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Chief Investment Strategist
サマリー: 昨年、半導体業界は世界的な金利上昇による株価調整や、メモリーチップ等一部の事業が価格下押し圧力に晒されるなど厳しい状況に直面しました。ただ、年初の1週間は半導体関連銘柄が幸先の良いスタートを切っており、台湾は先週、国内半導体メーカーが研究開発費について最大25%の税額控除を受けられる法案を可決しました。これにより、最近欧米で可決された国内の半導体供給能力の拡大を支援する法案に対抗する狙いです。世界の半導体戦争は本格化しており、今後も税制優遇措置を伴う規制強化による逆風は一層強まる見通しですが、最終的には株主にとって有利な展開になると当社は予想します。
新年は半導体銘柄にとって幸先の良いスタートに
クリス・ミラーの最新作「Chip War: The Fight for the World’s Most Critical Technology」は、中国と米国の間で繰り広げられている半導体戦争を巡る歴史的背景や、今後の展望について優れた洞察を提供しています。当社は本書を読まれることを強く推奨したいと考え、Chris Miller’s interview on the Top Traders Unplugged podcastでもその内容を一部ご紹介しています。昨年、当社は半導体業界について数多くのレポートを発行しましたが、その中でも特に第 2 次世界大戦以来最大の産業政策となる米国のCHIPS法は、最先端チップ製造で中国企業との取引を停止した外資系半導体メーカーに税制優遇措置を適用し、国内の半導体製造の再構築に向けた道を切り開く法案として大きく取り上げました。国内の半導体供給能力を増強する動きは、欧州でも高まっています。これらはいずれも軍事機器に加えて、コンピューター、スマートフォン、自動車など現代社会で重要な役割を担うアプリケーションの主体となる半導体の供給をコントロールするための闘いにほかなりません。
この争いの中心にあるのが、半導体のグローバルサプライチェーンの構築において重要な位置づけにある台湾です。中国が公然と台湾を支配下に収めることを目指す中、欧米諸国な極めて高いリスクに晒されています。なぜならば、米国のCHIPS法でも明らかなとおり、欧米諸国にとって、同じ価値観を共有しない戦略的競争相手となりつつあるからです。こうした圧力が高まる中、台湾は先日、国内半導体メーカーが研究開発費について最大25%の税額控除を受けられる法案を可決し、国内半導体企業の競争力の維持と欧米諸国における半導体補助金制度の影響を相殺するための法改正を行いました。この法案は、台湾の半導体企業の収益が拡大する一方、さらなる競争激化につながるでしょう。また、欧米諸国にとって国内における半導体サプライチェーンの統合は必要不可欠なプロセスであり、今後も半導体製造の再構築を加速するために追加のインセンティブ制度を拡充するものと予想されます。台湾がインセンティブや補助金を提供すれば、米国や欧州はそれらを上乗せするだけで、それ以外に対抗する手段はないでしょう。ただ、これらの一連の流れはやがて半導体業界に魅力的な投資機会や税制優遇措置を通じて予想外の影響を及ぼし、長期的には株主にとって有利な展開をもたらすものと予想されます。
半導体セクターの株価は昨年-27%と大幅な下落に見舞われましたが、年初の1週間で3.7%上昇し、幸先の良いスタートを切っています。テーマ別投資のバスケットで詳しく見ると、最もパフォーマンスが好調だった銘柄はSamsung Electronics、ASML、Intel Corporation、Micron Technology、STMicroelectronicsでした。