先週の市場総括と今後の展開

2025年3月10日(2025年3月3日〜7日の振り返り)

主な概況のお知らせ

• トランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国への関税措置の実施を確認したことから自動車株とハイテク株が打撃を受け、株式は急落しました。その後、週後半には、安堵感からの力強い上昇となりました。
• VIXのボラティリティ指数は週半ばに26.35に急上昇しましたが、金曜日には23.37(-6.03%)に落ち着きました。
• ビットコインは、トランプ米大統領の暗号資産準備計画が投資家を圧倒したため、88,300ドル(-4.8%)に下落しました。
• 米国10年債利回りは4.25%を下回り、ドイツ国債利回りは財政拡大計画により40bp上昇しました。
• 金は2,900ドル付近で推移し、原油は中国の弱いデーターの発表を受けて70ドルを下回りました。
• ユーロ/米ドルは1.0800を上抜け、米ドル/円は債券市場のサポートにより円が上昇し、現在の相場周期での安値を試しました。

市況の振り返り(2025年3月3日〜7日)

株式

トランプ大統領が関税措置の実施を確認したことが世界的な反応を引き起こしたため、市場は不安定でした(Market Quick Take – 3月4日)。S&P500は1.76%下落し、Nvidia(-8.7%)と中国での売上不振に苦しんだ(市場概況：Market Quick Take - 3月5日)Tesla(-4.4%)の下げが主導する形で、Nasdaq 100は2.6%下落しました。自動車株は当初下落しましたが、トランプ大統領が自動車輸入に対する関税を延期した後、週後半に反発しました(市場概況：Market Quick Take - 3月6日)。

欧州では、ドイツが500億ユーロのインフラ・防衛費計画を発表した後、防衛関連株が急騰しました(Market Quick Take – 3月6日)。DAXは3.5%上昇し、Airbus(+5.8%)とCommerzbank(+11%)が上位にランクインしました。STOXX50は、EUの財政刺激策への期待に支えられ、1.9%上昇しました(Market Quick Take - 3月6日)。

アジア株はまちまちでした。 日経平均は2.1%下落し、ハンセン指数は1.82%下落しましたが、これは貿易懸念の影響を受けました(Market Quick Take – 3月5日)。しかし、中国政府がGDP成長率5%の目標を再確認し、AIとテクノロジーセクターの新たな刺激策を導入したことで、中国株は上昇しました(Market Quick Take – 3月6日)。

ボラティリティ

市場のボラティリティは週半ばに急上昇し、VIX指数は26.35に達しましたが、その後、センチメントが改善したため23.37(-6.03%)まで後退しました(Market Quick Take - 3月7日)。短期的なボラティリティは急上昇し、１日VIX指数は不確実性が続いていることを反映して40.8%上昇し、31.13となりました(Market Quick Take – 3月7日)。週後半に落ち着きが見られて安定しましたが、トレーダーはさらなる政策展開の動きについて引き続き慎重な姿勢を崩していません。

デジタル資産

暗号資産市場は苦戦し、ビットコインは4.8%下落して88,300ドルになりました(市場概況：Market Quick Take - 3月7日)。イーサリアムは5.1%下落し、XRPは5.9%下落しました。暗号資産ETFは記録的な資金流出となり、トランプ米大統領のビットコイン準備計画は投資家を惹きつけ興奮させることができませんでした(市場概況：Market Quick Take - 3月7日)。しかし、マイクロストラテジー(+12.1%)とコインベース(+4.7%)は、取引活動の増加の恩恵を受けて上昇しました(市場概況：Market Quick Take - 3月6日)。

債券

米国10年債利回りは4.25%を下回りましたが、これは貿易の混乱やFRBの政策転換の可能性に対する投資家の懸念を反映しています(市場概況：Market Quick Take – 3月7日)。一方、ドイツ国債利回りは40bp上昇して2.84%となり、ドイツが大規模な財政拡大を提案したため、週間ベースで2011年以来の最高値水準で引けました(市場概況：Market Quick Take - 3月6日)。

日本の10年物国債利回りは、インフレ懸念と世界的な債券市場の動向に牽引され、15年ぶりの高水準となる1.57%まで上昇しました(Market Quick Take - 3月6日)。

商品

金は、経済の不確実性の中で安全資産としての需要に支えられ、2,900ドル付近で推移しました(Market Quick Take – 3月7日)。原油価格は、中国の弱いデーターと貿易戦争の懸念が需要見通しに重くのしかかり、70ドルを下回って下落しました(Market Quick Take – 3月10日)。 銅価格は急騰し、取引制限により供給懸念が高まったため、ロンドン市場に対して10%のプレミアムを維持しました(Market Quick Take – 3月6日)。

通貨

ユーロ/米ドル（EURUSD）は、ドイツとEUが大規模な財政拡大に備える中、1.0800以上に急騰しました(市場概況：Market Quick Take - 3月6日)。

米ドル/円は、相場周期の安値(147.40)を試した後、わずかに反発し、マーク・カーニー（Mark Carney）氏がカナダの新首相に選出された後、米ドル/カナダドル（USDCAD）は1.4350付近に上昇しました(市場概況：Market Quick Take - 3月7日)。

今後の見通し(2025年3月10日〜14日)

来週は、主要なインフレデータと決算発表に焦点を当てます。

• 月曜日:Oracleが決算を発表。
• 水曜日:米国消費者物価指数(CPI)(2月) - 主要なインフレ指標。
• 木曜日:生産者物価指数(PPI)(2月)、新規失業保険申請件数(3月8日)。
• 金曜日:ミシガン州消費者信頼感指数(3月)、Li Auto(LI)の決算発表。
• 注目の決算発表: Adobe(水曜日)、Ulta Beauty、Dollar General(木曜日)。

市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策に影響を与える可能性のあるインフレ動向の兆候がないか、CPIの発表を注意深く見守ることになります  (市場概況：Market Quick Take - 3月10日)。さらに、Ulta BeautyとDollar Generalの小売セクターの決算発表は、貿易の不確実性の中での消費者支出に関する洞察を提供する可能性があります(市場概況：Market Quick Take - 3月10日)。

関税、インフレデータ、FRBの政策シグナルが注目される中、投資家は来週もボラティリティが続くことを覚悟する必要があります。