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チーフ・マクロ・ストラテジスト
サマリー: 今夜のFOMCでパウエルFRB議長が市場を驚かせることは難しいでしょう。なぜならば、足元でインフレ率見通しが改善していることを踏まえると、これまで以上にタカ派姿勢を強める十分な理由が見当たらないためです。ただ、FRBとしては、市場が今後インフレは速いスピードで正常化に向かい、FRBは早晩利下げに踏み切るとのシナリオを急速に織り込むなか、ハト派的な印象を与えるコメントは避けたいところでしょう。このため、一旦FOMCというリスクイベントを無難に通過すれば、本日の市場ではFRBの目新しいコメントやパウエル議長のタカ派姿勢よりも、他の材料に焦点が移っていくと予想されます。
Today's Saxo Market Call podcast.
Today's Market Quick Take from the Saxo Strategy Team
フォーカス:FOMCでのサプライズの可能性は低い – 米ドルはもう一段下落か?
FRBは、本日のFOMCでは0.5%の利上げを決定する見通しです。インフレ抑制という目標を確実に達成するまで、何らかの形で金融引き締めを進める方針に変わりはないことを示唆する以外に、今後の金融政策について具体的に明言することは控えるものとみられます。最近のインフレ指標は予想以上に早いペースで低下しており、FRBが市場の予想に反してタカ派姿勢を強める(市場が長期金利の低下を前倒しで織り込む動きに抵抗する構えを示唆する以外に)理由は特に見当たらないためです。ただ、同時に市場が米国の財政状況は急速に改善に向かっており、FRBはいずれ引き締めペースを緩める判断を下すだろうとの期待を過度に織り込んでいることもあり、ハト派的なコメントでサプライズを誘うことは避けたいと考えているはずです。後者については、すでに来年12月のFOMCの政策金利の市場予測が4.32%に下方修正されていることを踏まえると、本日の会合でドット・プロットの中央値が5.00%近辺に迫った場合は、FRBが抵抗する姿勢を明確に示す形になります。個人的には、GDP成長率を除いてFRBが経済見通しを変更する理由はなく、特に市場が過度に楽観的に傾くような修正は見送る可能性が高いと考えています。
それでは、もしFRBが市場のサプライズを回避する決定を下した場合に、市場は横ばいの値動きにとどまるでしょうか?その可能性は高いとみられます。ただ、FOMCで特段のサプライズがあったというよりも、単に本日のイベントを通過したことによって、ドル円に急激な変動が見られる可能性は残されています。昨年のように、最近見られた投機的なラリーが年末にかけて再燃するとすれば、今回のFOMCはそれを阻む要因とはならないでしょう。一方、長期国債の利回りがFOMCとは全く無関係な理由(ここ数週間にわたり財政状況が改善する兆しが見受けられるなか、米国債の発行拡大と来年に向けて長期債利回りの上昇とカーブのスティープ化を見越したポジション構築が加速するとの見通しが強まるなどの理由が考えられます。ただし、年末に向けて米財務省がFRBに預け入れている現金残高の圧縮(足元で財政状況が改善している主な要因)によるところも多分にあるといえます)によって上昇に転ずるならば、市場で引締め継続の警戒感が高まり、再び米ドルが買われるでしょう。
図表:EUR/USD
今夜のFOMCとパウエル議長の記者会見を控えて、EUR/USDや米ドルとのその他の通貨ペアに注目していますが、いずれも大きなサプライズとはならないと考えます。しかし、前述のとおり、今夜の会合を受けて米ドルが大きく動く可能性も否定できません。これは、単にFOMCのようなイベントは市場参加者にとって新たな取引に資金を投じるハードルとなるからです。投資家は市場がイベントを消化するのを待ち、新たな動きがないことを確認できれば、当初から予定していた取引に動きます。いずれにせよ、EUR/USDが弱気に傾くには昨日のCPIを受けた力強い上昇に反発し、再び1.0550を下回る水準に戻る必要があるため、テクニカルな取引には注意が必要です。アップサイドとしては、ピボット値の高値が6月限より期先の限月で1.0800に迫る水準に付けるかが注目されます。
図表:G10通貨と人民元のトレンド
NZD/ CAD、GBP/CAD、EUR/AUDのトレードが急増しているため、今後数日から数週間にわたって反転の動きに注意が必要です。
図表:各通貨ペアのスコアボード
今夜のFOMCや限月交代で取引のテーマが変化するタイミングには注意が必要です。ドル円は再び200日移動平均線を意識して推移しており、米ドルの取引には舵取りが必要です。FOMC後の米国債利回りや経済指標が注目されます。
経済指標カレンダー
12月14日(水)