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チーフ・マクロ・ストラテジスト
サマリー: 2024年、米国史上初めて、第3政党の候補者であるロバート・F・ケネディ・ジュニアが大統領選に勝利します。戦争を煽る民主党や企業エリートに反発する同氏のポピュリスト的な公約は、不満を抱いている従来の民主党支持者とトランプ支持者の両方に共感をもって迎えられます。深刻な不平等・不公正の解消、永遠に続く戦争の終結を有権者が求める中、米国の政治の新時代は金権政治からの劇的な転換で始まります。
2023年から2024年にかけて、アメリカでは不況が本格化し、政治姿勢が大きく転換する可能性が高まります。トランプ大統領の任期4年間、そしてバイデン大統領の任期4年間を経て、年輩の候補に対する有権者の情熱的支持は薄れつつあります。経済と労働市場が急速に後退し、インフレ率が高止まりする中、バイデン大統領への支持は弱まり続けます。国民は、ウクライナと中東の地政学的状況にバイデン大統領が適切に対応できていないことを、石油、生活必需品、家賃の高騰に結びつけています。一方、トランプ氏には熱狂的な支持基盤がありますが、そのナルシスト的姿勢や常軌を逸した行動により、熱烈な支持者の数は減少しています。
そのような中、1968年の選挙における故ロバート・F・ケネディ氏の平和推進運動との著しい類似性が注目されています。このとき同氏は民主党の指名獲得を目指して支持が急上昇していましたが、暗殺者の凶弾に倒れ選挙戦が打ち切られました。ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が持つ反ディープステイトの姿勢は、叔父のジョン・F・ケネディ氏の志を受け継いだものです。
2024年初頭の景気後退が始まる前、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は2024年の選挙で勝利するダークホースとさえみなされていません。世論調査によると、同氏の支持者は有権者の約15%です。しかし、米国が春から夏にかけて景気後退局面に入る中、世論調査での同氏の支持率は否応なしに上昇します。 現政権を担う民主党への不満は頂点に達します。一方で、ケネディ氏のポピュリスト的・孤立主義的なメッセージは、あまり裕福でないトランプ支持者の心にも同様に響き、従来の二大政党のどちらかに強く賛成/反対するという古い考え方をケネディ氏の「第三の道」が打破したことで、同氏の支援運動に両方の政党支持者が参加できるようになります。
11月5日の投票日、ケネディ氏が38%の得票率で大統領選に勝利し、バイデン氏とトランプ氏がほぼ互角の票を獲得します。ケネディ氏はかつてのトランプ支持州の多くで最も支持を得ていることから、選挙人団における勝利は驚くほど圧倒的です。議会政治は根底から揺さぶられ、ケネディ氏が政策で超党派連合を結成できるようになってそれまでの機能不全が解消され、米国政治の新時代が幕を開けます。
市場へのインパクト:ケネディ氏の平和推進的メッセージと、米国の医療制度の乱用を終わらせ過剰な企業権力を抑制するという公約を受け、防衛、製薬、医療関連企業の株価は急落します。また、独占的な巨大IT企業の株式は、独占的企業にとって厳しい環境が今後拡大しかねないという懸念から、慎重に取引される展開となります。