投資において「タイミング」ではなく「時間」が最大の味方である3つの理由

Diversification
Saxo Be Invested
Saxo

投資を始める際の一般的な障害は、人々が市場に参入するタイミングを重視しすぎることです。しかしデータによると、市場のタイミングを図ろうとするよりも、長期間投資することの方が良いことを示しています。以下がその理由となる3つの例です。

1. 複利の力

複利リターンは長期投資の基盤であり、その価値はしばしば過小評価されています。投資すれば、その収益は時間の経過とともに収益を生み出します。この雪だるま式効果は、投資が中断されずに成長を続ける場合に最も強力です。例えば、1980年にMSCI USA トータルリターン指数に10,000米ドルを投資した場合、全ての配当が再投資されたと仮定すると、2024年には約1,050,000米ドルの価値になります。これは年率11.1%のリターンです。したがって、投資期間が長いのであれば、市場の底値や天井を選ぼうとしたり、市場の「タイミング」を図ったりするよりも、貯蓄を市場で運用させる方が良いのです。

「最初は大したことないように見えるかもしれませんが、時間の経過とともに複利効果は重要になります。ですので、これは強調しすぎることはありませんが、投資に関して最も重要なことは始めることです。どのみち、私たちの誰も市場のタイミングを図ることはできません」と、チーフ投資ストラテジストのピーター・ガンリューは述べています。

2. 市場のタイミングを図ることのリスク

時間の経過とともに複利が有利に働くことに加えて、市場での時間が市場参入のタイミングを図る試みを上回る理由は他にもいくつかあります。第一の最も明白な理由は、市場のタイミングを図ることが非常に難しいということです。プロの投資家でさえそれができるとは思っていないので、自分にはできると信じるにはある程度の確信が必要です。

「市場のタイミングを図るという考えに関連して非常に重要な点は、良い日を数日逃しただけでも、時間とともにリターンが指数関数的に悪化する可能性があるということです」とガンリューは言います。また、市場のタイミングを図ることには、市場の最悪の日を避けようとする代わりに、最良の日を逃してしまうリスクがあり、それが貯蓄にとってより大きな不利益となる可能性があります。1991年から2024年半ばまでのS&P 500の以下のデータを考えてみてください:

投資シナリオ年率 リターン (%)
常に投資を継続11.0%
最良の10日を逃した場合8.5%
最良の20日を逃した場合6.8%
最良の30日を逃した場合5.3%
最良の40日を逃した場合4.0%

上記のデータは、1991年から2024年までS&P 500に常に投資を続けていた場合、投資に対して年率11%のリターンを得られたことを示しています。しかし、最良の30日間だけを逃しただけで、リターン全体が半減してしまうのです。

「もちろん私たち全員が市場の最悪の日を避けたいと思っていますが、最良の日を逃すこともまた非常にリスクが高く、適切なタイミングで市場に出入りすることはほぼ不可能に思えます。そのため、長期の時間軸がある限り、投資を続けることが最も顕著なアプローチのように思えます」とガンリューは述べています。

3.時間は偉大な平準化装置

最良の日を逃すことは、もちろん奇妙な構造です。なぜなら、ほとんどの上昇相場、つまりリバウンドは、市場が大幅に売られた時に最も急激だからです。したがって、最良の日を逃しているということは、おそらく最悪の日も逃していることを意味します。

投資した時間が投資のタイミングよりも重要である理由を理解するもう一つの方法は、過去の特定の年からのリターンを、その年の最高値(最悪のエントリー)または最安値(最良のエントリー)で投資した場合と比較することです。以下の表は、最良および最悪のエントリーに基づいて、特定の開始年から今日(2024年半ば)までの米国株式の年率リターンを示しています。

最良のエントリー最悪のエントリー
199410.2%9.9%
200310.8%9.7%
200814.0%10.4%
201313.5%12.4%
201816.8%13.1%

ここからいくつかの結論を導き出すことができます。その一つは、ほとんどの通常の年において、完璧なタイミングと最悪の可能なタイミングで参入する不運との差は、年率でわずか1%程度に過ぎないということです。もう一つの結論は、大きな変動や下落のある年の場合、タイミングによって違いを生む可能性はありますが、市場のタイミングを図ることは極めて困難、あるいは不可能だということです。

はるかに重要な教訓は、時間軸を30年に延ばすと、完璧なタイミングとランダムな不運との差はごくわずかになるということです。我々のケースでは、わずか年率0.3%です(1994年、つまり30年前の最良と最悪のエントリーの差から明らかなように)。そして、定期的な収入から長年にわたって多くのエントリーポイントでポートフォリオを構築する通常のケースのほぼ全てにおいて、タイミングに関連するリスクはさらに軽減されます。

一般的に、その差は非常に小さいため、投資家として投資のタイミングを過度に複雑に考える必要はありません。低コストのパッシブ型株式インデックスファンドを見つけ、貯蓄を一貫して投資する計画を立てる方が良いです。「運良く市場の底値に当たらない限り、タイミングはほとんど意味がありません。なぜなら、スタートを先延ばしし、起こらないかもしれないイベントを待ち、その間にリターンを逃してしまうからです。そのため、自分に合った投資先を見つけ – できれば低コストのもの – とにかくやってみることです」とガンリューは述べています。




最新のレポート


Diversification

分散投資の魅力


口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
第一種金融取引業、第二種金融商品取引業
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。