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チーフ・インベストメント・ストラテジスト
サマリー:
4月の日銀の政策発表では、市場は政策の正常化に前向きであることだけを期待していましたが、植田氏は今後最長18ヶ月にわたって段階的に政策を見直す方針であるとし、円の強気派を動揺させました。しかし、植田氏は、これは政策に対する不作為を意味するものではないことを強調し、政策金利のフォワードガイダンス(指針)に加えて、今後インフレ率が3%を上回って推移した場合、市場は6月と7月の会合で日銀が政策の微調整を行うことに引き続き期待する余地が残されています。今のところ、円は再び純粋に利回りに左右されることになり、FRBの5月の決定がその行方を導くことになるでしょう。
※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。
日銀の発表は目先的に円の強気派の意欲を後退させましたが、中長期的な選択肢は確保されたと言えます。植田総裁は初回の会合で政策変更を見送るとともに、短期金利にマイナス0.1%を適用する方針を据え置き、イールドカーブ・コントロール政策を当面継続する見通しを示しました。
日銀は、2023年度のインフレ率が依然として緩やかであると予想していますが、インフレ見通しを全体的に引き上げました。2023年度のコアCPI見通しは、1月会合時の1.6%から1.8%に、2024年度は1.8%から2%に小幅に引き上げられました。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIではより大幅な上方修正が行われ、2023年度の予想は1.8%から2.5%に引き上げられました。しかし皮肉なことに、4月の東京都区部の消費者物価指数(全国の物価の先行指標)のコアコア指標は、会合直前に40年ぶりの高水準に急伸しました。
しかし、日銀は政策の修正を行う前に賃金上昇の兆候を確認したいとしているため、これらのインフレ率の上昇はほとんど意味を成しません。今年の春季労使交渉の結果、全体の賃金が3.8%上昇し、1993年以来の高水準に達したにもかかわらず、植田氏は、それがインフレ率を2%を超える水準に維持するのに十分であると確信していないようです。
しかし、日銀は緩和政策の長期化が日本経済に与える影響を調査するため、今後1~1年半の間に金融政策の幅広い観点で見直しを行うとも述べています。政策発表よりも早い段階で政策の見直しが行われるとの報道がありましたが、政策発表の後に伝えられた1年~1年半というスケジュールは市場が期待していたもの、つまり6月~7月までに微調整を行うというものよりもはるかに長いものとなりました。
政策見直しのスケジュールは予想より長くなりましたが、これは今後1年半の間に政策上のアクションがないことを意味するものではありません。植田総裁の記者会見では、政策見直しの枠組みの中でも正常化に前向きな姿勢を示しており、今後インフレ率が3%を上回って推移すれば、市場は政策の微調整を期待し続けるでしょう。フォワードガイダンスの廃止も、日銀が柔軟性を維持し、不意打ちの政策修正に動き易くする意図があることを示唆しています。しかし、仮に正常化が実現したとしても、非常に緩やかペースで行われるとみられ、これは通常せっかちな市場にとっては難しい要求です。このことから、日本円は当面、利回り重視の動きに戻ると予想されます。
注目すべきは、日銀は利回りが横ばいから低下しているときにJPYに大きな影響を与え、再び利回りが上昇しているときには影響力が弱くなる点です。したがって、もしFRBが2023年末の政策金利を5.125%(利下げなし)に引き上げざるを得なくなった場合、日銀の調整にもかかわらず、米ドル円は140.00を超える可能性があります。しかし、もし日銀が微調整に消極的で、弱い経済指標が出始め、2024年初頭までにFRBが政策金利を3.00%に引き下げるとの見通しが強まれば、USDJPYは130.00を大きく下回るかもしれません。
当面は、5月3日に発表される来週のFRB会合が焦点となります。日銀の発表後、USDJPYは135.50を超えて上昇し、FRBが予想以上にタカ派的な見解を示した場合、USDJPYは3月高値の138円を試す可能性があります。しかし、世界的な利回り低下が続けば、円高になる可能性もあります。また市場は、植田氏が6月と7月の会合で何らかの調整を発表することを引き続き期待しておりそれによっても円高が進む可能性があります。