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Chief Investment Strategist
サマリー: Credit Suisseの現状は、数多くの誤った判断と、欧州の銀行セクターの構造的な低迷を物語っています。世界金融危機から14年経った今でも、欧州の銀行セクターは、景気サイクル全体で株主資本コストを上回る自己資本利益率をあげることに苦戦しています。金融セクターが多くの面で落ち込んでいる一方、エネルギーセクターは株式市場全体の中で適正規模へと急回復を遂げています。一例として、Exxon Mobilは年初来で株価が71%上昇し、時価総額で米国上場企業の第11位に入りました。
我々が欧州の銀行について強気の見方をとっていたのはいつのことか、ごくまれな戦術的な場合を除けば、記憶に残っていないほどです。欧州の銀行は構造的な低迷が続いています。その証拠に、Credit Suisseは6月8日に業績の下方修正を発表し、第2四半期決算が赤字になる可能性が高いとの見通しを示しました。Credit Suisseの投資銀行部門は、全ての事業ラインでの市場シェアの低下により、三期連続の赤字となる見込みです。同行はここ数年、ヘッジファンドArchegosの大損失や、サプライチェーンファイナンスパートナーのGreensill Capitalの経営破綻により打撃を受けてきました。業績悪化の理由として、地政学的な緊張から突然の金融政策の変更まで様々な要因が挙げられました。
Credit Suisseが2007年のピーク以降、株主価値を容赦なく破壊してきたことは揺るぎない事実です。1992年後半以降、トータルリターンがプラスになったことはなく、インフレ調整後で資本は急激に損なわれてきたのです。世界金融危機後の数年間、Credit Suisseは欧州の銀行セクター全体を上回る自己資本利益率(ROE)を達成していたこともありましたが、2011年以降は、同行の業績は業界全体と比べて悪化の一途をたどってきました。現在、12ヶ月先の予想ROEはわずか3.9%であり、株主資本コストを大きく下回っています。Credit Suisseの現状は、厳しい規制環境、低水準の経済成長、過剰な不良債権により、欧州の銀行が身動きがとれなくなっていることを表しています。構造的に、欧州の銀行について強気の見方をとることは難しいと言えます。
米国最大の石油・ガス会社であるExxon Mobilは、年初来で株価が71%上昇し、8日の終値で時価総額は4,400億ドルとなりました。これにより、同社株はS&P500の時価総額ランキングで11位に入り、S&P500におけるエネルギー株の下落分を一部取り戻しました。最近の株価上昇にもかかわらず、Exxon Mobilの12ヶ月間のフリーキャッシュフローイールドは9%(MSCI World Indexでは6%程度)となっています。
最近のエクイティノートで述べたように、エネルギー株は過去27年間で最も割安Kな水準にあります。S&P500全体に占めるエネルギー株の時価総額はわずか2.4%から5月には5.2%まで上昇しましたが、長期平均は7.5%です。エネルギー危機が続き、過去8年間の低投資の影響が残ると想定すれば、今後、エネルギー価格は高止まりし、エネルギー企業の投下資本利益率は高くなると見られます。我々は石油・ガス株について構造的に強気の見方を維持しています。