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サマリー: 先週金曜に公表された底堅い米雇用統計を受けて、米ドルと米国債利回りが上昇する中で株式市場では様子見の展開が続いています。植田日銀総裁のハト派的な発言は、円安進行を促しました。欧州と香港の大半の市場はイースターマンデーで休場となったこともあり、米株市場は先週前半の下落から回復したものの金曜は前日比ほぼ横ばいで取引を終えました。中国の株式市場は、国営メディアがAI生成コンテンツの投機的バブルを警告したことをきっかけに反落しました。AppleのMacの出荷台数は減少し、PCメーカーにとって厳しいスタートとなりました。
※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。
S&P500指数(US500.I)とナスダック100指数(USNAS100.I)は、時間外取引でそれぞれ0.8%、1.5%下落した後に回復し、いずれも横ばいで月曜の取引を終えました。欧州と香港の大半の市場が祝日で休場であったため閑散取引となりました。S&P500指数を構成する11セクターのうち6セクターが上昇し、資本財(+0.9%)とエネルギー(+0.7%)が全体を牽引しました。通信サービス・セクターは-0.7%と、パフォーマンス最下位となりました。個別銘柄ではAlphabet(GOOGL:xnas)が-1.8%、Meta(META:xnas)は-0.6%といずれも下落しました。また、Apple(APPL:xnas)はMacの出荷台数の減少(下図参照)を受けて-1.6%と大きく値を下げました。
先週金曜日の堅調な雇用統計を受けて、市場が織り込む5月FOMCでの25bps利上げの確率は80%程度まで切り上がっています。また、火曜日から木曜日にかけて900億米ドルの流動性供給入札が予定されていることも、価格の重しとなりました。このため、米国債のイールドカーブは全年限で2-3bps程度上昇し、米2年債利回りは4.01%と4%台を回復、10年債利回りは3.42%に上昇しました。
香港株式市場は、月曜日はイースターで休場となりました。中国本土の取引所ではテクノロジー関連株を中心に下落し、CSI300指数は前日比-0.3%で取引を終えました。AI生成コンテンツ(AIGC)、コンピューティング、エレクトロニクス、通信サービス、メディアが寄与度下位セクターとなった一方、石油化学、非鉄金属、電気機器、公益事業が市場全体の下落に歯止めを掛けました。
FRBの5月利上げの確率が一段と高まり、市場が年末までに60bps程度の利下げを織り込む中で米2年国債利回りは急伸し、4%を上回りました。これを受けて米ドルを巻き戻す動きが広がりました。利回り上昇と植田日銀総裁が記者会見でハト派的なコメントを発したことで円売りが加速し、ドル/円は一時133.87まで急伸しましたが、早朝のアジア市場では133.50を下回る水準に反落しました。リスク回避の動きから豪ドルやNZDも下落しましたが、中国のインフレ指標に注目が集まる中で夜間取引で付けた安値から回復しています。
ニューヨーク原油市場の夜間取引では、先週金曜に公表された米非農業部門雇用者数(NFP)の底堅い内容が消化され、リスク回避姿勢が強まる中で1バレル=80ドル、ブレントが85ドルをそれぞれ割り込みました。これによってFRBの追加利上げ確率が高まり、原油需要の減少に対する懸念が一層強まりました。昨日のレポートでも指摘したように、OPEC+の減産やそれによる空売り抑制の効果を消化した後、今後、市場は需要サイドの動向を一段と注視するものと予想されます。今週は、米消費者物価指数(CPI)と中国の信用統計が注目されます。その他にもOPECとIEAによる月次レポートの公表も控えています。
月曜日の市場では利回り上昇とドル高が金相場の重しとなり、金(XAUUSD)は重要な節目となる2000ドルを割り込みました。しかし、下値は1980ドルにとどまり、アジア市場では取引時間では取引開始直後に1995ドルまで回復しました。下値支持線は20日移動平均線となる1972ドル近辺にあります。銀も下落し、25ドルを上抜けする新たな材料が待たれます。一方、Newmont Miningは、2月に買収提案を拒否したNewcrest Miningに新たな提案を行いました。今回の買収案ではNewcrestの株主は、同社の株式1株につきNewmontの株式0.400株を受け取ることになります(前回の提案では0.38株)。
今後のポイント
IMFは、最新の世界経済見通しを発表し、米国をはじめとする先進国はパンデミック前の超低金利時代へと回帰し、米国の中立金利の水準は1%を大幅に下回るとの見通しを示しました。その背景には、高齢化と生産性低迷があり、経済成長は極めて低い水準にとどまると予想しています。一方、世界銀行は、2023年の世界経済成長見通しを1月時点の1.7%から2%へと小幅に上方修正しましたが、2022年に見られたより力強い経済成長は減速に向かい、途上国の債務を増大させると述べています。また、その背景として銀行セクターの混乱や原油価格の上昇が2023年下半期の成長見通しの下押し圧力となり得ることを指摘しました。
10年にわたって日銀を率いてきた黒田元総裁が4月8日に退任し、植田和男氏が就任しました。植田氏は総裁としての初の記者会見で、現在の経済状況や物価上昇下でイールドカーブ・コントロールにコミットすることを改めて強調しました。植田氏の政策スタンスは、黒田総裁のハト派的な歩みを引き継いでいるように見えますが、その一方で市場が圧力に晒される局面においては、あらゆる政策修正を検討するとの姿勢を示しています。4月27日から28日に開催される総裁就任後初の政策決定会合を控えていることもあり、市場は日銀の金融政策に何らかの微修正が施される可能性を視野に入れることになります。今朝、鈴木財務大臣、植田総裁および岸田首相は、政府と日銀が2013年に合意した共同声明について直ちに見直す必要はないと述べています。
ニューヨーク連銀ジョン・ウィリアムズ総裁は月曜日、FRBが銀行に巨額の融資を提供する事態を招いた金融システムの混乱は、インフレ抑制に向けたFRBの積極的な取り組みが引き起こしたものではないと主張しました。ウィリアムズ総裁は、シリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクで起きた問題は特有のものであり、金融システム全体の状況を反映しているとは考えにくいと述べました。しかし、市場では銀行セクターの混乱はFRBの急速な利上げによって金融システムに何らかのダメージを与えた、あるいは今後何らかのダメージを与えるだろうとの見方が広がっています。
AppleのPC出荷台数は第1四半期に40.5%減少し、引き続き在庫を抱えるPCメーカーにとって厳しいスタートとなりました。IDCの最新レポートによると、PCメーカーの合計出荷台数は29%減の5690万台と大きく低迷し、パンデミック禍の特需からの反動で2019年初頭の水準を下回りました。LenovoとDellの出荷台数も30%以上減少し、Hewlett-Packardは24%減少しました。
台湾の蔡英文総統が米国訪問から帰国した後、中国政府は今週月曜に2日目の軍事演習を行い、航空機や船舶を用いた複数の訓練を実施しました。中国政府の一連の行動は、昨年8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問した後に行った軍事演習の繰り返しのように見受けられます。また、象徴的なジェスチャーとして、台湾駐米代表に対する制裁を一部強化し、現在も追加の措置が警戒されています。一方、中国は米Micron Technology社に対する調査を開始し、半導体戦争で一歩前進しました。今週は米中間のさらなる緊張の高まりが、中国経済の回復シナリオに水を差す可能性があり、引き続き注視が必要です。
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