリオでは、収益の前に持ち株を不要に売却してしまう人や、リスクを考えずただ単に保有し続ける人もいるでしょう。なんとかなるだろう、あるいは問題ないだろうという「希望的観測」は、プロのトレーダーが最も警戒するものです。リスクは、きちんと向き合って対処する必要があるのです。
このような場合、プロのトレーダーが行うのが、ヘッジ取引です。そして、これはあなたにもできることなのです。
- ヘッジ取引とは?
ヘッジと聞くと、ヘッジファンドを連想し、一般的な投資家には縁のないものだと感じるかもしれませんが、そうではありません。ヘッジ取引とはリスクを回避する取引のことを言います。これは、保有する株式や投資ポートフォリオを不測の事態から守る、保険のような意味合いがあります。そしてこのような保険を、CFDの空売りを活用することで付け加えることができるのです。
ヘッジ取引とは、保有する投資資産の価格下落リスクを守る取引のことを言います。例えば、長期投資目的で保有する株式を売却することなく、同株式のCFDを空売りすることで短期的な価格下落リスクから守るような取引が一般的な例となります。このようなヘッジ取引を行うと、予想が難しく価格変動の大きい決算発表などで、思わず株式の価格が下落した場合、保有する株式の価値は下がる半面、空売りしたCFDの価値は上昇するため、損失を相殺することができます。そして、決算発表のイベント通過後は、CFDを買い戻し、大きな損を出すことなく引き続き長期目的で株式を保有し続けることが可能となるのです。
リスクヘッジは保険の一形態のように考えてください。経済指数の発表、地政学的な政治の進展、決算発表など、不安定な期間中の予期しないイベントによる影響を減らすことができます。
- 下落リスクを収益機会に
さて、冒頭のシナリオに戻りましょう。市場の終わりが近づき、いよいよ保有する株式の会社が決算発表を行おうとしています。この時、保有する株式を売ってしまう、あるいは運を天に任せて何もしないこともできますが、同株式のCFDを空売りして、不測の事態に備えることもできます。市場が不安定なとき、あるいは特に予想のつかない決算発表などのイベントが控えているときには、投資資産のリスク回避を行うことができるわけです。
もし、あなたがダウやナスダックなどの株式指数に含まれている複数の銘柄を保有しているおり、市場に不安を感じるあるいは、重要な経済指標が発表されて市場が大きく動くことが予想される場合は、それぞれの株式のCFDを空売りするのではなく、対象となる株式指数のCFDを空売りすることで、投資資産全体のリスクヘッジを行うこともできます。
投資家あるいはトレーダーとして、リスクを完全に消去することはできませんが、CFDを用いたリスクヘッジ戦略を活用することで、セーフティネットを作り、リスク管理をしたうえで収益機会を最大化することができるのです。