ドル円と今週の米国株CFD(2025年3月12日)

ドル円と今週の米国株CFD(2025年3月12日)

FX
山中 康司

アナリスト/アセンダント代表

サマリー:  アセンダント社の山中 康司氏による、ドル円の見通しと米国株CFDのピックアップ銘柄、来週の注目イベントについてのレポートをお読みいただき、お取引のヒントとしてご活用ください。


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■米国株式CFD

サクソバンク証券では、大型株・中型株・小型株からETF/ETNまで IPO直後の銘柄を含む約3,900銘柄の米国株式CFDを提供。最大レバレッジ5倍(個人の場合)、決済期限なく「売り建て」「買い建て」がともに可能です。
米国株式CFD 6つの魅力とは

前回の振り返り

前回はWTI原油先物CFDOILUSconst)と米国個別株CFD2銘柄を取り上げましたので、その後の動きを見ておきましょう。

(1) WTI原油先物CFDOILUSconst

WTI原油先物CFDOILUSconst)は、115日を高値にその後は急速に値を下げ、トランプ大統領がプーチン大統領と電話会談を行いロシアとウクライナの停戦に向けて動き出したことから更に水準を下げる展開が続いていました。

前回執筆時点では70ドルの大台を割り込む水準まで下げていましたが、その後も上値は重く35には65.2265ドルの大台に近づいた後に66ドル台半ばを中心としたもみあいとなっています。前回の日足チャートで見たように複数のサポートラインが6567ドルの間に集中しているため、現行水準で踊り場を作り更なる下げをトライする準備中というところです。

米ウ高官協議においてウクライナは30日の暫定停戦に合意したことで、ロシア・ウクライナの停戦に向け一歩前進しましたし、各種経済指標から米国の景気減速が明らかになってきたことで引き続きWTI原油先物CFDOILUSconst)の上値は重くまだ現時点では遠いものの50ドルの大台は次のターゲットとなる水準と言えます。

(2)個別株CFD

前回もautochartistによるピックアップでしたが、米国の景気減速懸念が強まっていることから売り銘柄を2銘柄ピックアップしました。クアルコム(QCOM.xnas)とウォルマート(WMT.xnys)です。

  • クアルコム(QCOM.xnas)

クアルコム(QCOM.xnas)は、Supportレベルの上抜けによる売りシグナルで、ターゲットが152.18、ストップが176.78となっていました。その後の同社株は34日にターゲットを達成しました。米国株式市場はその後も弱く昨日には150.86まで下げています。

  • ウォルマート(WMT.xnys)

ウォルマート(WMT.xnys)は、上昇チャンネルの下抜けによる売りシグナルで、ターゲットが89.95、ストップが105.23となっていました。その後の同社株は310日にターゲットを達成しました。

今週の銘柄

今週は動きが激しいFX市場からドル円(USD/JPY)を取り上げます。米国個別株CFD2銘柄はいつも通りautochartistを使って見て行きます。

ドル円(USD/JPY)

ドル円(USD/JPY)は、米国の景気減速懸念による米金利(10年債利回り)低下と、強い賃上げ見通しの中で早期利上げ思惑が浮上し円金利(同)が大きく上昇したことが重なり一時146円台半ばまで円高が進みました。

日米金利差とドル円との相関は高く、直近の10年債利回り差は310日には一時2.65%台まで縮小しました。この水準は昨年9月にドル円が一時140円の大台を割り込んだ際の金利差よりも縮小していることを考えると、引き続きドルが買い戻される局面ではカウンターでドル売りが入りやすい流れになると言えそうです。

またトランプ大統領は政権1期目同様に人民元と日本円の通貨安を問題視しています。日本側は昨年は円買い介入をしている等、通貨安政策は取っていないと説明していますが、1期目に発言した当時のドル円は今よりも30円以上円高だったことを考えると今後もドル円の水準について牽制してくる可能性は高いように思えます。

ただ、既に年初来高値の158円台後半から12円以上の調整となっていますし、シカゴ通貨先物の非商業部門(投機筋)の円買いポジションが史上最大となっていることを考えると短期的にはいったん調整が入りやすい段階にあるとも言えます。テクニカルにはどうなのか、日足チャートで見てみましょう。

チャート提供:サクソバンク証券

昨年9月安値139.575と今年1月高値158.881とのフィボナッチ・リトレースメントを引くと61.8%押しが146.950と直近の安値とかなり近い水準にあり、また1月高値から引いたレジスタンスラインとそれに平行なラインとで平行下降チャンエルを引くと、ここ数日の安値圏が下側のラインと接していることがわかります。

テクニカルには146円台後半はいったん短期筋が利食いを入れやすい水準とも言えますので、当面は横方向のもみあいを挟んで次の円高の流れを待っている段階と見ることが出来るでしょう。ターゲットとしては中期的には145円、長期的には140円の大台も視野に入れておいたほうが良いと思います。

■今週の米国株CFD

ここではautochartistによるピックアップをしています。ピックアップ基準は以下の通りです。

資産クラス=個別株CFD
確率=70%以上(選択肢が少ない場合は65%もしくは60%以上)
チャートパターン=ブレークアウト
キーレベルパターン=ブレークアウト
間隔=4時間足+日足

このフィルターでスクリーニングをかけ、可能な限り経過本数が少なく、かつなるべく信頼度が高い(濃いグレー)米国株のCFDを選びます。

引き続きautochartistのピックアップですが、引き続き米国株全体の地合いが弱いことを考え、今週も売り銘柄を2銘柄ピックアップすることとしました。アップル(AAPL.xnas)とエヌビディア(NVDA.xnas)です。

(1)アップル(AAPL.xnas)

アップル(AAPL.xnas)は説明不要ですが、米国株優等生の同社が売りシグナルで登場することは比較的珍しいと言えます。

チャート提供:サクソバンク証券

トライアングルのサポートライン下抜けによる売りシグナルで、ターゲットが213.00、ストップが250.01となっています。観察期間は23日とちょうど次回執筆日(2週間後)を考えると良い感じです。ただ既に結構下げていますので、エントリー価格とターゲットとの価格差をエントリー価格に乗せたストップで考えていた方が良さそうです。

(2) エヌビディア(NVDA.xnas)

こちらも説明不要ですが、今週はどちらも価格の振れが大きいハイテク株からのピックアップとなりました。

チャート提供:サクソバンク証券

サポートレベルの下抜けによる売りシグナルで、ターゲットが94.08、ストップが153.10となっています。こちらの観察期間は53日とかなりながいのですが、こちらもエントリー価格とターゲットとの価格差をエントリー価格に乗せたストップで考えておきます。

来週の注目イベント・コラム

先週のECB理事会では予想通り0.25%の利下げとなりましたが、来週の金融政策会合はFOMCと日銀会合がどちらも19日に開催されます。

現時点のコンセンサスは両者とも現状維持ですが、2025年末時点のFOMCでの利下げ織り込み度は直近では3回(6月、9月、12月)に増えていますし、日銀も賃上げを見て早い段階(51日?)での追加利上げを考える向きが増えて来ています。

そうした点で会合の結果よりも会合後の会見に注目が集まります。FRBのスタンスが再び緩和的に戻るのか、植田総裁がタカ派な発言をするのか、両者が重なると円高に振れる要因となりますので要注意の週になりそうです。

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