安全のための隠れ家:高配当の低ボラティリティ株のスクリーニング

安全のための隠れ家:高配当の低ボラティリティ株のスクリーニング

株式
チャル・チャナナ

チーフ・インベストメント・ストラテジスト

主なポイント:

  • ディフェンシブな投資戦略:不確実な時代に元本棄損リスクの減少と一貫したリターンを求める投資家は、高配当でボラティリティの低い株式への投資(エクスポージャー)から恩恵を受けるかもしれません。
  • この戦略の仕組み:低ボラティリティ株はポートフォリオ全体のリスクを軽減し、配当金を支払う株は市場の低迷期でも定期的な収入を提供します。この組み合わせにより、元本棄損リスクの減少と安定したキャッシュフローの両方を実現できるため、自己防衛的な投資家にとって魅力的な選択肢となります。
  • セクターの多様化:当社のスクリーナーは、生活必需品(PGKOPEP)、ヘルスケア(JNJABBV)、公益事業(SODUK)、通信(TVZ)など、いくつかのディフェンシブセクターで上記の特性を持つ銘柄のリストを表示しました。

米国の例外主義が衰退し、マグニフィセント7のリーダーシップが希薄化するリスクについては、別の記事で述べました。これが、グローバル市場でのリスクオフのセンチメントにつながり、安全資産への殺到につながっています。

市場が不安定になると、一部の投資家は現金に手を伸ばします。また、可能な限りスムーズな自己のポートフォリオの運用を求める人もいますが、そこで出番となるのが低ボラティリティ株です。これらの企業は、安定した収益、強固なバランスシート、そして市場全体と比較してよりうまく経済の混乱を乗り切った歴史を持つ企業です。

ここで、低ボラティリティで高配当の株が挙げられます。これらの株式はベータ値が低い傾向があり、市場全体と比べて株価の変動が劇的に少ない一方で、魅力的な配当利回りも提供しています。この組み合わせにより、元本棄損リスクが高ボラティリティ株に比べて少なくなり、安定したキャッシュフローを実現できるため、自己防衛的な投資家にとって優れた選択肢となります。

低ボラティリティが重要な理由

ボラティリティ(価格などの変動率)は、特に市場の低迷期には、投資家にとって最悪の敵となることがよくあります。低ボラティリティ株は、価格などの状態を維持する傾向があり、ポートフォリオ全体のリスクを軽減します。これらの銘柄は通常、公益事業、生活必需品、ヘルスケアなど、景気サイクルに関係なく需要が安定している業界で見られます。

株式のベータは、市場の動きに対する感応度を測定します。ベータが1を下回ると、市場全体に比べてボラティリティが低いことを示しており、これらの銘柄は弱気市場での下落が少なく、強気市場でも(ディフェンシブセクター以外の銘柄に比べて)程度は小さいものの上昇基調に参加する傾向があります。

高配当の力

配当金を支払う株式は、市場の低迷時でも投資家に定期的な収入を提供することで、より一層の安全性を提供します。強力で持続可能な配当を行っている企業は、多くの場合、健全なバランスシートや安定した収益を持ち、株主への価値還元についての責任ある公約をしています。利回りの高い株式は、価格下落を相殺し、時間の経過とともにトータルリターンを向上させるのに役立ちます。

低ボラティリティ、高配当株のスクリーニング

Bloombergで、以下の基準に基づいて、ディフェンシブ株式のスクリーナーを実施しました。

  1. 30日間の年率換算ボラティリティ:30%未満 - 比較的安定した株式パフォーマンスを確保
  2. 6か月ベータ値:0.5未満 - 低ボラティリティ株に焦点を当てています
  3. 12ヶ月配当利回り:2%超 - インカム創出銘柄を対象
  4. 現在の株価収益率:25倍未満 - 割高な銘柄を回避

このディフェンシブな特性に合う傑出した銘柄がいくつかあります。ここでは、セクター別にグループ化されたいくつかの注目すべき銘柄を示します。

生活必需品

  • Procter & Gamble (PG) – ベータ値が0.25、配当利回りが2.33%のこの生活必需品のリーダー企業の株式は、安定した収入と低いボラティリティを提供しています。
  • Coca-Cola (KO) – ベータ値が0.28、利回りが2.70%の有名企業で、一貫した世界的な需要からの恩恵を受けています。
  • PepsiCo (PEP) – ベータ値が0.26、利回りが2.83%の同社は、依然として回復力のある生活必需品の巨人企業です。
  • Mondelez International (MDLZ) – 低ベータ消費財株(ベータ値:0.21)で、配当利回りは2.15%で、安定したスナック食品需要の恩恵を受けています。
  • Altria Group (MO) - このタバコ大手は、8.74%の利回りと0.26のベータ値で、収入重視の投資家にアピールしています。

Healthcare & Pharmaceuticals

  • Johnson & Johnson (JNJ) – ベータ値が0.25、配当利回りが2.93%のヘルスケア大手で、多角的な健康事業を通じて安定性を提供しています。
  • AbbVie (ABBV)この製薬会社は、ベータ値が0.33で、配当利回りが4.10%と高いのが特徴で、ディフェンシブ銘柄の堅実な選択肢となっています。

公益事業

  • Southern Co. (SO) – ベータ値が0.21、配当利回りが4.15%と高い、法律等により規制された公益事業株で、予測可能なキャッシュフローを通じて安定性を提供します。
  • Duke Energy (DUK)ベータ値が0.26、利回りが4.20%の公益株で、安定したキャッシュフローとディフェンシブな特性を提供します。

電気通信

  • AT&T (T) – ベータ値が0.30、配当利回りが6.11%の通信大手で、通信サービスを通じて安定した収益源を提供しています。
  • Verizon Communications (VZ) – ベータ値が0.32で、配当利回りが6.45%と高い、もう1つの大手通信プロバイダーで、ディフェンシブ銘柄の堅実な選択肢となっています。
以下は、スクリーナーで絞り込まれた時価総額の上位20銘柄です。

26_CHCA_Low vol screener
出所:Bloomberg

安定性のためのポジショニング

リスク管理と収入のバランスを求める投資家にとって、低ボラティリティで高配当の株式をポートフォリオに組み入れることは、ポートフォリオの分散化に寄与する賢明な判断となるでしょう。これらの株式は、市場の低迷時に株価の暴落による損失を軽減する保護(ダウンサイド・プロテクション)を提供しながら、配当を通じてリターンを生み出します。

リスクのない投資はありませんが、これらの銘柄は、利回りを犠牲にすることなくボラティリティを最小限に抑えたいと考えている人々にとって説得力のある事例を示しています。安定したキャッシュフローと持続可能な配当を行う企業に注目することで、投資家は今日の不確実な市場環境において、より回復力のある(レジリエンスのある)ポートフォリオを構築することができます。

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