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アナリスト/アセンダント代表
サマリー: 今週はNY原油(OILUS)を取り上げました。週末にサウジアラビアを中心にOPECプラスによるサプライズの減産発表があり、週明けのNY原油はギャップアップしての大幅高となりました。しかし、今回の減産で原油がこのまま上がるとは考えていません。その理由を需給とテクニカルな観点から説明をしています。
今週はNY原油(OILUS)を見て行きましょう。
週末にサウジアラビアが突然50万バレルの減産を発表し、OPECプラスと合わせて116万バレル減産というサプライズがありました。このニュースを受け、週明けのNY原油はギャップアップして始まり、4日には81.79ドルと1月27日以来の高値をつけました。
原油価格の上昇によりインフレが高止まりする懸念が先行したものの、その後は予想以上の米国求人件数の減少、さらにADP全国雇用者数も予想よりも弱かったことから、10年債利回りは3.268%まで低下し、FF先物も次回5月FOMCで現状維持を予想する向きが半数を超えてきました。
金利低下は米国の雇用情勢から景気減速が進んでいるという判断ですが、景気減速は米国だけでなく他の主要国においても懸念されていることであり、そうであるとすると原油の需要も減少し今回の減産は思いのほか影響が出ない可能性があると言えます。
テクニカルにも上値が重たい状況が続いていますので、日足チャートをご覧ください。
昨年12月1日高値にレジスタンスラインを引くと今週高値にぶつかりますし、水平線では83.33ドルとやや余裕はあるものの12月以降の高値は80~82ドル水準での反落を繰り返しています。11月高値と3月安値の61.8%戻しも82.43と同水準を示していることから、今回も82ドルを超えない可能性が高いと見ることもできそうです。
また最大の産油量を誇る米国はOPECプラスに属していませんし、インフレにつながるような動きがあれば増産で対応する可能性は高いと考えられます。現在の全世界の産油量は日量約1億バレル程度ですから、今回発表された減産量は1%程度にしかなりません。12月に200万バレルの減産を行った後も原油価格は上値が重たい動きを続けたことも、需給的にそれほどタイトでは無いということを示していると言えます。
今後の動き次第ではギャップを埋める動きが出て来てもおかしくないでしょう。個人的には今回の減産ニュースによる原油高の動きはやや過剰な反応ではないかと見ています。