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Chief Investment Strategist
サマリー: 世界の企業収益はピーク時から10%減少しており、第2四半期の収益シーズンにはさらに弱含みとなると予想しています。エネルギー価格の上昇、賃金上昇、サプライチェーンの混乱、物流コストの高騰などにより、収益が依然として圧迫されているためです。今回の収益シーズンで当社が主に注目するのは、エネルギー価格の急速な上昇により引き続き大幅な収益を確保しているエネルギーセクターです。本日の株式レポートでは、マイクロン・テクノロジーの期待外れの見通しと、それがテクノロジーセクターにとって何を意味するのかに焦点を当てます。
収益見通しは実態を反映していない
第2四半期の収益シーズンは2週間後に始まりますが、米国株では1970年以来最悪の上半期となったことを受けて劇的な展開となりそうです。エネルギー価格の上昇、物流コストの上昇、賃金上昇、サプライチェーンの混乱による在庫水準の上昇、消費者信頼感の低下による景気減速などが主なテーマとなり、収益圧力が続くため、MSCIワールド・インデックス構成銘柄の収益は2021年第2四半期のピーク時から10.8%低下しており、2022年第2四半期も引き続き低下すると予想されます。EPSの期待値は依然として過大で、MSCIワールドの12ヶ月先EPS予測値は176.31ドルと、現在の収益実態より14%高くなっています。世界が景気後退に陥っても、商品価格と賃金によるインフレ圧力が持続しても、収益圧力が生じるため、企業がこの予想を達成できる可能性は低いと思われます。株価バリュエーションは低下していますが依然として長期平均を上回っており、財務状況と乖離していることも期待値が高すぎることを示しています。そのため、第2四半期の収益シーズンに向けて下振れリスクが高まっています。
通信サービス、情報技術、一般消費財、資本財、公益事業、不動産などのセクターが最も打撃を受けると予想される一方、素材、エネルギー、生活必需品、ヘルスケアなどのセクターは堅調な業績を上げると予想されます。金融セクターは、景気減速やクレジットスプレッド拡大などの要因が交錯してまちまちとなりそうですが、プラス面としては、金利上昇とそれに伴う預貸利ざやの拡大が予想されます。
エネルギーセクターは、今回の収益シーズンで当社が主に注目するセクターです。第2四半期の金融市場ではエネルギー価格と中国株の2つが最も投資機会のあった領域でした。世界のエネルギーセクターの収益は2015年の危機以前の水準まで回復しており、各国で同セクターに特別税が課されているにもかかわらず第2四半期に収益性が高まると当社は予想しています。またキャッシュフロー比でも配当比でも非常に割安であるため、より多くの資金流入が見込まれると当社は考えています。
ただしマイクロンは投資家に警戒シグナルを送っている
メモリチップメーカーのマイクロンは2022年6月30日、第4四半期(6-8月期)の収益予想を発表しましたが、世界のスマートフォンおよびPC市場の低迷から、予想されていた91億ドルに対して68-76億ドルと、期待外れのものとなりました。マイクロンは、スマートフォンの販売台数が前回予想より1億3千万台減少し、PC市場も今年10%縮小するとの見通しを立てています。株価は時間外取引で2%下落しましたが、これは市場が収益見通しの弱さをすでにほぼ織り込んでいたことを反映しており、現実から大きく遅れているのはセルサイドのアナリストであることを示しています。
マイクロンの見通しは、テクノロジーセクターが現在、設備投資の削減に移行していることも反映しています。同セクターでは、マーケティング費用の削減から着手し、レイオフを行い、過去3か月でレイオフを加速、その後、研究開発費に移り、現在は設備投資の削減を進めています。こうした見通しの弱さは、消費者信頼感指数の低さに合致しており、それが消費者需要に影響を及ぼしていると当社はみています。