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チーフ・インベストメント・ストラテジスト
サマリー: 地区連銀総裁の輪番制の入れ替えによって、2023年はFOMCにハト派寄りのメンバーが加わります。これによってタカ派寄りのブラード総裁、メスター総裁、ジョージ総裁らは投票権を失います。代わりにハト派的なシカゴ連銀のグールズビー総裁、ダラス連銀のローガン総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が新たにメンバーに加わりました。これまでタカ派的な姿勢を示してきたミネアポリス連銀カシュカリ総裁は投票権を維持します。しかし、今後米経済が著しく悪化し、下半期に労働市場のスラックが生じ始めるような事態に直面しない限り、現行の政策スタンスは概ね維持される公算が大きいでしょう。
ここ最近インフレは鈍化の兆しを示しているものの、2023年もFRBの焦点は引き続きインフレ抑制の取り組みに向けられています。また、米国のタイト化した労働市場は、FRBが政策金利が5%を大きく超える水準まで利上げを継続する十分な余地を与えています。こうした中で、FOMCのメンバー構成の変更が金融政策の方向性にどのような影響を与え得るかが注目されます。
FRBが年に一度行う輪番制の入れ替えによって、これまでインフレ制御に向けて大幅な利上げを支持してきたタカ派メンバーのセントルイス連銀のブラード総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、カンザスシティー連銀のジョージ総裁は投票権を失います。また、最近メンバーに加わった中立派のボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁もメンバーから外れます。
なお、シカゴ連銀のエバンズ総裁とカンザスシティー連銀のジョージ総裁はいずれも1月に退任します。エバンズ総裁の後任として指名され、2023年のFOMCで投票権を有するオースタン・グールズビー氏はハト派と予想されるほか、昨年ダラス地区連銀総裁に就任した中立派のローガン氏もメンバーに加わります。フィラデルフィア地区連銀のパトリック・ハーカー総裁も輪番制による投票権を得ています。一方、長年ハト派姿勢を維持した後、一転して超タカ派に傾斜したニール・カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁も投票権を維持します。
インフレ抑制が引き続き最優先課題となる中、FRBは2023年上半期も現行の政策スタンスを概ね維持する公算が大きいでしょう。しかし、米国経済が著しく悪化し、労働市場に需給の緩みが生じることとなれば、下半期にはFOMCメンバーの見解に相違が目立ち始める可能性もあります。FRBが2023年に利下げに転じる可能性は極めて低いと考えられますが、たとえ米国がリセッション入りしたとしても、それはあくまでも短期的で浅いものにとどまるでしょう。